のべ600名以上・累計5,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。
Kindle出版を始めるときに多くの人が最初に不安を感じるのが「著作権」です。
「どこまでがOKで、どこからが違反なのか?」という線引きがあいまいなまま出版してしまい、後から差し戻されるケースも少なくありません。
この記事では、日本のAmazon KDPで電子書籍を出版する際に必要な著作権の基本と、注意すべき実務上のポイントをわかりやすく整理します。
特に、他人の文章や画像を引用する際のルール、AI生成コンテンツを扱う際の考え方など、「出版前に確認しておくべきこと」を具体的に解説します。
▶ 規約・禁止事項・トラブル対応など安全に出版を進めたい方はこちらからチェックできます:
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Kindle出版と著作権の前提(日本のKDP前提・電子書籍が主軸)
著作権は「知的財産」を守るための法律であり、Kindle出版においてはもっとも基本的かつ重要なルールです。
KDPの審査では、文章の内容だけでなく、画像やデータの出典、メタデータの正確性などもチェックされます。
そのため、出版者が自分の権利を守ると同時に、他人の権利を侵害しないことが求められます。
ここでは、著作権の基礎からKDP特有の注意点までを確認していきましょう。
「著作権とは?」Kindle出版でまず押さえる基本用語(著作者・権利者・利用許諾)
著作権とは、作品を創作した人(著作者)が持つ「使い方をコントロールする権利」です。
文章、イラスト、写真、図表、音楽、プログラムなど、創作性があれば自動的に発生します。登録手続きは不要です。
Kindle出版で特に大切なのは、「著作者」と「権利者」が必ずしも同じとは限らない点です。
たとえば、外注ライターに依頼した場合、契約内容によっては著作権が著者本人ではなくライター側に残ることもあります。
「利用許諾(ライセンス)」とは、著作物の使用を第三者に許す契約のことです。
画像や資料を使う場合は、「商用利用可」「再配布可」などの条件を必ず確認しましょう。
フリー素材サイトでも、利用条件を誤解してKDPから差し戻されるケースは意外と多いです。
KDPで問題になりやすい権利の種類(複製権・翻案権・公衆送信権 など)
KDPで著作権トラブルになりやすいのは、「複製権」「翻案権」「公衆送信権」に関する部分です。
複製権とは、他人の作品をコピー・再現する権利のこと。無断転載やコピペは明確な侵害です。
翻案権は、既存の作品を改変して新たな形で発表する場合に関わります。たとえば、人気の小説を要約して出版したり、著名人の発言を独自の形で再編集するような場合は注意が必要です。
公衆送信権は、インターネット上で著作物を公開・配信する際に発生します。Kindle出版も電子配信にあたるため、この権利を侵害すると販売停止になることがあります。
実際には「出典を明記していればOK」と誤解されがちですが、それだけでは足りません。
引用の目的や量、文脈上の主従関係など、法律上の条件を満たす必要があります。
そのため、「自分の言葉でまとめ直す」か「正式な許諾を得る」という二択を意識するのが安全です。
メタデータと内容の一致義務(タイトル・説明文・キーワードの整合性)
KDPでは、書籍の「タイトル・説明文・著者名・キーワード」などのメタデータが、実際の内容と一致している必要があります。
これは著作権というよりも、Amazonのコンテンツポリシーに基づく品質管理の一部です。
たとえば、説明文に「公式」「認定」「非公開情報」など誤解を招く表現を入れると、ガイドライン違反とみなされることがあります。
また、他の書籍名や著名人の名前を不自然に多用するのもNGです。検索上位を狙う目的でも、キーワード詰め込みはリジェクトされることがあります。
このあたりは公式ヘルプにも明記されていますが、実際の審査ではより厳しくチェックされる傾向にあります。
経験上、メタデータを丁寧に整えるだけで審査スムーズさが大きく変わることもあります。
結局のところ、「読者を誤導しない・正確で一貫性のある情報を出す」という基本姿勢が、KDPでの信頼性と継続的な出版活動の土台になります。
