KDPの1042-Sとは?届く書類の見方と確定申告での扱い
のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。
KDPから「1042-S」という英語の税務書類が発行されると、米国へ追加で税金を払う必要があるのかと不安になるかもしれません。
しかし、1042-Sは税金の請求書ではありません。
Amazonが非米国の出版社へ支払った米国源泉所得と、米国で源泉徴収した税額などを報告するための書類です。
源泉徴収税額が0でも発行される場合があるため、書類が届いた事実ではなく、記載された金額を見て判断します。
この記事では、1042-Sの意味、発行時期と入手方法、Box 2とBox 7/7aを中心とした見方、日本の確定申告での扱いを順に確認します。
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KDPの1042-Sとは?米国源泉所得と源泉徴収税額を報告する書類
目次
KDPの1042-Sは、非米国の出版社へ支払われた米国源泉所得と、米国で源泉徴収された税額などを報告するための税務書類です。
正式にはIRSの「Form 1042-S」で、Amazonから受取人へ発行されます。
書類には、対象となる所得の種類、支払額、源泉徴収税率、実際に源泉徴収された税額などが記載されます。
受け取ったときは追加の支払い通知として読むのではなく、米国側で支払いと源泉徴収がどのように報告されたのかを確認する資料として扱います。
1042-Sは請求書ではなく報告のための情報申告書
1042-Sが発行されても、それだけで米国へ追加の税金を納める必要があるという意味ではありません。
確認したいのは、米国で実際に税金が引かれているかどうかです。
その金額は、KDP日本語ヘルプでいうBox 7、現在のIRS様式ではBox 7aに表示されます。
ここが0であれば、書類が届いたことを理由に米国税の追加納付を判断する必要はありません。
0を超える金額が記載されている場合は、適用された税率や租税条約の状況まで確認します。
KDPにおける米国源泉徴収そのものの仕組みは、Kindle出版の源泉徴収と日本在住著者の税金ルールで詳しく確認できます。
源泉徴収されていなくても発行される場合がある
米国で税金が引かれていない場合でも、1042-Sが発行されないとは限りません。
租税条約などによって源泉徴収が免除されているケースでも、1042-Sによる報告が行われることがあります。
KDP公式では、Amazonの各サービスを通じたロイヤリティ支払額の合計が0.49米ドルを超える非米国出版社について、1042-Sを発行すると案内しています。
一方で、税務プロファイル上で報告免除となる場合もあるため、すべてのKDP利用者へ一律に発行されるわけではありません。
つまり、税額0の1042-Sが届いても異常ではなく、届かないことが直ちに問題を示すわけでもありません。
1042-Sはいつ届く?翌年3月15日までにオンラインで発行される
KDPの1042-Sは、対象となる年の翌年に発行されます。
原則として翌年3月15日までに発行され、KDPアカウントやAmazon Tax Centralからオンラインで確認できます。
発行期限は原則として翌年3月15日まで
KDP公式では、1042-Sを原則として翌年3月15日までに発行すると案内しています。
3月15日が週末や祝日に当たる場合は、翌営業日が期限になります。
対象となるのは、暦年中にAmazonから実際に支払われた金額です。
本が売れた時期ではなく支払われた時期が基準になるため、手元の売上データと感覚がずれることがあります。
KDPアカウントとAmazon Tax Centralからダウンロードする
1042-Sは、紙の書類が届くまで待たなければ内容を確認できないわけではありません。
KDPアカウントまたはAmazon Tax Centralから、オンラインでダウンロードできます。
確定申告などで必要になったときは、まず対象年の税務書類がオンライン上に発行されていないか確認します。
発行条件や年末税務書類の扱いは、KDP公式の年末税務書類に関する案内でも確認できます。
ダウンロードした書類は、支払額と源泉徴収税額を確認するための資料として保管しておきます。
ペーパーレス設定では紙の書類は郵送されない
1042-Sが必ず紙で自宅へ届くとは限りません。
ペーパーレス設定の場合、紙の1042-Sは郵送されません。
紙での送付を選択している場合は、税務プロファイルに登録された住所へ郵送されます。
