KDPでの電子書籍の作り方とは？出版手順を徹底解説

初めてKindle出版（KDP）を利用する人にとって、「どこから始めればいいのか」は最初の大きな壁です。

実際に手順を知ってしまえば難しくはありませんが、KDPは“出版システム”としての仕組みを理解しておくことがスムーズな第一歩になります。

この記事では、Amazon.co.jp向けのKDP（Kindle ダイレクト・パブリッシング）を使い、電子書籍を自分で出版するための流れを、初心者にもわかりやすく解説します。

原稿や表紙の準備、アカウント登録、そして出版までの流れを、実体験を交えながら紹介します。

 

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KDP（Kindle出版）の作り方とは？初心者でもできる出版の流れを解説

 

KDPとは、Amazonが提供する誰でも無料で電子書籍を出版できる仕組みのことです。

出版社を通さず、自分の原稿を直接Amazon上で販売できるのが特徴です。

紙の本とは異なり、印刷費も在庫も不要なので、初期費用をかけずにスタートできます。

とはいえ、いきなり登録画面から始めてしまうと「入力項目が多すぎて何をすればいいかわからない」と戸惑う人も多いです。

まずは全体の流れを理解しておくと、後の作業がずっとスムーズになります。

 

KDPとは？Kindle出版の基本と仕組み

 

KDP（Kindle Direct Publishing）は、Amazonが提供する電子書籍のセルフ出版サービスです。

個人でも法人でも無料で利用でき、Amazon.co.jp上に「著者」として販売ページを持つことができます。

読者はKindle端末だけでなく、スマホやPCでもアプリ経由で読めるため、流通面でのハードルが非常に低いのが特徴です。

KDPの基本構造は「著者アカウント」＋「電子書籍ファイル」＋「販売設定」の3つ。

この3要素がそろうことで、Amazonのストアにあなたの本が登録されます。

著者自身が価格や販売地域、ロイヤリティ（印税率）を設定できる点も魅力です。

ただし、内容や画像がKDPのコンテンツガイドラインに反している場合は審査でリジェクトされることもあるため、公式ヘルプで最新の基準を確認しておくことが大切です。

 

出版後に読者からの信頼感を高める「著者ページ（著者情報）」の整え方については、『KDPの著者情報とは？設定方法と注意点を徹底解説』で詳しく解説しています。

 

電子書籍を出すために必要なもの（アカウント・原稿・表紙など）

 

出版を始めるには、まずKDPアカウントを作成します。

Amazonのアカウントを持っていれば、それを利用してログイン可能です。

登録時には、税情報（源泉徴収の有無）や銀行口座を入力します。

これが完了すれば、販売報酬を受け取る準備が整います。

次に必要なのは「原稿データ」と「表紙デザイン」です。

原稿はWordファイル（.docx）か、EPUB形式で作るのが一般的です。

文字数や画像数に制限はありませんが、段落や目次の設定を整えておくと、読者の閲覧体験が大きく変わります。

表紙は書籍の顔です。

KDP公式の「カバービルダー」を使えば、無料テンプレートで簡単に作成可能です。

ただし、自作画像を使う場合は著作権に注意し、商用利用が許可された素材を使いましょう。

意外と多いミスが、「ファイル名に全角文字が入っていてアップロードエラーになる」ケースです。

ファイル名は英数字のみを使うのが安全です。

 

KDPアカウントの具体的な登録手順や初期設定を先に確認しておきたい方は、『Kindle出版のKDPアカウント作成とは？登録手順と注意点を徹底解説』もあわせてチェックしてみてください。

 

ペーパーバックとの違いと、最初に電子書籍を選ぶ理由

 

KDPでは「電子書籍」と「ペーパーバック（紙の本）」の両方を出版できます。

ただし、初めて出版するなら電子書籍から始めるのが確実です。

理由は、電子書籍は印刷コストがかからず、ページ数やサイズの制約が少ないためです。

ペーパーバックには24ページ以上という条件があり、表紙と本文を1つのPDFでまとめる必要があります。

また、紙の厚みや裁ち落とし（印刷時の余白）といった物理的な要素も加わります。

実務的にも、まず電子書籍で出版の流れを体験してから、ペーパーバックに拡張する方が理解が深まります。

KDPの管理画面上でも電子→紙への移行が簡単にできるので、初出版は電子一本で問題ありません。

 