出版前チェックリスト:Kindle出版で必要な権利確認
Kindle出版の最初の壁は、「この素材、本当に使って大丈夫?」という権利確認です。
自分が書いた文章であっても、共著者や監修者が関わる場合、または引用や画像を使う場合は、出版前に必ず著作権・利用許諾の範囲を確認しておく必要があります。
ここでは、実務的に見落とされがちな6つの確認ポイントを整理します。
自著か共同著作かの判定(共著者の同意・監修者の扱い)
Kindle出版でよくあるのが、「共同で作った原稿を自分の名前だけで出してしまう」ケースです。
著作権法では、複数人が創作に関わった場合、その作品は「共同著作物」とみなされます。
つまり、他の著作者全員の同意なしに出版・販売することはできません。
監修者や編集協力者がいる場合も注意が必要です。
「監修」と表記するなら、内容の責任や表現の同意があったことを明確にしておきましょう。
経験上、メールや契約書で「出版への同意」を残しておくと後のトラブルを防ぎやすいです。
特に学術系やビジネス書などでは、肩書きの扱いひとつでも誤解を招くことがあります。
画像・図表・写真のライセンス確認(商用可・クレジット必須・再配布不可の線引き)
画像素材は、著作権トラブルの最も多い領域です。
「フリー素材」と書かれていても、必ずしも「商用利用可」ではありません。
利用条件に「クレジット表記必須」や「再配布不可」と書かれていれば、KDPで販売する際に違反となる可能性があります。
たとえば、PixabayやUnsplashなどの有名サイトは比較的ゆるいライセンスですが、個人ブログで配布されている素材やAI生成画像は扱いが異なります。
とくにAI画像の場合、学習データに第三者の著作物が含まれていると判断されるケースがあり、Amazonの審査で止まることもあります。
安全策としては、「ライセンス明記+スクリーンショットで保存+出典記載」を徹底しておくことです。
引用の要件と分量の考え方(必要最小限・出典明記・公正な範囲)
「引用」は、著作権法で認められた正当な利用方法ですが、条件を満たさなければ違反になります。
基本的には以下の3点を守ることが重要です。
1. 主従関係:自分の主張を補強するために引用を使う(引用が主にならない)
2. 明確な区別:引用部分をカギ括弧などで明示し、出典を明記する
3. 必要最小限:過度な量を引用しない
引用は自著が主で引用が従となる関係と、必要最小限・出典明記などの要件を満たすことが重要です(具体割合は法定されていません/公式ヘルプ要確認)。
また、「ネット記事を転載」「SNSの投稿を引用」なども無断では不可です。
著作者の意図を損なう引用はトラブルの原因になります。
引用部分の比率や表現に迷った場合は、「自分のオリジナル部分が主であるか」を判断軸にしましょう。
公的資料・統計・オープンデータの可否(ライセンス表記と改変表示)
政府や自治体が公開している資料は、一般に「自由利用」が認められていますが、出典表記や改変の明記が必要です。
政府・公的機関データは各機関の利用規約(例:政府標準利用規約、Open Government License、CC系など)に従います。
条件は機関・資料ごとに異なるため、個別のライセンス表記を確認してください。
ただし、「編集・加工したデータをあたかも自分の独自調査のように見せる」と、誤認を招きかねません。
オープンデータは便利ですが、必ず利用条件を確認し、「改変した場合はその旨を明記」しましょう。
AIツールで生成したグラフなども、元データの出典が公共機関なら、ライセンス条項を守る必要があります。
このあたりは「著作権」と「出典明記義務」が重なるポイントなので慎重に扱いましょう。
パブリックドメイン/著作権切れの確認手順(翻訳・編注での注意)
著作権が切れた作品(パブリックドメイン)は自由に使えますが、「翻訳」や「解説」を加える場合には新たな著作権が発生します。
つまり、過去の作品をそのまま転載するのは問題なくても、「他人の翻訳版」を無断で使うのはNGです。
明治時代などの古典文学を出版する場合は、青空文庫や国会図書館データベースなど、権利状態が明確なものを利用するのが安全です。
また、タイトルを変えただけの「再編集版」は、審査で「重複コンテンツ」とみなされる可能性もあります。
