Kindle出版のコミュニティ運営&サポート歴5年。
のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。

Kindle出版を法人で行いたいけれど、本当に会社名義で登録できるのかと迷う方は少なくありません。

私自身も初めて法人でKDP登録を行った際、入力フォームの「正式名称」や「出版社名」の扱いに迷い、無駄にやり直した経験があります。

結論から言うと、Amazon KDPは法人名義で利用できます。

KDPアカウントの設定では、Business typeとして個人または法人を選択でき、法人の場合は会社の正式名称、支払い情報、税務情報などを法人主体で登録します。

ただし、「KDPアカウントの法人名」「著者名」「出版社・レーベル名」はそれぞれ役割が違います。

この記事では、法人名義でKindle出版する方法、KDPアカウントの設定、銀行口座・税務情報、出版社名やレーベル名の考え方、ペーパーバック出版まで初心者向けに解説します。

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Kindle出版は法人名義でもできる

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Kindle出版は、個人だけでなく法人でも行うことができます。

KDPのアカウント設定では、Business typeとしてIndividual(個人)またはCorporation(法人)を選択できます。

法人で利用する場合は、KDPアカウント情報に会社の正式名称を登録し、支払い情報・税務情報についても法人として整合する内容を登録します。

そのため、日本国内の株式会社や合同会社などが、法人事業としてKDP出版を行うことも可能です。

法人名義と著者名は別に考える

法人名義でKDPアカウントを運用したからといって、Amazonの商品ページの著者名が自動的に会社名になるわけではありません。

KDPアカウントに登録する正式名称は、支払い・税務・本人確認などに使われる情報です。

一方、書籍の商品ページに表示する著者名は、各書籍の「著者・寄稿者」情報で設定します。

そのため、法人名義のKDPアカウントから、

  • 法人名を著者として表示する
  • 代表者名を著者として表示する
  • ペンネームを著者として表示する

といった運用が可能です。

法人名義で売上を受け取ることと、読者に見せる著者名は別と考えてください。

個人出版と法人出版の主な違い

個人と法人では、本の制作方法そのものが大きく変わるわけではありません。

違いが出やすいのは、主にアカウント・支払い・税務・経理の部分です。

項目 個人 法人
KDPのBusiness type Individual Corporation
正式名称 本人の法的氏名 法人の正式名称
売上管理 個人の収入 法人の売上として管理
銀行口座 個人名義口座 法人名義口座を使うのが自然
税務情報 個人として回答 法人として回答
著者名 実名・ペンネームなど 会社名・担当者名・ペンネームなどを作品ごとに設定

実務上は、KDP上の取引主体と、銀行・税務・会計上の主体をそろえることが重要です。

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法人でKindle出版するメリット

法人でKindle出版する理由は、単に印税を受け取るためだけではありません。

企業の情報発信やブランディングにも利用できます。

企業の専門知識をコンテンツ資産にできる

たとえば、

  • 企業の専門ノウハウ
  • 研修内容
  • 顧客向けの解説
  • 業界情報
  • 事例集

などを電子書籍化できます。

Webサイトの記事や営業資料とは違い、Amazon上に「本」として存在することで、企業の専門性を伝えるコンテンツの一つになります。

法人の売上として管理しやすい

出版事業を法人として行う場合、KDPからのロイヤリティを法人の売上として管理できます。

特に複数冊を継続出版する場合は、法人名義で支払い・帳簿・外注費などをまとめた方が管理しやすいケースがあります。

出版レーベルを育てられる

法人で複数ジャンルの書籍を出版するなら、独自の出版レーベルを作る方法もあります。

ただし、後述するように、KDPアカウントの法人名と、紙版ISBNに登録されるインプリント名は別の仕組みなので注意してください。

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法人名義でKDPアカウントを設定する方法

法人としてKindle出版を行う場合は、KDPアカウント情報を法人として登録します。

1.Business typeで法人を選ぶ

KDPのアカウント設定では、Business typeとして個人または法人を選択します。

法人として出版事業を行う場合は、法人に該当する項目を選びます。

2.会社の正式名称を入力する

KDPのAccount Detailsでは、法人の場合は会社の正式名称を入力します。

ここには、ペンネームや書籍用のレーベル名ではなく、法人としての正式名称を使用します。

たとえば登記上の名称が「株式会社〇〇」であれば、KDPの正式名称もその法人情報と整合する形にします。

Amazonは、この名称を支払い・税務書類・本人確認などに使用します。

3.法人の住所を登録する

税務申告やロイヤリティ支払いに利用する法人住所を登録します。

KDP公式では、有効な住所を登録する必要があり、私書箱ではなく実在する住所を使用するよう案内しています。

法人名義の銀行口座を登録する

Kindle出版の売上は、KDPに登録した銀行口座へ支払われます。

法人として収益を管理するなら、法人名義口座を登録するのが分かりやすいでしょう。

口座名義は銀行登録情報と一致させる

KDP公式では、銀行口座のAccount holder nameについて、銀行に登録されている口座名義と一致させるよう案内しています。

名称が一致しない場合、ロイヤリティを正常に入金できない可能性があります。

法人の場合は、法人名義の口座を使用し、銀行側の登録名称に合わせて入力してください。

法人では設立日を求められる場合がある

現在のKDPでは、銀行口座登録時に法人として登録している場合、Account holder nameに記載した法人の設立日(Date of Incorporation)を入力する項目があります。

