Kindle出版のコミュニティ運営&サポート歴5年。
のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。

「公務員でもKindle出版をしていいの?」

この疑問を持つ方は少なくありません。

結論から言うと、公務員でもKindle出版は可能です。ただし、国家公務員か地方公務員か、単発の著作活動なのか継続的な収益活動なのかによって、兼業許可・承認が必要かどうかが変わります。

特に国家公務員については、2026年4月から兼業制度が見直されており、「出版して報酬を得る=必ず兼業許可が必要」と一律には言えなくなっています。

一方、地方公務員では地方公務員法や各自治体の条例・人事委員会規則などを確認する必要があります。

この記事では、公務員がKindleで電子書籍を出版する際に知っておきたい兼業ルール、許可が必要になるケース、ペンネーム出版、職務上の情報、税金までわかりやすく解説します。

 

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公務員でもKindle出版はできる?結論は「できるが条件確認が必要」

Kindle出版そのものが、公務員だから一律に禁止されているわけではありません。

ただし、公務員には一般の会社員とは異なる服務規律や兼業制限があります。

さらに重要なのが、国家公務員と地方公務員では兼業ルールが同じではないという点です。

国家公務員は出版しただけで必ず兼業になるわけではない

人事院・内閣人事局が2026年4月に公表している「一般職の国家公務員の兼業について」のQ&Aでは、自分が制作した著作・楽曲・映像などについて、単発的に売却・出版して報酬を得る場合は、兼業には該当しないとされています。

つまり、自分で書いた本を1冊出版し、その著作物から報酬を受け取ったというだけで、直ちに兼業許可が必要になるとは限りません。

これは元記事から特に大きく変わったポイントです。

継続的な出版活動は兼業になる可能性がある

一方、国家公務員でも、次のようなケースでは承認・許可が必要な兼業に該当する可能性があります。

  • 依頼を受けて定期的に著作物を制作する
  • 継続的に報酬を受け取る活動を行う
  • 自分から積極的に営業・販売活動を行う
  • 出版を事業として継続・反復している

したがって、「1冊出版すること」と「Kindle出版を継続的な事業として運営すること」は分けて考える必要があります。

地方公務員は地方公務員法38条と所属ルールを確認する

地方公務員については、地方公務員法38条に「営利企業への従事等の制限」が定められています。

同条では、任命権者の許可を受けずに自ら営利企業を営んだり、報酬を得て事業・事務へ従事したりすることが制限されています。

ただし、具体的な許可基準や手続きは、自治体の人事委員会規則や内部規程などによっても変わります。

地方公務員の場合は、所属自治体の人事・服務担当へ事前に確認するのが最も確実です。

2026年4月から国家公務員の自営兼業制度が変わった

国家公務員については、2026年4月1日から自営兼業制度が見直されています。

これまでよりも、職員の知識・技能を活かす事業や、社会貢献につながる事業について、自営兼業を承認できる範囲が広がりました。

知識・技能を活かした事業も承認対象になった

人事院は、新制度で、

  • 職員自身の知識・技能を活かした事業
  • 社会貢献に資する事業

などを新たに承認可能な自営兼業として位置付けています。

Kindle出版についても、単に「収益があるから即NG」と判断するのではなく、活動実態や内容を確認することが重要になっています。

制度が緩和されても自由に何でもできるわけではない

制度が変わったからといって、公務員が自由にあらゆる事業をできるわけではありません。

職務への支障、公務の公正性、利害関係、秘密保持などは引き続き重要な判断材料です。

所属組織独自の内規や審査手続きが設けられている場合もあるため、継続的な出版事業を考えるなら人事担当へ確認してください。

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Kindle出版が兼業に該当するか判断するポイント

公務員がKindle出版を行うときは、「印税があるかどうか」だけで判断するのではなく、活動全体を見る必要があります。

単発の著作物出版か

自分で作成した1冊の著作物を出版し、そこからロイヤリティを受け取るだけなのかを確認します。

国家公務員については、単発的な出版・売却で報酬を得るだけなら兼業に当たらないという考え方が、人事院の現在のQ&Aで示されています。

継続・反復して出版しているか

毎月複数冊を出版する、販売活動を継続する、外注を使って大量に制作するなど、事業性が高くなるほど「単発的な著作活動」とは性質が変わってきます。

この場合は、所属の兼業制度を確認した方が安全です。

職務と利害関係がないか

出版テーマと自分の職務が密接に関係している場合は、より慎重な判断が必要です。

特に、職務上の立場・権限・内部情報を利用して本を作ることは避けなければなりません。

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匿名・ペンネームなら許可は不要?

