Kindle出版を始めるとき、多くの人が最初につまずくのが「ロイヤリティ(印税)」の仕組みです。
「70%って聞いたけど、どうすればその条件になるの?」「設定したのに35%しか反映されていない…」といった疑問は、実際によくある相談です。
この記事では、Amazon.co.jpでKindle電子書籍を出版する際のロイヤリティ制度を、初心者でも正しく理解できるように解説します。
実際にKDP(Kindle Direct Publishing)で出版してきた経験を踏まえ、公式ガイドラインに基づきながらも、現場でよくある落とし穴や注意点も交えてお伝えします。
最後まで読むことで、「自分の本にどのロイヤリティが適用されるのか」「どう設定すれば損を防げるのか」が明確になります。
▶ 印税収入を伸ばしたい・収益化の仕組みを作りたい方はこちらからチェックできます:
印税・収益化 の記事一覧
出版作業を「自分で」やる時代は終わりです📘
AI×外注で、時間も労力もかけずにKindle本を量産する仕組みをまとめた
『フル外注AI式Kindle出版 実践マニュアル』を無料プレゼント中👇
Kindle出版におけるAmazonロイヤリティの基本とは
Kindle出版で得られるロイヤリティとは、販売価格からAmazonの手数料や配信コストを差し引いたあとに、著者へ支払われる印税のことです。
金額の計算や条件を誤解していると、思ったよりも報酬が少なくなることがあります。
ここでは、まず基本の仕組みと日本版KDPにおける特徴を整理していきます。
KDPのロイヤリティとは?著者に支払われる印税の仕組み
KDP(Kindle Direct Publishing)では、著者がAmazon上で電子書籍を販売した際に、販売価格に応じた割合で印税(ロイヤリティ)が支払われます。
この仕組みは非常にシンプルですが、どの条件でどの割合が適用されるかを正しく理解していないと、設定を間違えるケースが少なくありません。
たとえば「70%印税」として広く知られていますが、これは誰でも自動的に適用されるものではありません。
Amazonは「70%プラン」と「35%プラン」という2つの選択肢を設けており、条件を満たさない場合は自動的に35%になります。
販売価格や地域、配信コストなどの要素も関係しており、詳細はKDP公式ヘルプで定期的に確認することが重要です。
日本版KDPと海外版の違い(Amazon.co.jp前提)
KDPの仕組みは世界共通のように見えますが、実際には国ごとに細かな違いがあります。
「日本(Amazon.co.jp)で70%ロイヤリティを適用するには、KDPセレクト登録が原則条件です。仕様は変更され得るため最新の公式ヘルプ要確認。」
一方、米国など一部の国ではセレクト登録をしなくても70%を選べるケースがあります。
この違いを知らないまま設定してしまうと、「なぜか35%しか反映されない」という事態になりかねません。
また、日本では消費税や為替の影響なども考慮する必要があります。
公式では明確な説明があっても、実際の振込金額に若干の差が出ることもあり、そこに戸惑う著者は多いです。
ですので、まずは「日本のKDPでは70%を得るにはセレクト登録が必要」という点を最初に押さえておくのが安心です。
ロイヤリティが決まる2つのプラン(70%と35%)
KDPのロイヤリティプランは「70%」と「35%」の2種類があります。
それぞれの違いは、対象国・価格設定・登録条件などにあります。
70%プランを選ぶためには、KDPセレクトに登録し、販売価格を250円〜1,250円(または2.99ドル〜9.99ドル)の範囲に設定する必要があります。
また、配信コスト(1MBあたり数円〜十数円)が差し引かれる点も注意が必要です。
一方で、35%プランは登録不要で誰でも利用できますが、印税率が低くなります。
それでも、専門書や高価格帯の書籍では、あえて35%を選ぶ著者もいます。
価格を自由に設定できる柔軟さがあるため、販売戦略によっては35%プランの方が向いている場合もあるのです。
最終的にどちらを選ぶかは、本のジャンル・ページ数・読者層・販売戦略によって判断するとよいでしょう。
実際の印税額を把握したい場合は、KDPの管理画面で「ロイヤリティ計算ツール」を活用するのがおすすめです。
このツールを使うと、販売価格やファイルサイズから実際の収益をシミュレーションできます。
70%ロイヤリティを受け取るための条件【日本版KDP】
Kindle出版で70%ロイヤリティを受け取るには、Amazonのルールを正確に理解しておく必要があります。