銀行情報だけでなく、法人情報との整合性も確認して登録しましょう。

法人の税務情報は個人と入力内容が違う

KDPでは、すべての出版社・著者に税務情報の登録を求めています。

法人の場合は、税務インタビューで法人として回答します。

日本法人は米国税務上、原則として外国法人に該当します。

個人著者向けのW-8BENではなく、法人の税務分類に応じてW-8BEN-Eなどの書類が作成される場合があります。

法人TINは画面の指示に従って入力する

法人では、個人著者のマイナンバーをそのまま使うのではありません。

税務インタビューでは、法人の税務分類・居住国・TINなどを回答します。

ただし、「日本の法人番号を必ずこの欄へ入力すればよい」と一律に断定するのは避けた方が安全です。

KDPの税務インタビューでは法人の種類や税務分類によって質問が変わるため、現在表示されているKDP画面の説明に従って回答してください。

また、非米国法人が租税条約による源泉徴収率の軽減を申請する場合は、TINの提供が必要になります。

TINについては、『Kindle出版のTIN入力とマイナンバー対応を徹底解説|日本在住者の正しい手順と注意点』も参考にしてください。

「法人名」と「出版社名」は同じではない

法人で出版するときに特に混乱しやすいのが、法人名と出版社名の違いです。

KDPアカウントに登録する法人の正式名称は、支払い・税務・本人確認のための情報です。

一方、読者から見える出版社・インプリントの扱いは、書籍形式やISBNによって異なります。

電子書籍ではISBNは不要

Kindle電子書籍をKDPで出版するためにISBNは必要ありません。

電子書籍にはAmazonがASINを割り当てます。

そのため、電子書籍では法人のKDPアカウントを使いながら、著者名などを書籍ごとに設定して運用できます。

ペーパーバックの無料ISBNでは出版社表示に注意

KDPのペーパーバックやハードカバーではISBNが必要ですが、KDPから無料ISBNを取得できます。

ただし、KDP無料ISBNを使用すると、出版社・インプリントは「Independently published」として登録・表示されます。

つまり、法人名義のKDPアカウントだからといって、無料ISBNを使用した紙版の商品ページに自動的に自社名が出版社として表示されるわけではありません。

自社レーベル名を出版社として表示したい場合

紙版で自社の法人名やレーベル名をインプリントとして使用したい場合は、自分で取得したISBNを使う方法があります。

その場合、ISBN発行機関に登録したタイトル・著者・形式・インプリント名と、KDPに入力する情報を一致させる必要があります。

紙版の出版社表示をブランド戦略に使いたい法人は、無料ISBNと自社ISBNの違いを理解してから選択しましょう。

法人名とレーベル名はどう使い分ける?

法人で継続的に出版する場合は、会社名そのものを前面に出す方法と、出版専用のレーベルを作る方法があります。

法人名をそのまま使う場合

企業の専門知識やサービスに関する本なら、法人名を前面に出すことで発行主体が分かりやすくなります。

企業研修、技術書、業界解説、事例集などでは相性がよいでしょう。

独自レーベルを作る場合

複数ジャンルをシリーズ展開したい場合は、出版専用のレーベルを作る方法もあります。

たとえば法人名とは別に「〇〇Books」などのブランドを設け、シリーズとして統一する方法です。

ただし、紙版でそのレーベルをISBN上のインプリントとして使用する場合は、ISBN登録情報との一致が必要です。

法人アカウントで注意したい正式名称

KDPのAccount Detailsに登録する名称は、法人の正式名称を使用します。

略称や書籍用ブランド名ではなく、法人として確認できる名称にそろえてください。

また、KDP公式では、税務情報の名称は税務書類上の正式名称と一致させ、銀行情報は銀行口座上の名称と一致させるよう案内しています。

KDP・銀行・税務の名義をバラバラにしないことが大切です。

法人用にKDPアカウントをもう1つ作ってもいい?