Kindle出版では、読者に表示する著者名としてペンネームを使用できます。

しかし、ペンネームを使うことと、公務員の兼業規制は別の問題です。

匿名だから兼業にならない、匿名なら許可が不要、ということではありません。

判断されるのは名前ではなく活動内容

兼業に当たるかどうかは、

  • 活動の継続性
  • 営利性
  • 事業規模
  • 職務との関係
  • 報酬の受け取り方

などを踏まえて判断されます。

ペンネームはあくまで読者へ表示する著者名の選択肢です。

KDPには本人の税務・支払情報を登録する

ロイヤリティを受け取るためには、KDPへ銀行口座や税務情報などを登録します。

そのため、読者へペンネームを表示していても、Amazonとの取引まで匿名になるわけではありません。

公務員が特に注意したい「守秘義務」

Kindle出版で大きな問題になり得るのが、職務上知り得た情報の扱いです。

出版するテーマが職務に近い場合は特に注意してください。

内部情報をそのまま本にしない

たとえば、

  • 非公開の行政情報
  • 内部マニュアル
  • 住民・利用者の個人情報
  • 職場内部の人事情報
  • 非公開の事件・案件情報
  • 内部会議で得た情報

などを出版物へ使用することは避けなければなりません。

匿名化すれば使えるとは限らない

人名や自治体名だけを伏せても、内容から人物・案件・組織が特定できる場合があります。

「名前を消したから大丈夫」とは考えない方が安全です。

信用失墜行為にも注意する

公務員には、公務に対する信用を損なう行為についても服務上の規律があります。

Kindle出版だけでなく、著者ページや出版と連動したSNSでの発信も含め、所属の服務規程を確認してください。

ただし、単に意見を書いたから直ちに信用失墜行為になるというものではありません。

内容・表現・職務との関係などを総合的に判断する必要があります。

職場の時間・設備をKindle出版に使わない

兼業許可の有無とは別に、勤務時間中に出版作業を行うのは避ける必要があります。

たとえば、

  • 勤務時間中に原稿を書く
  • 職場のPCでKDPを操作する
  • 公用メールで出版関係者とやり取りする
  • 職場のプリンターを私用で使用する

などは行わないようにします。

出版活動は勤務時間外に、個人所有の端末・通信環境で行うのが基本です。

Kindle出版を始める前に所属へ確認した方がよいケース

次のような場合は、出版前に人事・服務担当へ相談することをおすすめします。

  • 継続的に複数冊出版する予定がある
  • 出版を事業として拡大する予定がある
  • 広告や営業活動を継続して行う
  • 外注スタッフなどを使って運営する
  • 職務で得た専門知識に近いテーマを書く
  • 所属名・肩書きを著者プロフィールで使用する
  • 講演・コンサルなど出版以外の有償活動へ発展する
  • 自分の活動が兼業制度のどこに該当するか分からない

判断に迷う場合は、自己判断で「たぶん大丈夫」と進めるより、活動内容を具体的に伝えて確認する方が安全です。

国家公務員と地方公務員の違いを整理

項目 国家公務員 地方公務員
主なルール 国家公務員法・人事院規則など 地方公務員法・自治体規則など
単発の著作出版 報酬を得ても兼業に該当しない場合あり 自治体の規則・活動実態を確認
継続的な出版事業 承認・許可が必要になる可能性あり 許可が必要になる可能性が高いため確認
確認先 所属府省の人事担当 所属自治体の人事・服務担当

国家公務員については、2026年4月から制度が変わっているため、古い「公務員は副業禁止」という記事だけで判断しないようにしてください。

Kindle出版の税金|公務員でも会社員と基本的な所得税ルールは同じ

Kindle出版でロイヤリティを受け取れば、税務上の所得計算も必要になります。

ただし、「1円でも印税が入ったら必ず確定申告」というわけではありません。

20万円基準は「売上」ではなく「所得」

1か所から給与を受け、その給与が源泉徴収の対象となっている一般的な給与所得者の場合、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要になります。