特に日本のKDPでは、米国など他国と異なる条件が設定されています。
この章では、KDPセレクト登録や価格要件、配信コストなど、70%印税を得るために欠かせない要素を具体的に見ていきましょう。
KDPセレクトへの登録が必須となる理由
日本のAmazon.co.jpで70%ロイヤリティを選択するには、「KDPセレクト」への登録が必須です。
KDPセレクトとは、出版した電子書籍を一定期間(通常90日間)Amazon独占で配信する仕組みのことです。
「KDPセレクト登録でKU(読み放題)の対象になります。Prime Reading(旧オーナーライブラリ等)は選定制で自動参加ではありません(公式ヘルプ要確認)。」読まれたページ数に応じた追加報酬も発生します。
この「独占配信」が、Amazon側が70%という高いロイヤリティを設定している理由のひとつです。
ただし、KDPセレクトに登録すると、他の電子書籍ストア(楽天KoboやApple Booksなど)で同じ本を販売できなくなります。
この点を理解せずに登録してしまい、他サイトにも掲載してしまうと、規約違反になるおそれがあります。
筆者も初期の頃、「他サイトでも宣伝したい」と軽く考えてしまい、Amazonから警告を受けたことがありました。
独占配信という条件を守ることが、70%ロイヤリティを維持するための第一歩です。
販売価格の要件と対象国の範囲
70%ロイヤリティを選ぶには、販売価格にも条件があります。
日本では250円〜1,250円(税込)の範囲で設定する必要があります。
この範囲外に設定すると、自動的に35%ロイヤリティに切り替わる仕組みです。
また、対象となる販売国も限られており、日本(Amazon.co.jp)・アメリカ・カナダ・イギリスなど、Amazonが指定する「主要マーケット」での販売が条件となります。
もう一つのポイントは「価格整合性」です。
「他店での低価格販売はAmazonの価格調整(価格一致)対象になり得ます。リスト価格要件や適用ロイヤリティに影響する可能性があるため、同等価格の維持を推奨(公式ヘルプ要確認)。」
「とりあえず高めに設定しておこう」と思っても、読者の購買意欲を下げてしまうこともあります。
経験的に、700〜900円前後が最もバランスが良く、収益性と売れやすさを両立しやすい価格帯です。
配信コスト(Delivery Fee)の仕組みと注意点
70%ロイヤリティを選ぶ場合、「配信コスト(Delivery Fee)」が差し引かれる点も忘れてはいけません。
これはAmazonのサーバーを通じて電子書籍を配信する際にかかるデータ転送料です。
「配信コストは地域ごとに設定され、日本円では概ね1円/MBの水準です(最新の正式値は公式ヘルプ要確認)。」
特に画像を多く使った本やPDF変換が重い本は、このコストが積み重なりやすい傾向にあります。
筆者の経験では、イラスト入りエッセイを出版した際に「ページ数は少ないのに印税が想定より少なかった」ことがありました。
原因は画像データの圧縮不足で、配信コストが想定以上にかかっていたためです。
公式ヘルプにもある通り、KDPではJPEGやPNGの圧縮を推奨しています。
配信コストを抑えるだけで、結果的に収益が安定しやすくなります。
ファイルサイズの確認は、KDPの原稿アップロード前に必ず行いましょう。
70%ロイヤリティが適用されない代表的なケース
最後に、70%ロイヤリティが適用されない代表的なケースを整理しておきます。
1. KDPセレクトに登録していない
2. 販売価格が250円未満または1,250円を超えている
3. 対象国以外での販売のみを設定している
4. 配信形式に不備がある(例:画像が大きすぎる・ファイル破損)
5. 他の電子書籍ストアで同一タイトルを販売している
これらのうち、最も多いのが「KDPセレクト未登録」か「価格設定ミス」です。
また、Amazonのシステム側で一時的に条件が反映されない場合もあるため、「販売開始直後にロイヤリティが違う」と感じたときは、数日待つかサポートに確認しましょう。
筆者の実感としては、「KDPセレクト登録」「適正価格」「配信コスト管理」の3点を押さえておけば、基本的に問題は起きません。
逆に、このどれかが抜けていると印税が35%になり、想定の半分になることもあります。
70%を得るには、公式ルールを守りつつ、自分の出版スタイルに合った設定を意識することが大切です。
35%ロイヤリティプランを選ぶのはどんな場合?