KDPでは、複数アカウントの作成・運用には注意が必要です。

個人から法人へ変更したからといって、自己判断で重複アカウントを作成し、同じ書籍を両方から出版するのは避けた方が安全です。

既存アカウントの主体変更や新しい法人アカウントが必要な場合は、現在のKDPアカウント状況を確認し、必要に応じてKDPサポートへ相談してください。

特に、アカウント制限を回避する目的で別アカウントを作ることは避けましょう。

法人出版では著作権の帰属も確認する

法人が本を出版する場合は、「誰が原稿の著作権を持っているのか」も確認しておく必要があります。

社員が業務として制作した原稿、外注ライターが作成した原稿、代表者個人が作った原稿では、契約内容によって権利関係が異なる場合があります。

KDPでは、出版者にコンテンツを出版する権利があることが求められます。

外部ライターやイラストレーターへ依頼する場合は、出版・電子配信に必要な利用権を契約上明確にしておきましょう。

法人でKindle出版を活用する方法

法人でKindle出版を行う場合、単に本の販売収益を得るだけでなく、企業の情報発信にも活用できます。

専門ノウハウを本にする

技術系企業や教育事業者なら、社内に蓄積された知識を解説書や教材として出版できます。

企業サイトだけでは伝えきれない専門知識を体系化できるのが、本のメリットです。

営業・採用・ブランディングに活用する

会社の考え方、事例、専門分野をまとめた本は、営業や採用時に企業を知ってもらう材料にもなります。

ただし、「Kindle出版すれば信頼性が必ず上がる」「問い合わせが増える」と保証されるものではありません。

あくまで企業コンテンツの一つとして活用してください。

出版レーベルとして継続展開する

KDPには在庫を大量に抱えずに電子書籍やオンデマンド印刷の紙版を販売できるメリットがあります。

そのため、複数冊を継続的に出版し、小規模な出版レーベルとして運用することも可能です。

法人でペーパーバックを出版する場合

KDPでは法人名義のアカウントからペーパーバックも出版できます。

紙版では電子書籍と違い、

  • 本文の仕上がりサイズ
  • 余白
  • 塗り足し
  • 背表紙
  • 印刷コスト
  • ISBN

などを考慮する必要があります。

最低ページ数は24ページが基本

KDPのペーパーバックでは、基本的な最低ページ数は24ページです。

ただし、印刷方式や用紙、サイズによって条件が異なり、標準カラーなどでは最低ページ数が異なる場合があります。

実際に作成するときは、選択する印刷仕様の最新ページ数条件を確認してください。

KDP無料ISBNと自社ISBNを選べる

通常のペーパーバックでは、KDP無料ISBNまたは自分で取得したISBNを利用できます。

KDP無料ISBNならISBN取得費用はかかりませんが、出版社・インプリントは「Independently published」となります。

自社の出版レーベル名をISBN上でも使用したい場合は、自社ISBNの利用を検討してください。

法人名義へ変更するときの注意点

すでに個人名義でKDPを利用していて、その後法人化した場合は、単に表示名だけを書き換えればよいとは限りません。

法人化すると、

  • KDPの正式名称
  • 銀行口座
  • 税務情報
  • 本人・法人確認

などに変更が生じます。

KDP公式では、アカウント情報を変更した場合に再度本人確認を求められることがあります。

既存の売上や税務書類にも関係するため、大きな名義変更を行う場合はKDPの案内を確認しながら進めましょう。

法人でKindle出版するときによくある質問

株式会社でもKDPを利用できますか?

はい。

KDPのBusiness typeでは法人を選択でき、法人名義でアカウント情報・支払い・税務情報を登録できます。

法人名義なら著者名も会社名になりますか?

いいえ。

KDPアカウントの正式名称と、商品ページに表示する著者名は別です。

法人名義なら出版社欄に会社名が自動表示されますか?

必ずしもそうではありません。

特にKDP無料ISBNを使った紙版では、出版社・インプリントは「Independently published」と表示されます。

法人なら必ず法人名義口座が必要ですか?

KDPでは銀行口座名義と銀行に登録された情報が一致することが重要です。

法人として出版収益を管理するなら法人名義口座を使用するのが自然ですが、具体的な会計・税務上の扱いは自社の状況に応じて確認してください。

法人の税務情報に代表者のマイナンバーを入力しますか?

法人の税務プロフィールと個人著者のプロフィールは別です。

代表者個人のマイナンバーを法人用TINとして自己判断で入力するのではなく、法人として表示される税務インタビューの案内に従ってください。

法人でもKDP Selectを利用できますか?

はい。

法人名義で出版している電子書籍でも、KDP Selectの条件を満たせば登録できます。

法人でもペーパーバックを出版できますか?

はい。

電子書籍と同様に、法人名義のKDPアカウントから紙版を出版できます。

まとめ|法人名義のKDPは「正式名称・銀行・税務」をそろえる

Kindle出版は個人だけでなく法人でも行えます。

法人出版で特に重要なのは、KDP上の正式名称・銀行口座・税務情報を法人主体として整合させることです。

  • KDPではBusiness typeとして法人を選択できる
  • 法人の正式名称はAccount Detailsへ登録する
  • 著者名とKDPの法人名は別
  • 銀行口座名義は銀行登録情報と一致させる
  • 法人は個人とは異なる税務プロフィールで回答する
  • 法人のTINは税務インタビューの指示に従って登録する
  • 電子書籍にはISBNは不要
  • 紙版ではISBNが必要な場合がある
  • KDP無料ISBNでは出版社表示が「Independently published」になる
  • 自社レーベルを紙版のインプリントにしたい場合は自社ISBNを検討する
  • 個人から法人へ変更するときは銀行・税務情報も見直す

法人でKindle出版を継続するなら、「会社名義で登録できるか」だけでなく、誰が売上を受け取り、誰が権利を持ち、読者にはどのブランドを見せるのかまで整理しておくと運用しやすくなります。

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【著者:石黒秀樹】

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