「古典を題材にするなら、解説・現代語訳・背景説明など、オリジナル要素を明確に入れる」ことがポイントです。
AI生成コンテンツの扱い(KDPでの申告・学習源不明素材の注意点)
近年、AIを使った執筆や画像生成が増えていますが、KDPでは「AI生成コンテンツ」を登録時に申告する項目が追加されています。
これは、著作権侵害のリスクを回避するための仕組みです。
特に、学習データに第三者の著作物が含まれる可能性がある場合は注意が必要です。
AIを使う場合は、(1) 完全に自分の指示で生成したか、(2) 他人の作品を模倣していないか、の2点を明確にしておくことが大切です。
また、文章や画像をそのままコピペせず、構成・文体を自分の言葉に置き換えることが望ましいです。
最終的には、「著作者としての責任を持てるか」を基準に判断すると安全です。
AIを活用するのは効率的ですが、「生成=自分の著作物」とは限らないことを忘れずに。
不明点はKDPの公式ヘルプやガイドラインを都度確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。
NG・グレーの線引き(抽象化した注意喚起/規約準拠)
Kindle出版で特に注意すべきなのが、「NG」と「グレー」の境界にある表現や素材の扱いです。
一見 harmless(無害)に見えても、KDPのガイドライン上は違反扱いになるケースがあります。
実際、出版経験者のあいだでも「どこまで許されるのか」が誤解されがちです。
ここでは、よくトラブルになる4つの領域を具体的に整理しておきます。
有名キャラクター・ロゴ等の利用可否(商標・著作物の混同回避)
有名キャラクターや企業ロゴは、著作権と商標権の両方で保護されています。
たとえ「ファンアート」や「オマージュ」のつもりでも、KDPでは無許可利用と判断されることが多いです。
特に、キャラクターのシルエットや特徴的なセリフなど、元ネタが特定できる要素は避けるべきです。
商標に関しても、「Apple」「YouTube」「LINE」などのブランド名をタイトルや表紙に含めると、混同を招く恐れがあります。
たとえば「LINEで学ぶ心理術」のようなタイトルは、商標誤用としてリジェクトされる可能性があります。
どうしても必要な場合は「非公式」「解説」「活用事例」などを加え、誤認防止の説明を入れましょう。
経験的にも、“ブランド名を主語にしない”構成にすることが安全です。
ウェブ記事・SNS投稿の転載は原則不可(スクショ・まとめ行為の注意)
KDPでは、ウェブ記事やSNS投稿の転載は基本的に禁止されています。
ブログ記事を引用・要約したつもりでも、「転載」と判断されるケースが多いです。
特にスクリーンショットをそのまま載せる行為は、明確なガイドライン違反になります。
SNSの投稿も同様で、ツイートやコメントを大量に集めてまとめると、第三者の著作物を無断利用している扱いになります。
著作者の許諾がある場合を除き、引用の範囲を超える転載は避けましょう。
また、AI要約や自動収集ツールを使うと、意図せず他人の著作物を取り込んでしまうこともあるので注意が必要です。
“ネットにある=自由に使える”ではないという基本を常に意識しておくと安心です。
ストック素材の落とし穴(再販・テンプレ再配布・商品化NGの読み違い)
ストック素材サイトのライセンスを誤解するトラブルもよくあります。
商用利用可と書かれていても、「再販」「再配布」「商品化」は禁止されているケースがほとんどです。
Kindle出版は「販売」を伴うため、単に素材を使っただけの書籍は商品化扱いになることがあります。
たとえばCanvaやAdobe Stockなどでは、「テンプレートをそのまま使って再販売する」行為は禁止です。
見た目を少し変えただけではオリジナル作品とは認められません。
「自分で構成・編集し直した独自デザインであること」を示す工夫が必要です。
経験的には、素材は“飾り”ではなく“構成要素の一部”として使うと判断が安全です。
レビュー・口コミ引用の扱い(出典・改変禁止・誤認誘導の回避)
Amazonや他サイトのレビュー、口コミの転載も要注意です。
たとえ自分の商品へのレビューであっても、KDPの書籍内で再利用することはできません。