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この段階までで、KDPという仕組みの全体像と、出版に必要な準備が整理できました。

次章では、実際の「出版手順」を3ステップに分けて、順番に解説していきます。

 

KDPでKindle本を作る3つのステップ

 

KDPの出版手順は、大きく分けて3ステップです。

公式の流れに沿って進めれば、初めての方でも1日以内に出版まで完了できます。

ここでは、「迷わず・止まらず・確実に」進めるための実務的ポイントを中心に紹介します。

 

ステップ1：KDPアカウントの作成と初期設定

 

最初に行うのはKDPアカウントの作成です。

Amazonのアカウントをすでに持っている場合は、そのままKDPにログインできます。

新規登録を行う際は、氏名・住所・電話番号などを正確に入力しましょう。

ここで多いのが「住所の英語表記で迷う」ケースです。

公式ヘルプでは“日本語でも可”とされていますが、実務上は英語表記にしておくと銀行登録や税情報入力がスムーズです。

 

アカウント作成後は、支払い受け取り用の銀行口座と、税情報（ロイヤリティ支払いに関するもの）を登録します。

銀行口座は日本国内の金融機関であれば基本的に対応しています。

税情報は米国源泉徴収の対象外となるよう、正しく申告する必要があります。

この設定を誤ると、報酬が減額されることもあるため注意が必要です。

 

ステップ2：「本の詳細」「コンテンツ」「価格設定」を順に入力

 

KDPの管理画面では、「本の詳細」「コンテンツ」「価格設定」の3つのタブを順に入力します。

それぞれの内容を理解しておくと、後の修正も簡単になります。

 

「本の詳細」では、タイトル・シリーズ名・著者名・説明文などを入力します。

ここでの説明文は、Amazon上の商品ページに表示される紹介文となるため、検索キーワードを自然に盛り込みつつ、読者に伝わる文章を意識しましょう。

カテゴリー（ジャンル）も慎重に選ぶことが大切です。

「ビジネス・自己啓発」など大分類だけでなく、できるだけ正確なサブカテゴリーを指定することで、関連書籍に表示されやすくなります。

 

「コンテンツ」では、原稿ファイルと表紙をアップロードします。

WordやEPUB形式の原稿が推奨されています。

この段階で自動プレビュー機能を使うと、ページズレや改行の異常などを早めに確認できます。

表紙はJPEGまたはTIFF形式を使用し、推奨サイズ（2560×1600ピクセル以上）を満たしているか確認しておくと安心です。

 

「価格設定」では、販売価格とロイヤリティを選択します。

日本のAmazonでは35%と70%の2つのロイヤリティプランがあり、販売価格と条件によって選べる範囲が変わります。

例えば、70%を選ぶには価格を250円〜1250円の間に設定する必要があります（2025年時点）。

公式仕様は随時更新されるため、最終確認はKDPのヘルプページで行ってください。

 

ロイヤリティ設定とあわせて「読み放題（Kindle Unlimited）」に本を載せるか悩んでいる方は、『KDPセレクトの登録とは？90日独占の仕組みとメリット・注意点を徹底解説』も読んでおくと、価格戦略のイメージがつかみやすくなります。

 

ステップ3：プレビューで体裁を確認し、「出版」をクリック

 

入力が終わったら、KDPの「プレビュー」機能で見た目を確認します。

ここでのチェックを省略すると、実際に販売ページでレイアウト崩れが起こる場合があります。

特に、改ページの位置や目次リンク、画像の大きさは丁寧に確認しておきましょう。

 

体裁に問題がなければ、「出版」をクリックすれば完了です。

この時点でKDPの審査が始まり、通常は24〜72時間以内にAmazon.co.jpで販売が開始されます。

ただし、ジャンルや画像の有無によっては審査が長引くこともあります。

不明点がある場合は、KDPサポートへの問い合わせも可能です。

 

（補足）出版後に反映されるまでの時間とステータス確認方法

 