KDP公式では、郵送された書類の到着まで最大約2週間かかる場合があると案内しています。
3月になっても郵便物が届かないという理由だけで、書類が発行されていないと判断しないようにしましょう。
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1042-Sの見方はBox 2とBox 7/7aを分けて確認する
1042-Sには多くの項目がありますが、すべてを最初から理解する必要はありません。
まず確認するのは、何の所得か、いくら支払われたか、どの税率が適用されたか、いくら源泉徴収されたかの4点です。
| 確認する欄 | 主な内容 | 確認する意味 |
|---|---|---|
| Box 1 | Income Code | 報告されている所得の種類を確認する |
| Box 2 | Gross Income | 対象となる支払総額を確認する |
| Box 3a・3b | 免除コード・税率 | 源泉徴収の扱いや税率を確認する |
| Box 7/7a | Federal Tax Withheld | 実際に米国で源泉徴収された税額を確認する |
読み違えが起きやすいのは、Box 2とBox 7/7aを同じものとして見てしまうケースです。
Box 2は対象となる所得額、Box 7/7aは実際に引かれた税額を示します。
Box 1は所得の種類を示すIncome Code
Box 1には、報告されている所得がどの種類に該当するかを示す「Income Code」が記載されます。
2026年版のIRS資料では、著作権などの「Other royalties」にIncome Code 12が設定されています。
ただし、KDP著者の1042-Sがすべて必ずCode 12になるとは限りません。
手元の1042-SのBox 1に印字されているコードを優先して確認してください。
また、1042-S上のIncome Codeと、日本の所得税で使う所得区分は別の目的で使われる分類です。コードを見ただけで日本側の申告区分が決まるわけではありません。
Box 2はその暦年に支払われた対象所得の総額
Box 2の「Gross Income」には、1042-Sの対象となる所得の総額が入ります。
KDPでは、米国での売上に基づき、その暦年中に実際に支払われた対象額として記載されます。
そのため、Box 2はその年に発生したロイヤリティの合計とは限りません。
KDP公式は、2026年分の1042-Sについて、2025年11月から2026年10月に獲得し、2026年1月から12月に支払われたロイヤリティが対象になる例を示しています。
獲得した期間と支払われた期間がずれるため、Box 2と手元の集計が一致しないことがあります。
Box 3a・3bは免除コードと源泉徴収税率を示す
Box 3a・3bでは、Chapter 3に関する免除コードと源泉徴収税率を確認できます。
IRSの2026年版資料では、租税条約による免除・軽減の場合に免除コード04が使われるとされています。税率が0の場合は00.00と表示される仕組みです。
ただし、日本在住のKDP著者であれば必ずBox 3aが04、Box 3bが00.00になると決まっているわけではありません。
実際の税率は、税務上の状況や提出済みの税務情報によって変わります。居住国だけを理由に表示内容を決めつけないようにしましょう。
税務プロファイルから作成されるW-8BENの各項目については、KDPのW-8BENの記入項目と提出方法で詳しく確認できます。
Box 7/現行様式のBox 7aは米国で源泉徴収された税額
KDP日本語ヘルプでは「Box 7」と案内されていますが、2026年版のIRS様式ではBox 7aが「Federal Tax Withheld」にあたります。
税務年度によって様式や欄の表記が変わる可能性があるため、手元の書類に印字された項目名も合わせて確認してください。
この欄が0であれば、米国連邦税は源泉徴収されていません。0を超える金額が入っていれば、その金額が米国で引かれた税額です。
なお、税額が記載されていても、その全額を日本の外国税額控除にそのまま使えるとは限りません。
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1042-SとKDPレポートの金額が合わないのは支払日基準で集計されるため
Box 2とKDPのデータを比べて、金額が合わないことがあります。
主な理由は、1042-Sがロイヤリティの発生時期ではなく、実際に支払われた暦年を基準に作成されるためです。
集計基準は獲得した年ではなく支払われた年