ここでいう20万円は「Amazonから振り込まれた売上」そのものではなく、収入から必要経費などを差し引いた所得金額です。

20万円以下でも確認が必要なケースがある

20万円以下でも、住民税の申告が必要になる場合があります。

また、医療費控除など別の理由で確定申告をする場合には、20万円以下の副収入についても申告対象になります。

所属への兼業報告と税務上の確定申告は別制度なので、混同しないようにしてください。

雑所得・事業所得は活動実態によって判断する

Kindle出版の所得が必ず雑所得、あるいは必ず事業所得になるわけではありません。

活動規模、継続性、営利性、帳簿管理など実態に応じて判断されます。

継続的に出版事業を行う場合や収益規模が大きくなった場合は、税務署や税理士へ確認すると安心です。

KDPのロイヤリティは35%と70%

Kindle電子書籍では、35%または70%のロイヤリティオプションがあります。

現在、Amazon.co.jpの70%ロイヤリティ対象価格帯は250円〜1,650円(税込)です。

日本の購入者への販売で70%ロイヤリティを得るには、KDP Select登録などの条件も満たす必要があります。

また、70%ロイヤリティでは、消費税を除いた価格から配信コストを差し引いた金額をもとにロイヤリティが計算されます。

Kindle出版そのものを副業として始める流れについては、『Kindle出版で副業を始めるには?初心者が知るべき仕組みと収益化の流れを徹底解説』で詳しく解説しています。

KDPの税務情報とマイナンバーも正しく登録する

KDPではロイヤリティを受け取るために税務情報の登録が必要です。

米国で発生するロイヤリティの源泉徴収についても、KDPの税務情報インタビューで必要な手続きを行います。

具体的な入力方法は、『Kindle出版のTIN入力とマイナンバー対応を徹底解説|日本在住者の正しい手順と注意点』で確認してください。

Kindle出版の内容はKDP規約にも適合させる

公務員の兼業ルールを守っていても、Amazon KDPの規約に違反する本は出版できません。

特に、

  • 他人の文章・画像の無断使用
  • 著作権侵害
  • 読者を誤認させる内容
  • 権利を持たないコンテンツ
  • 読者体験を著しく損なうコンテンツ

などに注意してください。

KDPの基本ルールについては、『Kindle出版のルールとは?リジェクト回避と審査通過のポイントを徹底解説』も参考にしてください。

ペーパーバックでも公務員の兼業判断は基本的に同じ

KDPでは電子書籍だけでなく、ペーパーバックを出版することもできます。

しかし、「電子書籍なら著作活動、紙なら副業」というように媒体だけで兼業判断が変わるわけではありません。

重要なのは、出版活動の内容・継続性・収益性・職務との関係です。

そのため、ペーパーバックを追加する場合も、すでに確認した所属ルールの範囲内かを確認してください。

公務員がKindle出版を始める前のチェックリスト

  • 国家公務員・地方公務員のどちらに該当するか確認した
  • 所属組織の服務・兼業規程を確認した
  • 単発の著作活動か継続的な事業か整理した
  • 必要な場合は人事・服務担当へ相談した
  • 勤務時間中に出版作業をしない
  • 公用PC・公用メールなどを使わない
  • 職務上の秘密を本へ掲載しない
  • 利害関係者との関係に問題がないか確認した
  • 所属名や肩書きを無断で販売促進に使わない
  • ペンネームなら自由だと誤解していない
  • KDP規約・著作権を確認した
  • ロイヤリティの収入・経費を記録する
  • 所得税・住民税の申告が必要か確認する

まとめ|公務員のKindle出版は「必ず許可」ではなく活動実態で判断する

公務員でもKindle出版を行うことはできます。

ただし、現在の制度では、「公務員が本を売って報酬を受け取ったら必ず兼業許可が必要」と一律に説明するのは正確ではありません。

特に国家公務員については、2026年4月時点の人事院・内閣人事局のQ&Aで、自分の著作物を単発的に出版・売却して報酬を得るだけなら、兼業に該当しないケースが明示されています。

一方、継続的に本を制作・販売したり、出版を事業として運営したりする場合は、承認・許可が必要な兼業に該当する可能性があります。

地方公務員については地方公務員法38条に加え、所属自治体の規則・許可基準を確認する必要があります。

判断するときは、

  • 国家公務員か地方公務員か
  • 単発か継続的な活動か
  • 営利事業として行っているか
  • 職務との利害関係がないか
  • 秘密保持・信用に問題がないか
  • 所属独自のルールがないか

を確認してください。

迷った場合は、出版前に所属の人事・服務担当へ具体的な活動内容を伝えて確認することが最も確実です。

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【著者:石黒秀樹】

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