レビューは著作権の対象となる「個人の文章」であり、出典明記しても引用要件を満たさないことが多いです。
また、他人のレビューを意図的に編集したり、良い部分だけ抜き出して掲載するのも誤認誘導とみなされます。
「読者の声を紹介したい」場合は、必ず本人の同意を取るか、アンケート形式で新たに収集しましょう。
公式ヘルプでも、レビュー・評価の改変や引用は繰り返し禁止と明記されています。
結局のところ、“引用”と“転載”の境界を理解し、第三者の意見を商業的に利用しない姿勢が、KDP運営からの信頼につながります。
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KDP規約と審査で見られるポイント(差し戻し防止)
KDPの審査は、著作権や表現内容だけでなく、「品質」や「信頼性」もチェックされます。
表紙やタイトルが通っても、本文がAI生成まる出しだったり、内容が薄すぎたりすると販売停止になることもあります。
ここでは、経験者が実際に遭遇しやすい「差し戻しポイント」と、その回避策をまとめます。
重複コンテンツ・低品質判定の代表例(自動生成依存・薄い内容の回避)
もっとも多い差し戻し理由が、「重複コンテンツ」や「低品質コンテンツ」とみなされるケースです。
たとえば、他の書籍やウェブ記事と構成・文体が酷似している場合や、AI生成文をそのまま使っている場合は要注意です。
AI生成コンテンツの扱いは申告と品質基準の遵守が重要です。
検出手法の詳細は非公開のため推測は避け、最新の公式ガイドに従いましょう(公式ヘルプ要確認)。
また、「まとめ系」や「格言集」など、引用ばかりで独自の解釈や体験がない書籍もリジェクトされやすいです。
公式では「オリジナル性と付加価値のある内容」を求めており、単なる情報整理だけでは審査を通過できません。
経験上、具体例・ストーリー・著者自身の経験談を入れると通過率が大きく上がります。
さらに、AIを補助的に使う場合も「執筆補助」として明示し、必ず人間の編集・確認を経ている形にしましょう。
KDP登録画面の「AIコンテンツ申告」は正直に記載して問題ありません。
虚偽申告のほうが、後から販売停止・アカウント制限のリスクが高まります。
メタデータ違反・ランキング誘導表現の禁止(誇張・確約・煽りの回避)
もうひとつ多いのが、「メタデータ違反」と「過剰なセールス表現」です。
メタデータとは、タイトル・副題・説明文・キーワード・カテゴリなど、書籍を識別するデータ全般のこと。
これらが実際の内容と一致していない場合、審査で止まるか、最悪の場合は販売停止になります。
たとえば、タイトルに「公式」「完全版」「認定」などの文言を入れるのは誤認を招くため禁止です。
また、説明文で「必ず稼げる」「最短で成功する」などの確約・煽り表現もガイドライン違反になります。
「おすすめ」「効果的」などのやわらかい表現に置き換えるだけでも、安全度はかなり上がります。
ランキングやレビュー誘導も禁止項目です。
誇張・確約・誤認を招く実績表現はメタデータや商品説明で制限されます。
使用の可否や要件は最新のコンテンツガイドラインに合わせて確認してください(公式ヘルプ要確認)。
数字で実績を示したい場合は、書籍内の「著者紹介」などに簡潔に記載し、誤解を与えない表現に留めましょう。
差し戻し時の対応フロー(修正→再申請→明確化のコツ)
差し戻し(リジェクト)を受けた場合も、慌てる必要はありません。
まずは、KDPから届くメールの内容をよく読みましょう。
理由が「メタデータ不一致」「コンテンツ品質」「権利関連」など、カテゴリごとに書かれています。
特にKDPのメールはテンプレート調なので、具体的な問題点が分かりにくいこともあります。
その場合は、該当箇所を一度削除・差し替えして再申請するのが早道です。
同じ内容をそのまま再送すると、審査が長引く傾向があります。
また、修正後に「説明メモ(問い合わせフォーム)」から簡潔に理由を添えるのも効果的です。
たとえば「誇張表現を削除し、内容の整合性を修正しました」と書くだけでも伝わりやすくなります。
このときのポイントは、“反論ではなく説明”を意識することです。
審査担当者とのやり取りはすべて記録されているため、誠実な対応が信頼につながります。
