KDPペーパーバックの印税はいくら?50%・60%と印刷費の仕組みを徹底解説
のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。
KDPペーパーバックのロイヤリティは、Amazon.co.jpでは一律60%ではありません。
2025年6月10日以降、税抜希望小売価格が999円以下なら50%、1,000円以上なら60%という区分になっています。
さらに、この50%・60%がそのまま手元に残るわけでもありません。1冊あたりの金額は、税抜希望小売価格に料率を掛けたあと、印刷コストを差し引いて求めます。
ここではAmazon.co.jpの標準流通を基準に、50%と60%の分かれ目、正しい計算式、999円と1,000円の差額、印刷コストによる価格の制約まで順に確認します。
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KDPペーパーバックの印税は税抜1,000円を境に50%と60%へ分かれる
目次
Amazon.co.jpで販売するペーパーバックのロイヤリティ率は、KDPで設定した税抜希望小売価格によって50%または60%に決まります。
| 税抜希望小売価格 | ロイヤリティ率 |
|---|---|
| 999円以下 | 50% |
| 1,000円以上 | 60% |
料率は著者が選ぶものではなく、価格を決めた時点で自動的に確定します。
税抜999円以下は50%・1,000円以上は60%
税抜999円で設定した本には50%、税抜1,000円で設定した本には60%が適用されます。
1円の価格差でロイヤリティ率が10ポイント変わるため、999円前後の価格設定では特に注意してください。
「1,000円未満にして少しでも安く見せたい」と考えて999円にしても、購入者から見た価格は1円下がるだけです。その一方で、料率は60%から50%へ落ちます。
ペーパーバックの価格は、見た目の安さだけでなく、適用される料率まで含めて考える必要があります。
「ペーパーバックは一律60%」は2025年6月10日より前の情報
KDPペーパーバックについて調べると、「ロイヤリティは60%」という説明を見かけることがあります。これは現在のAmazon.co.jpの条件を正確に表していません。
2025年6月10日から、一定価格未満のペーパーバックについて、従来60%だったロイヤリティ率が50%へ変更されました。Amazon.co.jpでは1,000円未満のペーパーバックが50%の対象です。
そのため、2025年6月10日より前に公開された記事や動画を参考にする場合は、旧仕様のまま説明されていないか確かめてください。現在の条件は、Amazon KDP公式のペーパーバックのロイヤリティでも確認できます。
50%・60%は手取りの割合ではない
料率だけを見ると「1,000円の本なら600円もらえる」と考えがちですが、実際はそこから印刷コストが差し引かれます。
ペーパーバックは紙に印刷して購入者へ届けるため、電子書籍とは収益構造が異なります。ロイヤリティ率と、最終的に残る1冊あたりの金額はまったく別の数字だと考えてください。
ペーパーバックそのものの仕組みや出版の流れは、KDPのペーパーバックとは?出版方法・費用・電子書籍との違いを徹底解説で確認できます。
1冊あたりの印税は「税抜希望小売価格×料率-印刷コスト」で計算する
KDPペーパーバックの1冊あたりロイヤリティは、次の式で整理すると分かりやすくなります。
税抜希望小売価格×ロイヤリティ率-印刷コスト=1冊あたりのロイヤリティ
先に税抜希望小売価格へ料率を掛け、その金額から印刷コストを差し引く、という順番です。
印刷コストを引いてから料率を掛ける順番ではない
もっとも間違えやすいのが、計算の順番です。次の式は誤りです。
(税抜希望小売価格-印刷コスト)×50%または60%
正しくは、(税抜希望小売価格×50%または60%)-印刷コストになります。印刷コストは、料率を掛けたあとの金額から全額が差し引かれます。
この順番を取り違えると、手元に残る金額の見積もりが大きくずれます。「60%ロイヤリティだから利益率も60%」という理解にならないよう気をつけてください。
基準は税込の販売価格ではなくKDPで設定する税抜価格
Amazon.co.jpで紙書籍の希望小売価格を設定するとき、料率の判定に使われるのは税抜価格です。購入者が商品ページで目にする税込価格ではありません。
したがって、確認すべきはKDPの入力画面で設定した税抜希望小売価格が999円か1,000円かという点だけです。
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999円と1,000円では1冊の印税が約100円変わる