出版後、KDPの管理画面でステータスを確認できます。

「レビュー中」「ライブ」などの表示があり、販売可能になると「ライブ」に変わります。

もしステータスが長時間変わらない場合は、ファイルや表紙の再アップロードが必要なケースもあります。

 

Amazon.co.jp上で書籍が検索できるようになるまで、最大で72時間程度かかることがあります。

焦らず待つのが基本ですが、審査中に内容を修正したい場合は、再提出も可能です。

実務的には、初回出版後に軽微な修正を行うことはよくあるので、「最初は完璧を目指さず、まず出してみる」ことをおすすめします。

 

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原稿・表紙を作るときの注意点とよくあるトラブル

 

KDP出版では、原稿や表紙の整え方がそのまま読者の評価につながります。

多くの初心者がつまずくのは「Wordをそのままアップロードしたら体裁が崩れた」というケースです。

ここでは、出版前に押さえておくべき技術的な注意点をまとめます。

 

WordやPDFの書式崩れを防ぐには？推奨書式と注意点

 

KDPでは、Word（.docx）やEPUB形式での入稿が推奨されています。

Wordのままでも出版可能ですが、見出しスタイルや改ページ設定をしていないと、章の途中でページが切れるなどの不具合が発生します。

 

ポイントは、「段落設定を手動で整える」より「スタイル機能を活用する」ことです。

見出し1・見出し2を使って章を構成し、改ページは「Ctrl＋Enter」で挿入します。

また、余計な空白行やタブを使うと、Kindle端末でのレイアウトが乱れることがあります。

公式の「KDP書式ガイド」には、フォント指定や行間の推奨値も記載されているので一度確認しておきましょう。

 

画像・目次・改ページなどで起きやすい不具合

 

画像を多く使う原稿では、ファイルサイズに注意が必要です。

推奨は150dpi〜300dpiのJPEG形式です。

解像度が高すぎると、Kindle端末での読み込みが遅くなったり、販売ファイルサイズが大きくなりすぎてロイヤリティが下がることもあります。

 

目次リンクは、自動生成（Wordの目次機能）を使うとズレが起こりにくいです。

一方で、手動で作成するとリンク切れが起きやすく、読者が章を開けないトラブルの原因になります。

プレビューでリンクが動作するか必ず確認してください。

 

表紙サイズと解像度の基準（電子書籍・ペーパーバックの違い）

 

電子書籍の表紙は、推奨サイズが縦2560px×横1600pxです。

ファイル形式はJPEGまたはTIFF、解像度は300dpiが目安です。

文字が多い表紙では、スマホの縮小表示でも読めるようにコントラストを意識しましょう。

 

ペーパーバックを作る場合は、表紙・背表紙・裏表紙をまとめた1枚のPDFが必要です。

ページ数によって背幅が変わるため、KDPの「カバー計算ツール」で確認してから作成しましょう。

この点を見落とすと、背表紙の文字が切れるトラブルが起こります。

 

公開後に修正・再出版する方法（KDP公式ヘルプ要確認）

 

公開後でも、KDPの管理画面から原稿や表紙を再アップロードできます。

修正内容が軽微であれば審査期間も短く、数時間〜1日程度で反映されることが多いです。

ただし、タイトルやISBNの変更を伴う場合は、新規出版扱いになる場合もあります。

この点は公式ヘルプの最新情報を確認してください。

 

実際の出版現場では、「誤字を直したい」「画像の位置を微調整したい」といった修正はよくあります。

そのため、初版を“テスト公開”と割り切る考え方も有効です。

柔軟に修正できるのが、電子出版の強みともいえます。

 

 

KDP出版をスムーズに進めるコツと落とし穴

 

KDPはシンプルな仕組みですが、初めて出版する人の多くが途中で手を止めてしまうポイントがあります。

慣れている人でも、思わぬ箇所で引っかかることがあるため、「詰まりやすい場所」と「避けるべき落とし穴」を先に把握しておくことが大切です。

ここでは、筆者自身が何度も出版を重ねて感じた“実務上の注意点”を中心に整理します。

 

最初に詰まりやすいポイント3つ（入力欄・審査・書式）

 