最終的に、審査に通る本は「読者に誤解を与えず、著者の意図が明確な本」です。
リジェクトはマイナスではなく、「より良い内容に仕上げるためのチャンス」と捉えると、次に活きます。
AI×外注で出版したい方向けに、限定動画や実践マニュアルも公開しています。
引用・出典・参考文献の書き方(Kindle本に最適化)
Kindle本では紙の体裁をそのまま移植すると読みにくくなります。
「書内で様式を統一する」ことと、端末でタップしやすいリンク実装を意識すると、審査面でもUX面でも安定します。
学術書ほど厳密にせずとも、著者名・年・タイトル・所在情報(URLや出版社)・参照日を欠かさないのが基本です。
章末/巻末の出典整理(著者名・年・URL・アクセス日)
出典は「章末に簡易」「巻末で完全」の二段構えが読みやすいです。
章末では本文の流れを切らない短い形式、巻末では書誌情報を網羅する形式にします。
Kindleではスクロールが長くなりがちなので、章ごとに簡易出典を置くと読者が迷いません。
最小限の推奨要素は以下です。
著者名(個人/団体)、発行年、タイトル、所在情報(出版社またはURL)、アクセス日(オンラインの場合)です。
年が不明なら「n.d.」などの注記で統一します(書内で統一)。
【章末・簡易例】
山田太郎(2023)『KDPガイド』、第3章参照。
総務省(2024)「通信利用動向調査」最終閲覧:2025-10-29。
【巻末・完全例】
山田太郎(2023)『KDPガイド』技術社。
総務省(2024)「通信利用動向調査」[https://www.example.go.jp/report/xxxx](https://www.example.go.jp/report/xxxx) 最終閲覧:2025-10-29。
DOIがある場合はURLよりDOIの恒久リンクを優先します。
号・巻・ページなどの要素は紙の文献では有用ですが、Kindleの読者はURLと参照日の方を重視する傾向があります。
不確かな項目は推測で埋めず「公式ヘルプ要確認」等の注記で濁さず明示しましょう。
電子書籍のリンク実装と注意(リンク切れ・短縮URLの扱い)
リンクは必ずアンカーテキストに意味を持たせ、URLの直貼りは最小限にします。
「こちら」より「総務省・通信利用動向調査(PDF)」のように内容が伝わる文言にします。
端末種別での可読性を考え、1行にリンクを詰め込みすぎないことも大切です。
短縮URLは原則使わないのが安全です。
目的地が不明瞭だと読者の不信感や審査上の確認に時間がかかることがあります。
長いURLは見出しリンク化するか、巻末の参考文献に集約し、本文では簡潔なアンカーを置きます。
リンク切れ対策として、一次情報(省庁・学会・出版社)を優先し、代替としてWebアーカイブの存在を巻末注で示します。
ただしアーカイブURLを本文に多用すると可読性が落ちるので、巻末で補足する運用が無難です。
外部規約や機能は変更されるため、具体仕様は「公式ヘルプ要確認」と添えておくと親切です。
画像クレジットとキャプションの基本(ライセンス表記の置き場所)
画像はキャプションで出典・ライセンスを簡潔に示し、巻末に詳細クレジットをまとめる二段構えが読みやすいです。
キャプションには「出典名/作者名・年・ライセンス種別・必要ならURL」を入れます。
商用可否や要クレジットの条件は、取得元のライセンス記述に従って正確に反映します。
【キャプション例】
図1 書籍販売の流れ(出典:Example Agency、CC BY 4.0)。
写真:Hanako Suzuki, 2024(使用許諾取得済み)。
【巻末クレジット例】
図1:Example Agency “Publishing Flow Diagram”,CC BY 4.0。
[https://example.com/flow](https://example.com/flow) 最終閲覧:2025-10-29。
写真(p.42):Hanako Suzuki(2024)提供。
ストック素材は「再配布不可」「テンプレ再販売不可」などの条項に注意し、書籍の電子配信が商用利用に当たるかを事前に確認します。
出典サイトのクレジット表記指定がある場合は、指定順・指定文言を崩さないでください。
判断に迷う条件は、個別ライセンスのFAQやサポートで確認し、「公式ヘルプ要確認」と書内で断定を避けます。
