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Kindle出版を始めると、「印税から源泉徴収されるの?」「米国で30%引かれるって本当?」と疑問に感じる方は多いです。

結論から言うと、日本在住の著者でも、KDPから受け取るロイヤリティの一部が米国などの源泉徴収対象になる場合があります。

ただし、KDPのすべての売上から一律30%が引かれるわけではありません。

電子書籍か紙の本か、どのAmazonストアで販売されたか、KDPの税務情報を正しく提出しているかなどによって扱いが変わります。

この記事では、日本在住の著者を対象に、KDPの源泉徴収が発生するケース、30%から軽減できる仕組み、税務情報の確認方法、日本での確定申告との関係まで解説します。

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Kindle出版の源泉徴収とは?

源泉徴収とは、収入を受け取る前に、支払者が税金を差し引いて税務当局へ納付する仕組みです。

KDPでは、日本在住の著者も米国から見ると「非米国人」に該当するため、一定の米国源泉所得について米国の源泉徴収が関係します。

ただし、「Amazonは米国企業だからKDPの全売上に30%かかる」という仕組みではありません。

KDP公式では、非米国人に対して米国源泉徴収の対象となる支払いを、販売形式やマーケットプレイスごとに定めています。

日本在住者のKDP収益で米国源泉徴収されるもの

2026年現在、KDP公式では、非米国人に対する米国源泉徴収について次のように案内しています。

収益 米国源泉徴収
Amazon.comで販売した電子書籍 対象
Amazon.co.jpで販売した電子書籍 米国源泉徴収の対象としては記載されていない
Amazon.comで販売した紙の本 対象
Amazon.co.jpで販売した紙の本 対象
Amazon.com.auで販売した紙の本 対象
Amazon.caで販売した紙の本 対象
KDP Selectグローバル基金からの支払い 対象

このため、電子書籍とペーパーバックを同じように考えないことが重要です。

Amazon.co.jpの電子書籍売上はどうなる?

KDP公式では、非米国人の電子書籍について、米国源泉徴収の対象としてAmazon.comでの販売を挙げています。

Amazon.co.jpで販売された電子書籍については、同じ米国源泉徴収対象としては記載されていません。

したがって、日本向け電子書籍の売上だから自動的に米国で30%差し引かれる、という理解は正確ではありません。

Amazon.co.jpの紙の本は扱いが違う

ペーパーバックなどの紙の本については注意が必要です。

KDP公式では、非米国人について、Amazon.comだけでなくAmazon.co.jp・Amazon.com.au・Amazon.caで販売された紙の本のロイヤリティも米国源泉徴収対象としています。

