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Kindle出版の原稿は外注できますが、「原稿を書いてください」とだけ伝えて依頼すると、想定と違う原稿が納品されやすくなります。

最初に決めるのは、原稿制作のどこまでを外注するかです。

企画や体験は自分で用意して文章化だけ任せる方法もあれば、構成から本文までまとめて依頼する方法もあります。依頼範囲、納品物、修正条件を先に決めておけば、完成後の認識違いを減らせます。

この記事では、外注範囲の決め方、外注先の選び方、発注時に伝える条件、著作権などの権利確認、納品後のチェックまでを順番に整理します。

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Kindle原稿の外注は依頼範囲を決めてから発注する

目次

原稿を外注するときは、いきなりライターを探すのではなく、自分で担当する工程と外注する工程を分けるところから始めます。

範囲が曖昧なままだと、外注先へ渡す情報が不足したり、本の中身を第三者の判断で埋められたりします。全体の流れは次のとおりです。

手順 行うこと
1 自分で用意する情報と外注する作業を分ける
2 テーマ・読者・納品物を具体化する
3 条件に合う外注先を探し、実績と対応範囲を確認する
4 納期・修正・制作方法・権利の扱いを決めて発注する
5 納品原稿の内容と権利関係を確認し、必要な修正を行う
6 契約と納品の記録を保存したうえでKDPへ入稿する

この順番なら、「誰に頼むか」より先に「何を頼むか」が決まります。

自分で用意する情報と外注する作業を分ける

まず、本の材料と文章制作を分けて考えます。自分の経験や専門知識を本にするなら、内容そのものまで外注する必要はありません。

たとえば、次のように役割を分けられます。

  • 体験や専門知識は自分で整理する
  • 読者に伝えたい結論は自分で決める
  • 章構成だけ外注する
  • 用意した素材から本文を書いてもらう
  • 書き終えた原稿のリライトや校正だけ依頼する

外注は「全部任せる」か「全部自分で書く」かの二択ではありません。

自分にしか提供できない情報は手元に残し、文章化のように負担の大きい工程だけを切り出せます。反対に、テーマだけ決めて構成から依頼する場合は、外注先が判断する範囲が広がります。その分、読者像や本の目的を具体的に共有する必要があります。

外注先を探す前にテーマ・読者・納品物を決める

依頼先を探す前に、「何の本を、誰に向けて作るのか」を言葉にしておきます。ここが曖昧だと、文章として整っていても狙っていた本にはなりません。

発注前に整理しておく項目は次のとおりです。

  • 本のテーマ
  • 想定する読者
  • 読者が抱えている悩みや疑問
  • 読み終えたあとに到達してほしい状態
  • 自分から提供できる資料や情報
  • 依頼したい工程
  • 最終的に納品してほしいもの

特に大切なのが、「原稿」という言葉で何を指すのかを具体化することです。章構成までなのか、本文までなのか、校正まで済んだ完成稿までなのかで作業量は大きく変わります。Wordなどのファイル形式で受け取るのか、文章データだけでよいのかも決めておきます。

原稿は構成・執筆・リライト・校正など工程ごとに外注できる

Kindle原稿の外注方法は一つではありません。自分が苦手な工程だけを切り出して依頼できます。

外注方法 自分で担当する主な部分 外注する主な部分
文章化だけ依頼 企画・体験・情報・伝える内容 本文の文章化
構成から依頼 テーマ・目的・必要な素材 章構成・本文執筆
リライトを依頼 元原稿の作成 文章の整理・改善
校正を依頼 原稿全体の作成 誤字脱字などの確認