70%ロイヤリティに注目が集まりがちですが、実は35%プランにも独自のメリットがあります。
条件に縛られず柔軟に販売できる点は、特定のジャンルや価格戦略を取る著者にとって有効です。
ここでは、35%プランの特徴と向いているケースを具体的に見ていきましょう。
登録不要で利用できるが収益率が低い理由
35%ロイヤリティプランは、KDPセレクトに登録しなくても自動的に利用できます。
出版時に「ロイヤリティオプション」を選ばなかった場合や、70%の条件を満たしていないときは、KDPが自動的に35%を適用します。
このプランは手続きが少なく、どの国でも販売できるため、初心者が最初に触れるロイヤリティ形態でもあります。
ただし、収益率が低いのは避けられません。
70%プランでは販売価格の約7割が印税として支払われますが、35%ではその半分しか得られません。
公式ヘルプでも明記されているように、これは「KDPセレクトに登録していない」「価格が条件外である」といった理由で、Amazonの優遇対象外になるためです。
実際に私も初めて出版したとき、価格を高めに設定した結果、自動的に35%に切り替わっていたことがありました。
そのときは「販売画面上の表示だけ見て設定した」のが原因で、詳細条件を確認していなかったのです。
このように、設定ミスや確認不足で印税が下がるケースは珍しくありません。
出版前にロイヤリティ欄を必ず確認する習慣をつけましょう。
価格設定の柔軟性とメリット・デメリット
35%プランの最大のメリットは、価格設定の自由度が高いことです。
70%プランでは250円〜1,250円という範囲に制限されますが、35%ならそれ以外の価格でも販売可能です。
たとえば専門書や高ボリュームの教材系コンテンツを3,000円以上で販売したい場合、このプランを選ぶことで現実的な価格設定ができます。
また、ペーパーバック(紙書籍)との併売を想定する場合にも、35%プランが選ばれることがあります。
電子版をあえて高めに設定し、紙版の販売を促進する戦略を取る著者もいます。
公式上では明示されていませんが、実務的には「紙と電子の価格差をつける」ことで販売導線を最適化できるケースもあるのです。
ただし、デメリットも明確です。
35%プランでは配信コストが差し引かれない代わりに、販売価格を下げても印税率が上がることはありません。
つまり、低価格で売っても利益率が悪く、広告費をかける場合は赤字になることもあります。
筆者の体感では、専門性の高い書籍や高単価の教材であれば35%プランが向いていますが、ライトな読み物やエッセイなどの場合は70%プランの方が安定します。
販売目的が「多くの読者に届けること」なのか「少数の読者に価値を届けること」なのかで、選ぶべきロイヤリティは変わります。
この違いを理解しておくことで、後から設定を見直す手間を減らせます。
35%プランは、単に「印税が低いプラン」ではなく、出版スタイルに応じた選択肢のひとつです。
自分の作品と目的に合った方を選ぶことが、結果的に一番の近道になります。
出版作業に時間をかけたくない方へ⏳
AI+外注で、自分は手を動かさずに出版を進める仕組みを手に入れませんか?