そのため、「Amazon.co.jpの売上なら紙も電子も米国源泉徴収なし」と覚えないようにしてください。

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米国源泉徴収率は原則30%

非米国人が受け取る米国源泉の対象ロイヤリティには、米国の法定税率として原則30%の源泉徴収があります。

ただし、日本は米国と租税条約を結んでいるため、条件を満たせば30%より低い税率を申請できる場合があります。

実際に自分へ適用される米国源泉徴収率は、KDPアカウントの税務情報画面で確認できます。

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30%の源泉徴収を軽減するには税務情報が重要

KDPでは、非米国人の著者が出版するために税務プロフィールを完成させる必要があります。

税務インタビューでは、居住国・氏名・住所・TINなどを入力し、必要に応じて租税条約の適用を申請します。

日本在住者は外国TINを利用できる

KDP公式では、租税条約による軽減を申請する際、米国TINを持っていない場合には、居住国の税務当局が所得税目的で発行した外国TINを利用できると案内しています。

日本在住の個人著者の場合、一般的にはマイナンバーを外国TINとして扱います。

そのため、KDP出版のためだけにITINを必ず取得しなければならないわけではありません。

TINについて詳しくは、『Kindle出版のTIN入力とマイナンバー対応を徹底解説|日本在住者の正しい手順と注意点』も参考にしてください。

TINなしでも税務インタビュー自体は完了できる場合がある

KDP公式では、TINがなくても税務インタビューを完了できる場合があると案内しています。

ただし、米国源泉支払いに対する法定30%からの軽減は、米国TINまたは外国TINを提供するまで適用されません。

「出版できるか」と「軽減税率を利用できるか」は分けて考えましょう。

税務インタビューではW-8BENを確認する

一般的な日本在住の個人著者が非米国人として税務インタビューを行う場合、通常はW-8BENが作成されます。

W-8BENは、米国から見て非米国人であることや、租税条約による軽減を申請するための税務書類です。

入力後は、

  • 氏名
  • 住所
  • 税務上の居住国
  • 外国TIN
  • 租税条約に関する回答
  • 適用される源泉徴収率

を確認してください。

W-8BENには有効期限がある

KDP公式では、W-8は署名した年から数えて3年後の暦年末まで有効としています。

たとえば2026年中に署名したW-8は、通常2029年12月31日まで有効です。

期限切れのまま放置すると、それまで軽減税率が適用されていた場合でも、源泉徴収率が30%へ戻る可能性があります。

KDPの税務情報画面で有効期限を定期的に確認してください。

源泉徴収されているか確認する方法

「思っていたより振込額が少ない」と感じた場合は、まずKDPの支払いレポートを確認します。

Payment ReportのTax Withholdingを確認する

KDPの支払いレポートには、ダウンロード版を含めて「Tax Withholding」という項目があります。

ここには、対象となるロイヤリティから実際に源泉徴収された税額が表示されます。

確認するときは、

  • 対象マーケットプレイス
  • Accrued Royalty
  • Tax Withholding
  • Payment Amount

を見比べると分かりやすいでしょう。

支払い自体の流れについては、『KDPの振込日はいつ?支払いサイクルと着金までの流れを徹底解説』も参考にしてください。

30%引かれていたら最初に確認すること

米国源泉の対象ロイヤリティから30%が引かれている場合は、税務プロフィールを確認してください。

税務情報が正しく提出されているか

KDPアカウントの税務情報を開き、現在の税務プロフィールが有効か確認します。

外国TINを登録しているか

租税条約による軽減を申請する場合、米国TINまたは外国TINが必要です。

現在の米国源泉徴収率を確認する

KDP公式では、現在適用される米国源泉徴収率をKDPアカウントの税務情報セクションで確認できると案内しています。

「日本在住だから自動的に0%」と判断せず、KDP画面に表示されている税率を確認してください。

税務情報を更新すれば過去の源泉徴収も戻る?

税務情報を修正すると、今後の支払いに適切な税率が適用されるようになります。

ただし、すでに源泉徴収された税金がKDP上で自動的にすべて返金されると考えない方がよいでしょう。

過去に外国で徴収された税金を日本でどのように扱うかは、外国税額控除など税務上の手続きが関係します。

金額が大きい場合や判断に迷う場合は、税務署や税理士へ確認してください。

Form 1042-Sとは?

KDPでは、非米国の出版社・著者に対して、対象となる場合にIRSのForm 1042-Sを発行します。

KDP公式では、非米国出版社向けの1042-Sを原則として翌年3月15日までに発行するとしています。

税務書類はKDPアカウントまたはAmazon Tax Centralからダウンロードできます。

なお、1042-Sの金額は「その年に発生したロイヤリティ」ではなく、その年に実際に支払われた金額を基準に作成されます。

KDPのロイヤリティは通常、売上が発生した月の末から約60日後に支払われるため、年末の売上は翌年の1042-Sへ入る場合があります。

米国で源泉徴収された税金は日本でどうする?

日本居住者は、海外から得た所得を含め、原則として日本の所得税のルールに従って申告を考える必要があります。

外国で所得税に相当する税金を納付している場合は、一定の条件のもとで外国税額控除を利用できる場合があります。

外国税額控除は、「海外で引かれた税金なら必ず全額戻る」という制度ではありません。

控除対象になる外国税、控除限度額、国外所得金額などをもとに計算します。

そのため、米国源泉徴収が発生した場合は、1042-SやKDPの支払いレポートなどの資料を保存しておきましょう。

Kindle出版の収入は雑所得?事業所得?

日本での所得区分は、単純に「Kindle出版だから雑所得」と決まるわけではありません。

国税庁では、原稿料や著作権使用料などは、事業所得と認められる場合を除き、業務に係る雑所得の例として挙げています。

一方、社会通念上「事業」と認められる規模・実態で継続して行っている場合は、事業所得になる可能性があります。

したがって、

  • 副業だから必ず雑所得
  • 開業届を出したから必ず事業所得

という判断はできません。

実際の活動状況などをもとに判断してください。

所得は収入から必要経費を差し引いて計算する

業務に係る雑所得でも事業所得でも、基本的には収入から必要経費を差し引いて所得金額を計算します。

Kindle出版に直接必要となった、

  • 表紙制作費
  • 校正費
  • 外注費
  • 出版に使用したサービス利用料

などが必要経費に該当するかは、実際の用途や事業との関連性によって判断します。

「20万円以下なら申告不要」はどう考える?