Kindleでの引用・出典は「統一フォーマット」「端末で読みやすい配置」「一次情報の優先」が基本です。
読者が迷わず検証できるように整えることが、結果的に信頼とレビューの質を高めます。
共同著作・監修・外注の契約実務(トラブル予防)
Kindle出版では、個人で執筆する場合だけでなく、複数人での共同制作や、専門家への監修依頼、ライターへの外注も一般的です。
しかし、この段階で契約や権利の取り決めを曖昧にすると、後々のトラブルにつながるケースが非常に多いです。
ここでは、KDPの規約を踏まえつつ、現場で押さえるべき実務的なポイントを整理します。
共同著作者の権利と同意取得(著作者人格権への配慮)
複数人で共同執筆した場合、その全員が「共同著作者」となります。
つまり、ひとりが勝手にKindle出版を進めることはできず、**全員の同意**が必要です。
出版後も、修正・価格変更・改訂といった更新を行う際には、基本的に全員の合意を取るのが原則です。
また、著作者人格権(氏名表示権や同一性保持権)にも配慮が必要です。
たとえば、「自分の名前を外してほしい」「内容改変は同意できない」という共同著者がいた場合、これを無視して出版すると権利侵害になることがあります。
実務では、執筆前に「著作権・著作者人格権の扱い」について書面で合意しておくのが安全です。
シンプルな覚書でも構いません。誰がどの部分を担当したのか、出版権をどちらが持つのかを明記しておくと安心です。
監修・編集・寄稿のクレジット方針(責任範囲の明確化)
「監修」や「編集協力」「寄稿」といった立場は、著作権法上の“著作者”に含まれないケースも多いです。
ただし、実際の出版では読者が誤解しやすく、責任の所在が曖昧になりがちです。
監修者を明記する場合は、「内容責任は著者、監修者は事実確認のみ関与」など、関与範囲を明確に記しておきましょう。
クレジット表記も統一感を持たせると信頼度が上がります。
例としては、
・著:山田太郎 監修:佐藤花子
・執筆:山田太郎 編集協力:株式会社○○編集部
のように、役割ごとに並列表記するのが一般的です。
また、監修者の氏名を使う場合は、必ず本人の許諾を取りましょう。
監修名の無断記載は「パブリシティ権(名前の商業利用権)」の侵害にあたる可能性があります。
外注・ライター契約の条項例(著作権譲渡/ライセンス/再利用可否)
外注ライターや編集者に制作を依頼する場合、最も重要なのは著作権の帰属です。
基本的に、著作権は“創作した人”に発生するため、契約書で譲渡を受けるか、出版利用のライセンスを明示する必要があります。
代表的な条項の考え方は以下の通りです。
【著作権譲渡型】
「本業務により作成された成果物の著作権は、納品と同時に発注者に譲渡される。」
【利用許諾型】
「本成果物の著作権は制作者に帰属するが、発注者は出版・販売・宣伝等に無期限・無償で利用できる。」
どちらを選ぶかは案件の性質によりますが、電子書籍出版の場合は譲渡型が多いです。
ただし、ライターが同様の内容を他社で再利用する可能性があるなら、「再利用禁止」条項も設けましょう。
一方で、AI生成コンテンツや画像素材を外注する場合は、生成ツールの利用規約も含めてチェックが必要です。
実務では、「再配布禁止素材を使っていないことを保証する」条文を1行入れるだけで、後のリスクを大幅に減らせます。
契約書を用意できない場合でも、メールやチャットで「権利関係を明示した確認メッセージ」を残しておくこと。
これだけでも、トラブル時の証拠として有効です。
出版は一度世に出すと後戻りが難しいため、権利関係は最初にしっかり整理しておきましょう。
ケースで学ぶ:Kindle出版の著作権トラブル回避
著作権トラブルは「意図的な違反」よりも、「知らなかった」「大丈夫だと思っていた」から起きるケースのほうが圧倒的に多いです。
ここでは、実際にKDP審査で差し戻しになりやすい3つのケースをもとに、実務的な対応と再発防止策を解説します。
画像ライセンス不備で差し戻し→修正の手順(記録の残し方)
最も多いのが「画像の使用許可が不十分」と判断されて販売停止になるケースです。
とくに無料素材サイトやAI生成画像を使った場合、“商用利用可”でも出典明記が必要な素材が多いことを見落としがちです。