『フル外注AI式Kindle出版 実践マニュアル』を今だけ無料で配布中です👇
Kindle Unlimited・KDPセレクトの報酬の考え方
KDPセレクトに登録すると、Amazonの読み放題サービス「Kindle Unlimited(KU)」と「Amazonプライムリーディング」に自動参加できます。
この仕組みでは、本を“販売”するのではなく、“読まれたページ数”に応じて報酬が支払われるのが特徴です。
出版初心者の方にとって少し複雑に感じる部分ですが、仕組みを理解すれば安定した収益源になります。
ページ数連動で変動するKU(読み放題)の仕組み
Kindle Unlimitedでは、本が読まれるたびに報酬が発生します。
販売価格に関係なく、「読まれたページ数 × その月の単価」という計算方式です。
このページ数は「KENPC(Kindle Edition Normalized Page Count)」と呼ばれ、ファイルの形式や文字数から自動的に算出されます。
つまり、ページが多くても読まれなければ収益はゼロ、逆に短い本でも最後まで読まれればしっかり報酬が入ります。
ページ単価は毎月変動します。
たとえば、ある月は1ページあたり0.45円、別の月は0.47円という具合に、Amazon全体の「読み放題利用状況」によって決まります。
これは「KDPセレクトグローバル基金」という仕組みで、Amazonが世界中のKU対象本に分配する予算を毎月設定しているためです。
筆者の体感では、短編やエッセイなど軽めの本でも、継続して読まれれば意外と安定した収益になります。
実際、最初は1冊の販売よりも「読まれるページ」の方が多くの収益を生むケースもあります。
読者に「読み切ってもらえる構成」を意識することが、読み放題での成功につながります。
ロイヤリティとの違いと併用時の注意点
ロイヤリティ(販売印税)とKU報酬の違いを一言でいうと、「購入ベース」か「読了ベース」かです。
ロイヤリティは本が1冊売れた時点で確定しますが、KU報酬は読まれたページ数に応じて毎月変動します。
そのため、同じタイトルでも「販売」と「読み放題」の両方から収益を得ることができます。
ただし、KDPセレクト登録中はAmazon独占配信のルールがあるため、他の電子書籍サイトでは販売できません。
また、KUの収益は「70%ロイヤリティ」とは別の枠で計算されるため、同じ印税率を当てはめて考えないよう注意が必要です。
販売ページで「Kindle Unlimited 対象」と表示されていれば、その本は自動的にKUの読み放題対象になっています。
初心者がよくつまずくのは、「KUで読まれた分がロイヤリティに反映されない」という誤解です。
KU報酬はあくまで別枠で、毎月中旬〜下旬に確定される仕組みになっています。
もし売上レポートに「KENP Read」や「KENP Royalties」という欄があれば、それが読み放題の報酬部分です。
実務的には、1冊あたりの販売よりもKUでの読まれ方を重視する戦略が有効な場合もあります。
たとえば、シリーズ本や連作エッセイなどは「続きが気になる」構成にしておくと、1冊目から順に読まれ、安定的に報酬が入ります。
読み放題をうまく活用することで、定期的な読者の流入を得ることも可能です。
筆者自身も、販売よりKU報酬の方が上回った月がありました。
長期的に見ると、「読まれる本を作る」という意識が最も大切だと感じます。
KUはロイヤリティと違い、宣伝費をかけずに自然な読者を増やせる仕組みとも言えるでしょう。
AI×外注で出版したい方向けに、限定動画や実践マニュアルも公開しています。
ロイヤリティ計算と振込の仕組みを理解する
KDP(Kindle Direct Publishing)で得られる印税は、販売数だけでなく、価格設定や配信コスト、為替レートなどによって変わります。
「どれくらい売れたらいくら入るのか」を正しく理解しておくことで、出版後の収益を管理しやすくなります。
ここでは、印税計算の基本から支払いタイミング、税情報の登録、海外販売時の換算までを整理します。