給与所得者については、一定の条件を満たす場合に、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる制度があります。

ただし、これは「20万円以下なら税金が一切かからない」という意味ではありません。

住民税の申告が必要になる場合や、医療費控除など別の理由で確定申告をする場合には副業所得も申告する必要があります。

自分が申告不要制度の対象になるかは、給与の状況やほかの所得も含めて確認してください。

KDP Selectの収益にも米国源泉徴収は関係する

Kindle Unlimitedで読まれたページに応じて受け取るKDP Selectグローバル基金からのロイヤリティも、KDP公式では非米国人に対する米国源泉徴収の対象に含めています。

そのため、Amazon.co.jpで電子書籍を販売しているだけだから税務プロフィールは関係ない、とは考えない方がよいでしょう。

KDP SelectやKindle Unlimitedを利用している場合も、税務プロフィールを正しく設定してください。

ブラジル・インドでは別の源泉徴収もある

KDPには米国源泉徴収とは別に、販売先によって現地の源泉徴収が行われる場合があります。

Amazon.com.br

ブラジルのAmazon.com.brでの販売には、ブラジルの源泉徴収税が適用されます。

日本居住者については、KDP公式の現在の表では12.5%とされています。

Amazon.in

非シンガポール居住者について、Amazon.inでの販売にはシンガポールの源泉徴収が適用される場合があります。

KDP公式では基本税率を10%とし、租税条約による軽減の可能性も案内しています。

海外販売を行う場合は、「米国の30%」だけを見るのではなく、販売先ごとの税務ルールを確認してください。

ペーパーバックの源泉徴収で注意すること

紙の本では、印刷コストと源泉徴収を別々に考える必要があります。

ペーパーバックのロイヤリティは、販売価格・ロイヤリティ率・印刷コストなどから計算されます。

そのうえで、米国源泉徴収の対象となる支払いには、適用税率に応じた税金が差し引かれます。

したがって、紙版の手取りが想定より少ないときは、

  • 印刷コスト
  • ロイヤリティ率
  • 源泉徴収
  • 為替

を分けて確認してください。

Kindle出版の源泉徴収でよくある質問

日本のAmazonで電子書籍が売れたら30%引かれますか?

KDP公式では、非米国人の電子書籍について米国源泉徴収対象としてAmazon.comでの販売を挙げています。

Amazon.co.jpでの電子書籍販売を同じ米国源泉徴収対象としては記載していません。

Amazon.co.jpのペーパーバックも同じですか?

いいえ。

非米国人について、Amazon.co.jpで販売された紙の本のロイヤリティは米国源泉徴収対象に含まれます。

米国Amazonで電子書籍が売れたら30%ですか?

何も軽減されていなければ、米国源泉の対象支払いには法定30%の源泉徴収が適用されます。

ただし、日本居住者は租税条約により軽減を申請できる可能性があります。

マイナンバーを入力すれば軽減できますか?

マイナンバーは日本在住個人の外国TINとして利用できます。

ただし、TINの入力だけで税率が決まるのではなく、税務インタビュー全体の回答によって適用税率が判定されます。

自分の税率はどこで確認できますか?

KDPアカウントの税務情報セクションで、現在の米国源泉徴収率を確認できます。

源泉徴収されたら日本で二重課税になりますか?

外国で所得税に相当する税金を負担した場合、一定の条件のもとで外国税額控除を利用できる可能性があります。

自動的に全額控除されるわけではないため、確定申告時に確認してください。

1042-Sは保存した方がいいですか?

はい。

外国税額控除など税務上の確認に使用する可能性があるため、KDPから発行された税務書類と支払いレポートは保存しておくと安心です。

まとめ|KDPの源泉徴収は「販売先・形式・税務設定」を確認する

Kindle出版の源泉徴収は、「日本在住だから関係ない」「Amazonは米国企業だから全部30%」のどちらでもありません。

重要なのは、どの収益が源泉徴収対象なのかを分けて考えることです。

  • 非米国人のAmazon.com電子書籍売上は米国源泉徴収対象
  • Amazon.co.jpの電子書籍売上は同じ対象としては記載されていない
  • Amazon.co.jpを含む一部ストアの紙版ロイヤリティは米国源泉徴収対象
  • KDP Selectグローバル基金からの支払いも対象
  • 米国源泉徴収の法定税率は30%
  • 租税条約により軽減できる場合がある
  • 軽減申請には米国TINまたは外国TINが必要
  • 日本在住個人はマイナンバーを外国TINとして利用できる
  • 現在の源泉徴収率はKDP税務情報画面で確認する
  • 実際に引かれた税額はPayment ReportのTax Withholdingで確認できる
  • 非米国出版社には対象となる場合Form 1042-Sが発行される
  • 日本での所得区分は活動実態によって雑所得・事業所得などを判断する

まず確認すべきなのは、KDPアカウントの税務情報と現在の源泉徴収率です。

源泉徴収が発生している場合は、販売先・電子書籍か紙版か・税務プロフィールの内容を確認し、日本での申告については必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。

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【著者:石黒秀樹】

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