価格差はわずか1円でも、料率が50%から60%へ切り替わるため、同じ印刷仕様なら1冊あたりのロイヤリティに大きな差が生まれます。
100ページ・黒インク・標準判で、印刷コストを422円とした場合を比べます。
| 税抜希望小売価格 | 料率 | 印刷コスト | ロイヤリティ計算 | 丸め前の金額 |
|---|---|---|---|---|
| 999円 | 50% | 422円 | 999円×50%-422円 | 77.5円 |
| 1,000円 | 60% | 422円 | 1,000円×60%-422円 | 178円 |
999円は50%が適用され丸め前で77.5円
税抜999円なら50%が適用され、999円×50%=499.5円です。ここから印刷コスト422円を引くと、丸め前の計算では77.5円が残ります。
「999円で売れたから約500円の利益」という結果にはなりません。料率を掛けたあとに印刷コストが差し引かれるため、手元に残る金額はかなり小さくなります。
1,000円は60%が適用され丸め前で178円
同じ100ページ・黒インク・標準判でも、税抜1,000円にすると60%が適用されます。1,000円×60%=600円から印刷コスト422円を引くため、丸め前のロイヤリティは178円です。
ページ数も印刷仕様も変えていないので、印刷コストは422円のままです。変わったのは販売価格1円と、適用される料率だけになります。その結果、丸め前で100.5円の差が生じます。
手計算の金額は丸め処理で完全には一致しない
ここで示した金額は、仕組みを理解するための手計算例です。
KDPでは日本円の計算に丸め処理があるため、管理画面へ表示される額と小数部分まで一致するとは限りません。実際の価格を決める前に、KDPの入力画面に表示されるロイヤリティ額を確認してください。
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印刷コストが高い本は999円以下に設定できない場合がある
50%と60%は自由に選べる仕組みではありません。設定した希望小売価格で料率が決まるうえ、KDPには印刷コストに応じた最低希望小売価格もあります。
そのため、印刷コストが高い本では、そもそも999円以下に設定できないケースが出てきます。
最低希望小売価格は「印刷コスト÷ロイヤリティ率」で決まる
KDPでは、印刷費をまかなえない価格で紙書籍を販売できません。最低希望小売価格は、基本的に次のように考えます。
印刷コスト÷ロイヤリティ率=最低希望小売価格
印刷コストはページ数や印刷仕様によって変わるため、すべてのペーパーバックが同じ最低価格になるわけではありません。
仕様別の料金や利益の試算は、KDPペーパーバックの印刷コストとは?計算方法と利益シミュレーションで確認できます。
150ページの例では50%帯の最低価格が999円を超える
Amazon.co.jpの黒インク・標準判150ページでは、印刷コストは506円です。50%でこの印刷コストをまかなうには、506円÷50%=1,012円が必要になります。
しかし、50%が適用されるのは999円以下です。この条件では、50%帯の範囲内に最低希望小売価格を収められません。
「999円以下にすれば50%で売れる」と決めてしまう前に、その本の印刷コストを先に確認してください。印刷費が高い仕様では、最低価格の制約によって1,000円以上の価格帯しか選べないこともあります。
外部流通は50%・60%ではなく40%の別計算
ここまでの50%・60%は、Amazonの標準流通を前提とした計算です。KDPの外部流通を選ぶ場合、条件は同じではありません。
外部流通では、希望小売価格の40%から印刷コストを差し引く計算になります。標準流通の説明をそのまま当てはめないよう注意してください。
価格は「何%か」ではなく「1冊で何円残るか」で決める
ペーパーバックの価格を決めるときは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- KDPで設定する税抜希望小売価格を確認する
- 999円以下の50%か、1,000円以上の60%かを確認する
- その本の印刷コストを確認する
- 税抜希望小売価格×料率-印刷コストでロイヤリティを計算する
- 最低希望小売価格を下回っていないか確認する
特に税抜999円付近で迷ったときは、1,000円にした場合の1冊あたりロイヤリティも必ず試算してください。100ページ・黒インク・標準判の例では、1円の値上げで丸め前77.5円から178円まで増えました。
ただし、すべての本を1,000円以上にすればよいわけではありません。ページ数や印刷仕様によって印刷コストが変わるため、判断はその本の条件で計算した金額に基づいて行いましょう。
【著者:石黒秀樹】
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