どこまで任せるかは、文章力だけで決める必要はありません。自分が握っておきたい内容と、外部に任せてよい作業で線を引きます。

企画や体験を自分で用意して文章化だけ依頼する

自分の経験や専門知識を本にする場合は、材料を用意して文章化だけ依頼する方法があります。本の中心となる情報を自分で管理しながら、執筆の負担だけを外に出せます。

渡す材料は完成した文章である必要はなく、箇条書きやメモでもかまいません。ただし、材料が少なすぎると、外注先が不足部分を推測して埋めることになります。

事実や経験を扱う部分ほど、外注先に創作させないよう情報を明確に渡します。体験談では、本人にしか分からない出来事や感情を第三者に想像させないようにします。

構成から本文執筆までまとめて依頼する

章立てや情報の並べ方から任せる方法もあります。大まかなテーマだけ自分で決め、構成と本文をまとめて依頼する形です。

外注先の判断範囲が広くなるため、最初の指示が仕上がりを左右します。「初心者向け」といった指定だけでは、想定する読者像に幅が出ます。誰が、どんな状況で、何を知りたくて読む本なのかまで伝えます。

あわせて、必ず入れたい内容と扱わない内容を分けておくと、構成のずれを抑えられます。完成まで一度も確認しない進め方は避け、章構成や冒頭の一部を先に受け取って方向性をすり合わせます。

完成原稿のリライトや校正だけを依頼する

原稿は自分で書き、仕上げだけ外注する分け方もあります。本の内容を自分でコントロールしたい場合に向いています。

リライトでは、読みにくい文章の整理や重複した説明の削除などを依頼できます。校正では、誤字脱字や表記の確認といった工程を切り出します。

ただし、「校正」「リライト」という言葉だけでは、どこまで直してよいのか認識が分かれます。内容そのものを変更してよいのか、文章表現だけを直すのかを発注前に決めておきます。

外注範囲ごとの費用感や、自分でAIを使って制作する場合との違いは、Kindle出版の外注費用とAI出版の比較で確認できます。

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外注先は実績だけでなく対応範囲と制作方法まで確認して選ぶ

外注先を選ぶときは、実績の数ではなく自分が依頼したい工程に対応できるかを見ます。同じ文章制作でも、得意なジャンルや担当できる範囲は異なります。

依頼するジャンルや文章に近い実績を確認する

最初に確認したいのは、今回作る本に近い文章を扱った経験があるかどうかです。「ライティング経験あり」だけで判断せず、可能な範囲で制作物の内容を見せてもらいます。

実用書と体験談では、求められる文章の組み立て方が同じとは限りません。求める文章に近い制作例があるほど、完成イメージを共有しやすくなります。

一方で、過去の実績だけで今回の品質が決まるわけではありません。長い原稿をいきなり全部任せず、章構成や一部の文章を先に確認して認識を合わせる方法も検討します。

文字数・納期・修正回数・納品形式を発注前に決める

発注条件は「Kindle本を書いてほしい」だけでは足りません。作業範囲と完成条件を具体的に伝えます。

  • 依頼する章や作業範囲
  • 想定する原稿量
  • 納期と途中確認の有無
  • 修正対応の範囲と回数
  • 納品するデータの形式
  • 納品後に誰が最終確認するか

特に修正は、どのような直しを想定しているのかまで共有します。「修正可能」という言葉だけで条件を終わらせないようにします。

発注者側の準備不足も、条件変更の原因になります。制作途中で方向性を大きく変えずに済むよう、依頼内容は着手前に固めておきます。

参考資料・禁止事項・生成AIの利用可否まで伝える

使ってほしい資料がある場合は、発注時に共有します。同時に、使ってはいけない情報や表現も明確にします。

参考資料を渡すことは、その文章をそのまま転載してよいという意味にはなりません。外注先が第三者の文章や素材をどう扱うのかも確認しておきます。

KDPでは、AIが本文そのものを生成した場合と、人間が書いた文章の校正などにAIを使った場合で扱いが分かれます。そのため、外注先が生成AIを本文制作に使ってよいかを発注時に決めておきます。