印税の計算方法と支払いタイミング
KDPでの印税(ロイヤリティ)は、販売価格からAmazon手数料や配信コストを差し引いた残額に、ロイヤリティ率(70%または35%)を掛けて計算されます。
たとえば、販売価格が500円で70%ロイヤリティの場合、Amazonの手数料と配信コストを引いたうえで、おおよそ1冊あたり300円前後が著者の収益になります。
この計算はあくまで目安で、ファイルサイズや販売地域によって多少の差が出ることがあります。
印税の支払いは、売上が発生した月のおよそ60日後に行われます。
たとえば1月に販売された本の印税は、3月末ごろに支払われる仕組みです。
支払い方法は、銀行振込または海外口座送金(外貨建て)から選べます。
ただし、「日本の銀行口座へのEFT(銀行振込)は最低支払額の設定がない運用が一般的です。小額でも支払われます(ただし小切手・電信送金等は基準額あり/公式ヘルプ要確認)。」
筆者の体験では、出版初月に少額の売上があったものの、振込基準に達せず翌月にまとめて支払われたことがありました。
「まだ振り込まれていない」と焦る方もいますが、KDPでは月ごとに確定→翌々月支払いという流れが基本です。
また、Kindle Unlimited(読み放題)分の報酬も同様に、月ごとに集計されて同時に支払われます。
Amazonアカウントと税情報登録の基本
印税を受け取るためには、KDPアカウントに正しい銀行口座情報と税情報を登録しておく必要があります。
日本在住者は、国内銀行口座をそのまま利用できます。
振込はAmazon.com(米国KDP)経由で行われるため、登録時には「SWIFTコード」などの項目も求められます。
銀行名・支店名・口座番号などを間違えると、入金が遅れる場合もあるため注意が必要です。
税情報については、KDPアカウント内で「税務情報インタビュー」という手続きがあります。
ここで「米国非居住者」として登録し、日本の個人情報を入力すれば、日米租税条約に基づいて米国源泉徴収税(通常30%)の軽減または免除が適用されます。
この登録を怠ると、自動的に30%引かれた状態で支払われてしまうことがあります。
税務インタビューは一度設定すれば基本的に有効ですが、住所変更などがあった場合は再申請が必要です。
私自身も初回登録時にこの設定を忘れており、最初の支払いで源泉徴収されてしまった経験があります。
後日ヘルプから再申請し、翌月から修正されました。
公式ヘルプを参照しながら慎重に進めれば、手続き自体は10分程度で完了します。
海外販売がある場合の通貨換算(補足)
日本のAmazon.co.jpだけでなく、海外のAmazon(.com、.uk、.deなど)でも販売する場合は、通貨換算による誤差が発生します。
支払いは販売された国の通貨建てで集計され、その後に為替レートに基づいて日本円に換算されます。
このときの為替レートはAmazonが指定する内部レートであり、必ずしも銀行の公示レートと一致しません。
そのため、タイミングによってはわずかに金額が変動することがあります。
たとえばドル建て収益が増えるときに円安が進んでいれば、結果的に受け取る金額が多くなることもあります。
逆に円高のときは少なくなるため、年間の推移を見ながら管理することが大切です。
ただし、為替差益は確定申告時に雑所得として扱われる場合があるため、必要に応じて税理士など専門家に相談すると安心です。
このように、ロイヤリティの仕組みは少し複雑に見えますが、理解しておくことで「なぜ今月は多い・少ないのか」が明確になります。
出版後はKDPのレポート機能を定期的にチェックし、収益と支払いを見える化しておくと管理がしやすくなります。
よくある誤解と失敗例【公式ヘルプ要確認】
Kindle出版のロイヤリティ設定はシンプルに見えますが、実際には「気づかないうちに損をしている」ケースが少なくありません。
ここでは、初心者が特に間違えやすい3つのポイントを実例を交えて解説します。
どれも筆者自身が最初にぶつかった壁でもあり、「知っておくだけで防げる」内容です。
価格だけで70%になると勘違いしてしまう例