KDPで最も多いつまずきは、入力欄の迷い・審査の遅延・書式崩れの3つです。

それぞれの原因を知っておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

 

まず「入力欄」。

特に「本の詳細」ページの“出版権を保有していますか？”の項目で悩む人が多いです。

自分の原稿なら「はい、私は著作権を保有しています」を選べば問題ありません。

もし他人の著作物を引用している場合は、引用条件を満たしているかを事前に確認しましょう。

引用の比率が多いと審査で差し戻されるケースもあります。

 

引用のルールや画像素材の扱いなど、著作権まわりをまとめて整理したい方は、『KDPの著作権を徹底解説｜引用ルールとNG事例まとめ』もあわせて確認しておくと安心です。

 

次に「審査」。

公式には通常24〜72時間とされていますが、実務上は画像や特殊フォントを含む本ではもう少し時間がかかることがあります。

審査に落ちた場合も、修正後に再提出すれば再びチェックしてもらえるので、焦らずに対応すれば大丈夫です。

 

そして「書式」。

Wordファイルを直接アップロードする際、段落や改ページが崩れることがよくあります。

KDPの仕様上、余分な空白やタブを多用しているとズレが発生しやすいため、アップロード前に“非表示文字”を確認して整えるのがおすすめです。

これは公式ヘルプにも書かれていますが、実際にやってみると整形の手間を省けると実感します。

 

ロイヤリティ設定や税情報入力での注意点

 

KDPでは、ロイヤリティ（印税率）を35％または70％のどちらかから選択します。

日本国内向け出版の場合、販売価格が250円〜1250円の範囲にあるときは70％を選べます。

ただし、70％を選ぶと配信手数料が1MBあたり数円かかる点に注意が必要です。

画像が多い作品やフルカラーPDFだと、この配信コストが積み重なり、実際の受取額が減ることもあります。

 

また、税情報入力も初心者がつまずきやすい部分です。

米国との税条約に基づき、日本の個人著者は源泉徴収の免除申請（W-8BENフォーム）を行う必要があります。

これはオンラインで完結できますが、英語表記や住所の入力形式に誤りがあると無効になることがあります。

実務的には、税務署や会計士に相談しながら進めるのが安心です。

 

KDPの管理画面には「税情報インタビュー」というガイド形式の入力機能があるため、基本的には指示に従えば完了します。

不安な場合は、公式ヘルプの最新手順を参照するのが確実です。

 

よくある誤解：「Kindle Createを使えば完璧に整う」は要注意

 

KDP公式が提供する「Kindle Create」は、電子書籍を見やすく整える便利なツールです。

しかし、「これさえ使えば完璧に仕上がる」と誤解する人も多いです。

実際には、日本語特有の縦書き・ルビ・禁則処理などに完全対応していない部分があります。

 

公式的には日本語書籍にも対応していますが、実務では「ルビがずれる」「章タイトルが中央揃えにならない」といった小さな不具合が起こることもあります。

そのため、最終的なプレビューは必ずKDPのブラウザ上で確認することが大切です。

 

Kindle Createは“補助ツール”であり、完全自動の整形機能ではないと理解しておくとトラブルを防げます。

特に文芸作品や縦書き原稿を扱う場合は、手動での微調整を前提に使う方が安全です。

 

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まとめ：KDP出版は「公式手順＋基本整備」が成功の近道

 

KDP出版は、シンプルなようでいて細かな設定が多く、最初は戸惑う人が少なくありません。

しかし、公式手順を守りつつ、原稿と表紙を丁寧に整えるだけで、スムーズに出版までたどり着けます。

 

アカウント作成や税情報の設定など、一度覚えてしまえば次回以降の出版は格段に早くなります。

一冊目は「練習のつもり」で軽く出してみるのが実務的にもおすすめです。

公開後の修正も柔軟にできるため、まずは体験を優先しましょう。

 

最後に、KDPは仕様変更が比較的多いサービスです。

本記事の内容はAmazon.co.jp版を基準としていますが、数字や条件は随時更新されます。

出版前には必ず公式ヘルプで最新情報を確認し、確実な手順で進めてください。