利用を認める場合も、本文生成に使ったのか補助だけなのかを、納品時に確認できる形にしておきます。出版者がKDPで必要な対応を判断するために欠かせない情報です。

原稿だけでなく表紙や入稿まで含めて任せたい場合は、Kindle出版代行の依頼範囲と料金で分けて確認できます。

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外注原稿は報酬を支払うだけでは出版に必要な権利を確保できない

原稿料を支払っても、それだけで著作権や利用権の扱いが自動的に決まるわけではありません。KDPで使う原稿は、出版者が出版に必要な権利を持っている必要があります。

そのため、発注時には作業内容だけでなく、納品された原稿をどの範囲で使えるのかまで決めておきます。

著作権を譲渡するのか必要な範囲の利用許諾にするのか決める

著作権は、実際に著作物を創作した人に発生するのが原則です。原稿料を支払った事実だけで、発注者へ著作権が移るとは考えないようにします。

対応方法は、大きく著作権の譲渡を受ける方法と、必要な利用について許諾を受ける方法に分かれます。

譲渡を受ける場合は、どの権利が譲渡の対象になっているかを確認します。利用許諾にする場合は、Kindle本として出版するために必要な利用が認められているかを確認します。いずれの場合も、「原稿を納品する」という作業条件だけで契約を終わらせないことが大切です。

電子書籍として販売するだけなのか、出版後に文章を修正したり別の形で使ったりするのかで、必要な範囲は変わります。将来どう使う可能性があるかから逆算して権利を確認します。

改稿・翻訳・二次利用をするなら著作権法27条・28条も確認する

著作権を全部譲渡してもらう契約でも、条文の書き方には注意が必要です。特に確認したいのが、著作権法27条と28条に関する権利です。

著作権法では、著作権を全部譲渡する契約であっても、27条・28条の権利が明記されていなければ譲渡者に留保されたものと推定されます。

27条は翻訳や翻案などに関係する権利、28条は二次的著作物の利用に関係する権利です。将来の翻訳や内容の展開まで想定するなら、「著作権を譲渡する」という一文があるかどうかを見るだけでは足りない場合があります。

もっとも、すべての外注契約で全部譲渡が必要になるわけではありません。Kindleでの出版に必要な利用だけを許諾してもらう形も考えられます。予定している利用方法から契約範囲を決めます。

著作者人格権や著者名の扱いも契約時に確認する

著作権とあわせて、著作者人格権も確認しておきます。これは著作権とは別の権利で、他人へ譲渡することはできません。契約では、必要に応じて著作者人格権を行使しないことについて取り決める場合があります。

外注原稿では、納品後に発注者が文章へ手を入れることも想定されます。どの程度の修正を予定しているのか、事前に認識を合わせておきます。

本に表示する著者名も決めておきます。執筆した人の名前を出すのか、別の著者名で出版するのかを曖昧にしないようにします。

外注原稿以外も含めたKDP上の著作権や引用の考え方は、KDPの著作権と引用ルールで確認できます。

納品された原稿は内容・第三者の権利・AI利用まで確認する

原稿が届いたら、文章の読みやすさだけで完成と判断しないようにします。出版者自身が内容・第三者の権利・AI利用の有無まで確認します。

KDPでは、アップロードするコンテンツについて必要な権利を持っていることが求められます。「外注先が書いたから大丈夫」と考えず、出版前の検収工程を設けます。

事実関係や引用・第三者素材に問題がないか確認する

まず、原稿の内容そのものを見ます。固有名詞や事実関係など、自分で確認できる部分は納品後にチェックします。

外注先が参考資料を使っている場合は、第三者の文章や素材が不適切な形で使われていないかも確認します。KDPでは著作権だけでなく、商標やプライバシー、パブリシティ権など第三者の権利にも注意が必要です。

引用や第三者素材を含む場合は、どの資料をどう使ったのかを外注先へ確認できる状態にしておきます。出典が分からない文章や、権利関係を説明できない素材が含まれている場合は、そのまま出版しないようにします。