たとえば、UnsplashやPixabayでも、クレジット不要と明記されていても「被写体の権利までは保証しない」ケースがあります。
私自身、以前にAI生成画像を使った電子書籍を申請した際、「一部の画像がライセンス情報不明」との理由で差し戻されたことがあります。
そのときは、使用したツール(例:Canva、Leonardo.ai)と生成日時、利用規約のスクリーンショットを添付し、著作権上問題ない旨を説明して再申請しました。
KDPでは審査担当者によって判断が細かく異なるため、**「証拠を残しておく」ことが最大の防御策**です。
修正時のポイントは、
・画像を差し替えた場合は必ず新しいライセンスURLを明記する。
・出典を本文または巻末クレジットに追加する。
・再申請時に「差し替え完了・ライセンス明記済み」とコメント欄で説明する。
この3点を押さえると再審査はスムーズに通りやすくなります。
無許可翻訳のNGと代替策(要約・独自解説・引用の線引き)
次に多いのが「海外サイトや洋書を無断で翻訳して掲載してしまう」ケースです。
これは明確に著作権侵害となります。
「引用だから大丈夫」と誤解されやすいですが、翻訳は著作権法上“翻案”にあたるため、原著作者の許可なしには出版できません。
ただし、完全に使えないわけではありません。
対策としては「要約」や「自分の言葉で再構成」する方法が有効です。
原著の主張や考え方を紹介する際は、
「〇〇氏の著書では、△△という視点が示されています」と明示し、直接の翻訳文を避けるのが安全です。
また、引用部分をどうしても入れたい場合は、**全体の1割未満程度にとどめ、出典を明記する**のが原則です。
私の経験上、KDPでは「翻訳書」として登録していないのに英文書の内容を日本語に置き換えて掲載していると、AI検出で差し戻されることがあります。
そのため、翻訳文を含む書籍では「翻訳ではなく解説・要約として編集した旨」を説明文に加えるのが無難です。
引用過多で「実質転載」と判断されるケース(分量・比率の見直し)
最後に注意したいのが「引用が多すぎるため実質転載と判断される」ケースです。
これはニュース・論文・レビュー記事などで特に起きやすい問題です。
KDPでは「引用目的を逸脱している」「引用部分が主要な構成になっている」と判断されると、販売停止になります。
具体的な基準は明示されていませんが、経験上は「全体の2割以内」が安全ラインです。
また、引用の直前には「以下、〇〇より引用」と明示し、引用後に必ず自分の解説や意見を添えることが重要です。
これを怠ると、AIチェックで「転載率が高い」と判定されることがあります。
引用は“主”ではなく“従”であることが原則です。
自分の分析や体験、考察を中心に据え、引用はその裏付けとして使うと構成のバランスが良くなります。
なお、ニュースサイトやブログ記事の転載はほぼすべてNGです。
特に画像・スクリーンショット付きの引用はリジェクト対象となりやすいので、必要に応じて出典元へのリンクを貼るなどの方法を取りましょう。
KDPの審査では「引用が正しくても、全体の印象が転載に見える」と判断されることもあります。
そのため、原文量より自分の解説・考察量を増やす意識を持つことが、最も確実なリスク回避です。
Kindle出版では、「どの部分が自分のオリジナルか」を説明できる状態を常に意識しましょう。
それが結果的に、審査にも読者にも信頼される作品づくりにつながります。
ペーパーバックの補足(電子が主軸/最小限の権利表示)
Kindle出版は電子書籍が主軸ですが、希望すれば同じ原稿でペーパーバック版(印刷書籍)も発行できます。
ただし、電子版とは異なり、紙ならではのレイアウトや権利表記の扱いに注意が必要です。
ここではペーパーバック特有の「クレジット表記」と「ページ数の要件」について、最低限押さえておくべきポイントを紹介します。
表紙・本文のクレジット位置と最小ページ数の注意(日本のKDP前提)
まず、ペーパーバックでは「著作権表示(©表記)」を本文冒頭または奥付ページに入れるのが一般的です。
書式に厳密なルールはありませんが、以下のような形式が推奨されます。
【例】
© 2025 Himawari Katagiri. All Rights Reserved.