もっとも多い誤解は、「販売価格を条件内(250円〜1,250円)に設定すれば自動的に70%印税になる」と思い込んでしまうことです。
実際には、KDPセレクト登録と価格要件の両方を満たして初めて70%ロイヤリティが適用されます。
どちらか一方でも欠けていると、システム上は自動的に35%に切り替わります。
たとえば、初めて出版した著者が「価格は条件内だから大丈夫」と思っていたら、後日35%扱いになっていたという事例は非常に多いです。
筆者自身も最初の1冊で同じ失敗をしました。
KDPセレクトへの登録を忘れたまま出版してしまい、印税が想定の半分以下に。
販売ページ上では分かりづらく、管理画面を見て初めて気づいたほどです。
また、公式ヘルプ上では細かく条件が記載されていますが、販売地域によっても適用範囲が異なる点に注意が必要です。
特に「日本向け販売」で70%を得る場合は、KDPセレクトが事実上の必須条件です。
誤解を防ぐためにも、出版直前に必ずロイヤリティ設定画面を確認し、70%にチェックが入っているかを確認しましょう。
配信コストを考慮せず収益が減るパターン
もうひとつの落とし穴は、「70%ロイヤリティ=単純に儲かる」と思い込むことです。
実際には、70%プランには配信コスト(Delivery Fee)が発生します。
これは書籍データをAmazonサーバー経由で配信する際にかかる転送料のようなもので、1MBあたり数円〜十数円程度が差し引かれます。
このコストを見落とすと、「売れているのに利益が少ない」という現象が起こります。
特に、画像を多用した書籍やデザイン中心の本ではファイルサイズが大きくなりやすく、結果的に印税が減ることがあります。
筆者も写真入りの旅行エッセイを出版した際、印税計算が想定より2割ほど低くなっていたことがありました。
原因を調べると、画像データの圧縮が甘く、配信コストが想定よりも高くなっていたのです。
画像を圧縮してファイルサイズを軽くする、テキスト中心の構成にする、などの工夫でコストを抑えられます。
KDPではアップロード後に推定配信コストを確認できるので、出版前に必ずチェックするのがおすすめです。
「70%だから安心」と思わず、コストを含めた実収益で考えるのがプロの著者の視点です。
ペーパーバックとの印税計算の違い(補足)
電子書籍とペーパーバック(紙書籍)では、印税の計算方法が大きく異なります。
電子書籍は販売価格×ロイヤリティ率で計算されますが、ペーパーバックの場合は印刷コストが差し引かれます。
そのため、同じ価格でも印税額は大きく変わります。
たとえば1,000円のペーパーバックを販売した場合、印刷コストやAmazon手数料を差し引くと、著者の取り分は200〜300円前後になることが多いです。
これに対し、同価格の電子書籍で70%ロイヤリティを選べば、配信コストを除いても500〜600円ほどの印税が期待できます。
ただし、ペーパーバックは紙媒体ゆえの「信頼性」や「プレゼント用途」など、電子にはない価値があります。
実際、筆者も同じタイトルで電子書籍と紙書籍を併売したところ、口コミやレビューが増え、電子版の売上も上がりました。
印税の高低だけでなく、「どんな読者に届けたいか」を軸にフォーマットを選ぶと、結果的に収益が安定します。
このように、KDPのロイヤリティは数字だけで判断するのではなく、条件やコスト、出版目的を含めてトータルで考えることが重要です。
特に初心者のうちは、公式情報を確認しながら一冊ずつ検証していくことが、失敗を防ぐ一番の近道になります。
ロイヤリティを最大化するための実践ポイント
Kindle出版で継続的に収益を得るには、単に本を出すだけでなく、「読まれる仕組み」と「利益を残す仕組み」を意識することが大切です。
ここでは、ロイヤリティを最大化するために著者が意識すべき3つの実践ポイントを紹介します。
どれも筆者が実際に経験を積みながら得た知見であり、初期段階から意識しておくことで、出版後の成果が大きく変わります。
読まれやすい価格帯と販売戦略の考え方