1042-Sは、その年に発生したロイヤリティを合計した書類ではありません。
年末近くに獲得したロイヤリティが翌年に支払われれば、1042-Sでも翌年分の対象になります。
反対に、年初に受け取った支払いには、前年に獲得した分が含まれている場合があります。
この違いを踏まえずに年間のロイヤリティ合計とBox 2を比べると、金額が間違っていると誤解しやすくなります。
照合には売上レポートではなく支払いレポートを使う
金額を確認するときは、KDPの支払いレポートを基準に照合します。KDP公式も、1042-Sの金額確認には支払いレポートを使うよう案内しています。
見るのは、対象となる暦年に実際に支払われた金額です。ロイヤリティの発生月だけを集計すると、対象期間そのものがずれます。
差が出たときは、発生額を見ているのか、支払額を見ているのかを最初に切り分けてください。
Box 2を日本の年間KDP収入としてそのまま転記しない
Box 2の金額を、日本の確定申告へそのまま入力すればよいと考えるのは避けましょう。
1042-Sは、米国源泉の対象所得について、その暦年中に支払われた金額を米国側の基準で報告する書類です。
日本でKDP収入をどう申告するかは、1042-Sだけで決まるものではありません。
所得区分や申告が必要になる条件は、Kindle出版の印税と確定申告のルールで確認できます。
日本の確定申告での扱いはBox 7/7aが0かどうかで変わる
日本の確定申告との関係を整理するときは、まずBox 7/7aに米国源泉徴収税額があるかを確認します。
| Box 7/7a | 確認すること | 基本的な考え方 |
|---|---|---|
| 0 | 支払額や税務情報を確認する | 1042-Sを収入確認の資料として保存する |
| 0を超える | 源泉徴収の理由と条約適用状況を確認する | 外国税額控除の対象になる税額かを確認する |
判断の基準は、書類が届いたかどうかではなく、実際に米国で税金が引かれているかどうかです。
税額が0なら収入と税務情報の確認資料として保存する
Box 7/7aが0であれば、その1042-Sに米国連邦税の源泉徴収額は記載されていません。
この場合、書類が届いたこと自体は米国への追加納付を意味しません。
Box 2などの内容を確認したうえで、KDPから支払われた金額と税務上の処理を示す資料として保存しておきます。
日本での申告が必要かどうかは、1042-Sの有無とは切り離して判断します。要否や所得区分は、Kindle出版の印税と確定申告の解説で確認してください。
税額がある場合は外国税額控除の対象かを確認する
Box 7/7aに0を超える金額があれば、米国で実際に源泉徴収された税額があります。
この場合は、日本の外国税額控除の対象となる税額かどうかを確認します。
外国税額控除は、外国で納付した所得税などを、日本の所得税から一定の範囲で差し引く仕組みです。
国税庁は、控除を受ける場合に「外国税額控除に関する明細書」や、外国所得税を課されたことを証明する書類などが必要と案内しています。
適用条件は、国税庁の外国税額控除に関する案内で確認できます。
租税条約で免除されるべき税額は控除対象にならない
税額が引かれていれば全額を控除できる、という考え方は誤りです。
国税庁は、租税条約によって相手国で免除されるべき税額などは、外国税額控除の対象にならないとしています。
条約で定められた限度を超えて課税された部分についても、そのまま控除できるとは限りません。
米国で源泉徴収されていた場合は、金額だけでなく、なぜその税率が適用されたのかまで確認します。
KDPでの租税条約と源泉徴収税率の関係は、KDPの租税条約と米国源泉徴収の仕組みで詳しく確認できます。
1042-Sが届いたときの確認チェックリスト
すべてのBoxを最初から調べる必要はありません。次の順に見ると、必要な確認だけに絞れます。
- Box 2の支払額を、KDPの支払いレポートと同じ支払日基準で照合する
- Box 7/7aを見て、源泉徴収税額が0か0を超えるかを切り分ける
- 税額が0を超える場合は、Box 3a・3bと税務プロファイルで税率と条約適用状況を確認する
- 外国税額控除を使うかどうかは、控除対象になる税額かを確かめてから判断する
1042-Sは、届いたら税金を払う書類ではありません。
支払額と源泉徴収税額を分けて確認し、税額がある場合だけ条約適用と日本側の処理まで踏み込むという順序で扱えば、必要以上に不安を抱えずに済みます。
【著者:石黒秀樹】
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