(日本語訳:© 2025 片桐向日葵 無断転載・複製を禁ず)
このように、著者名と発行年を入れるだけで、他者による流用を抑止する効果があります。
ただし、翻訳や共著の場合は「© 2025 Author Name & Translator Name」のように関係者全員を記載します。
クレジット位置は「表紙裏(タイトルページの前)」または「奥付ページ(最終ページ付近)」が一般的です。
見栄えだけでなく、審査担当者が確認しやすい場所にあることも通過率に関係します。
特に、素材提供者やライセンスを明記する場合は、巻末の奥付部分にまとめるとわかりやすいです。
次に、ページ数の要件です。
KDPのペーパーバックは最小24ページ以上が必須条件です。
本文・扉・クレジットなどを含めて24ページ未満だと出版できません。
薄い冊子の場合は、フォントサイズや余白を工夫して規定ページ数を満たすようにしましょう。
また、表紙データは電子書籍と異なり「背幅」や「塗り足し(3mm)」の設定が必要になります。
これらはKDPの「テンプレートファイル(PDFまたはPNG)」を使用すると自動計算されるため、デザイン初心者でも安全です。
ペーパーバックはKDPの無料ISBNを利用可、または自前ISBNも可です。
ISBNの選択で印税率は通常変わりません。
電子書籍はISBN不要です。
流通・法的取扱いは国別要件があるため、必要に応じて公式情報をご確認ください(公式ヘルプ要確認)。
ペーパーバックは「電子版の信頼性を補強する役割」として発行する人が多いです。
著作権表記を整え、奥付の体裁を整えることで、読者からの印象や審査通過率も向上します。
まとめ:Kindle出版×著作権の要点を再確認
Kindle出版では、作品の内容以上に「権利の整理」が評価に直結します。
すべての項目を難しく考える必要はありませんが、出版直前に以下の3点を確認しておくと安全です。
「自分が持つ権利/許諾の有無/出典明記」を出版前に最終チェック
1つ目は、「自分がその作品の著作権を本当に持っているか」。
共同執筆や素材利用の場合、権利の所在を曖昧にしたまま出版すると、後から削除や停止につながります。
2つ目は、「外部素材に利用許諾があるか」。
画像・図表・AI生成物などは、ライセンス条件を必ず確認し、商用可・再配布可などの範囲を明確にしておきましょう。
そして3つ目は、「出典を正しく明記しているか」。
文章・データ・統計などを引用した場合、出典の書き方ひとつで信頼性が大きく変わります。
特に電子書籍はリンクの設置や巻末注での整理がしやすいため、情報源を丁寧に示すほど読者からの信頼を得られます。
Kindle出版は、手軽に発信できる一方で、著作権リスクを軽視すると販売停止・アカウント制限にもつながりかねません。
しかし、この記事で紹介した手順を守れば、難しい法律知識がなくても安全に出版できます。
「使っていい素材か?」「出典を書いたか?」——この2点を常に意識することが、信頼される著者への第一歩です。
最後に、著作権ルールは時々改定されるため、KDP公式ヘルプや文化庁のガイドラインを定期的にチェックしましょう。
更新情報を押さえておくことで、安心して長く出版活動を続けられます。
【著者:石黒秀樹のプロフィール】
Kindle出版サポート歴5年。
これまでに、のべ600名以上の出版をサポートし、
サポートメンバー全体で累計5,000冊以上の出版実績があります。(2025年時点)
フル外注とAI活用により、初心者でも安心して出版できる再現性の高いステップをお伝えしています。
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