電子書籍の価格設定は、ロイヤリティ率だけでなく「読者の心理」とも深く関係しています。
KDPでは70%ロイヤリティの適用範囲が250円〜1,250円ですが、この範囲内でも読まれやすい価格帯はジャンルによって異なります。
ビジネス書や実用書であれば400〜800円、小説やエッセイなど娯楽性の高い作品なら300〜500円前後が一般的です。
筆者の経験では、最初の1冊は“利益よりも認知”を優先した価格に設定するのが効果的でした。
読者が「試し読みしやすい価格」にすることで、レビューや購入履歴が蓄積され、後続作品の信頼性が上がります。
特にシリーズ化を予定している場合、1冊目を低価格(または無料キャンペーン)にする戦略は有効です。
また、KDPセレクトを利用している場合は「無料キャンペーン」や「期間限定セール」を活用することで、Amazon内での露出が高まります。
これは公式が明言しているわけではありませんが、販売やダウンロード数の増加により、アルゴリズム上で一時的に検索上位に表示されやすくなる傾向があります。
価格を固定せず、販売データを見ながら調整していくことが、長期的な収益安定につながります。
シリーズ出版・Kindle Unlimitedの活用で安定収益を狙う
1冊完結型の本よりも、シリーズ展開を意識した出版のほうが安定した収益を得やすい傾向にあります。
シリーズ化することで、読者が「次も読んでみたい」と感じ、自然とリピーターが増えるからです。
この「シリーズ効果」は、KU(Kindle Unlimited)と組み合わせるとさらに強化されます。
Kindle Unlimitedでは「ページを読まれた分だけ報酬が入る」仕組みのため、読者がシリーズをまとめて読むとページ単価報酬が積み重なります。
筆者も実際に、1冊目の販売数よりもKU報酬の方が多くなった時期がありました。
特にエッセイや日記形式の作品は、テーマを分けて複数冊に展開すると、読者の関心が持続しやすくなります。
また、シリーズを出版する際はタイトルやサブタイトルに一貫性を持たせることも重要です。
たとえば「○○入門」「○○実践」「○○応用」と段階を示すことで、検索結果やAmazonページで読者が見つけやすくなります。
継続して読まれる仕組みをつくることが、KDP出版を“単発”で終わらせない鍵です。
税金・確定申告の基礎(日本在住著者向け)
KDPで得た印税は、原則として「雑所得」または「事業所得」として確定申告の対象になります。
副業レベルで始める場合でも、年間の所得が20万円を超えると申告が必要です。
この点を知らずに放置してしまい、後から修正申告を求められるケースもあります。
印税の入金は海外送金扱いのため、「米ドル換算での収入証明」が必要になる場合があります。
そのため、支払い履歴をKDPダッシュボードから定期的にダウンロードし、為替レートと一緒に保存しておくと安心です。
筆者は、クラウド会計ソフトを使って自動記録することで、確定申告の手間をかなり減らせました。
また、KDPの報酬は源泉徴収されないため、自分で税金を納める必要があります。
収益が安定してきたら、「開業届」を出して青色申告を行うと、経費計上や控除の幅が広がり、実質的な手取りが増えます。
公式ヘルプや税務署サイトで最新情報を確認しながら、早めに準備しておきましょう。
まとめ:KDPロイヤリティの正しい理解が出版成功の第一歩
KDPのロイヤリティ制度は、一見シンプルでも、仕組みを理解しているかどうかで結果が大きく変わります。
「70%を選んだのに思ったより少ない」「KU報酬の仕組みがわかりにくい」という声は、実は正しい知識を持てば防げるものです。
出版はゴールではなく、スタートです。
一度ルールを把握してしまえば、KDPは個人でも十分に再現性のあるビジネスモデルになります。
これから出版を考えている方は、まずロイヤリティと配信条件を丁寧に理解し、自分に合った戦略を立ててみてください。
小さな1冊でも、正しい知識があれば確実に成果を積み重ねることができます。
AI×外注で出版したい方向けに、限定動画や実践マニュアルも公開しています。