外注先が生成AIで本文を作成したか確認する

外注先が生成AIを使って文章を作る可能性も想定しておく必要があります。発注者自身がAIを操作していなくても、外注先が本文生成にAIを使ったかどうかは把握しておきます。

納品時には「AIを使ったか」だけでなく、何に使ったのかまで聞きます。本文そのものを生成したのか、人間が書いた文章の校正や改善に使っただけなのかを分けて確認します。

発注時にAI利用を禁止していた場合も、納品時にあらためて確認しておくと制作方法を整理しやすくなります。利用を認めた場合は、その範囲を記録に残します。

AI生成ならKDPで必要な申告を行う

外注先がAIで実際の本文を生成した場合、その本文はKDP上のAI生成コンテンツとして扱われます。生成された文章を人間が後から大きく手直ししていても、元の本文がAI生成であれば同じ扱いです。

この場合は、出版者がKDPで必要なAI生成コンテンツの申告を行います。

一方、人間が本文を書き、AIを校正や改善などの補助に使っただけであればAIアシストとして扱われます。外注先から制作方法を聞き取ることが、正しい申告の前提になります。

AI生成とAIアシストの違いは、Kindle出版で生成AIを使うときの申告ルールで確認できます。

契約と納品記録を残してから外注原稿をKDPへ使用する

外注原稿は、文章が完成した時点で出版準備が終わるわけではありません。必要な権利を確認し、その根拠となる記録を残してからKDPで使用します。

KDPでは、本人以外が作成したコンテンツなどについて、出版する権利を確認する追加書類を求められる場合があります。出版後に探し直さずに済むよう、発注から納品までの記録を整理して保存します。

確認項目 出版前に確認する内容
出版する権利 Kindle本として原稿を利用できる状態か
修正・再利用 予定している変更や利用が契約範囲に含まれるか
第三者の権利 引用や他人の文章・素材に問題がないか
AI利用 AI生成かAIアシストかを把握しているか
記録 契約内容や納品時のやり取りを保存しているか

出版・修正・再利用に必要な権利を確保できているか確認する

出版前に、契約内容と実際の使い方が一致しているか照らし合わせます。最低限、Kindle本として出版できる権利が必要です。

著作権を譲渡してもらった場合は、どこまでが譲渡対象かを確認します。利用許諾の場合は、今回行う利用が許諾範囲に含まれているかを見ます。

契約時に想定していなかった使い方をするときは、最初の契約だけで対応できるとは限りません。利用予定が変わった場合は、必要な権利をあらためて確認します。

契約書やメッセージなど権利を確認できる記録を保存する

KDPから出版権限の確認を求められる可能性がある以上、出版できる根拠を後から示せる状態にしておきます。

契約書を作成しているなら、そのデータを保存します。クラウドソーシングなどのメッセージで条件を決めた場合も、該当するやり取りを整理して残します。

著作権や利用許諾、納品物、著者名、修正の扱いといった重要な条件は、口頭だけで終わらせないようにします。AI利用について確認した内容も、納品情報とあわせて管理します。

なお、本の中に著作権表示のページを入れただけでは、KDPが求める出版権限の証明として十分とは限りません。本の表示とは別に、外注先との権利関係を確認できる記録を残します。

権利関係に不明点が残る原稿はそのまま出版しない

最終確認で権利関係の分からない部分が見つかった場合は、そのまま出版へ進めないようにします。誰が書いたのか分からない文章や、利用条件を確認できない素材には特に注意します。

「報酬を払ったから使えるはず」「納品されたから自由に修正できるはず」と推測で判断しないことが大切です。不明点があれば、契約内容や外注先とのやり取りに戻って確認します。

権利関係は個別の契約によって変わるため、すべての外注原稿に同じ条件が当てはまるわけではありません。実際に予定している出版・修正・利用に必要な権利を確認できる状態にしてから、KDPへ進みます。

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【著者:石黒秀樹】

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