Kindle出版のコミュニティ運営&サポート歴5年。
のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。

Kindle出版を始めるとき、「何冊出せば収益になるのか」は多くの人が最初に知りたい疑問です。

結論として、10冊出せば稼げる、20冊なら月○万円になる、といった共通の基準はありません。

必要な冊数は、1冊あたりにどれだけロイヤリティが発生するかで変わるためです。冊数だけを見るのではなく、「目標月間ロイヤリティ」と「1冊あたりの月間ロイヤリティ」を組み合わせて逆算します。

この記事では、必要冊数の計算方法、同じ冊数でも収益に差が出る理由、既刊の実績から必要冊数を割り出す手順を整理します。

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Kindle出版に「稼げる冊数」の共通基準はない

Kindle出版では、収益化に必要な出版冊数が一律に決まっていません。

1冊でも収益が発生することはありますし、複数冊あっても各タイトルの収益が小さければ、合計額は伸びません。冊数と収益はイコールではなく、1冊ごとの収益を積み上げた結果が月間の収益になります。

KDP公式は必要冊数の目安を示していない

KDP公式では、著者が収益を得るために必要な出版冊数は示されていません。「○冊出版すれば月○円になる」という公式の平均値も公表されていません。

そのため、ネット上で見かける「10冊あれば稼げる」といった数字は、あくまで個別の事例です。必要冊数は公式基準ではなく、自分の目標収益と各本の収益力から計算します。

必要冊数は1冊あたりの月間ロイヤリティで変わる

同じ月1万円を目標にしても、1冊あたりの月間ロイヤリティが500円なら20冊、2,000円なら5冊が必要になります。

ここで大事なのは、20冊と5冊のどちらが正しいかではありません。1冊あたりの収益という前提が変われば、必要冊数も変わるという点です。

「何冊必要か」を考える前に、1冊が月にどの程度の収益を生む前提なのかを決める必要があります。

複数冊を持つと収益が発生する入口は増える

必要冊数に決まった答えはありませんが、複数冊を持つこと自体には意味があります。本が増えれば、販売やKindle Unlimitedで読まれる対象となるタイトルも増えるためです。

ただし、2冊を4冊にしても収益が必ず2倍になるわけではありません。タイトルごとに販売数や読まれ方が異なるため、冊数は収益機会を増やす要素の一つと捉えるのが適切です。

必要冊数は「目標月間ロイヤリティ÷1冊あたりの収益」で計算する

感覚で「10冊くらい」と決めるより、数字から逆算した方が判断しやすくなります。使う式は次のとおりです。

必要冊数=目標月間ロイヤリティ÷1冊あたりの月間ロイヤリティ

計算結果に端数が出た場合は、本の冊数なので切り上げて考えます。

月1万円を目標にした場合の必要冊数

1冊あたりの月間ロイヤリティ 月1万円に必要な冊数
500円 20冊
1,000円 10冊
2,000円 5冊
5,000円 2冊

この表は「Kindle本は平均して月500円稼げる」という意味ではありません。1冊あたりの収益が変わると必要冊数がどう変化するかを示す計算例です。

1冊あたりの収益を高められれば必要冊数は少なくなり、各本の収益が小さければ多くの冊数が必要になります。

出版前は1冊あたりの収益を複数パターンで仮定する

まだ1冊も出版していない段階では、自分の実績がないため正確な必要冊数は計算できません。1つの数字に決め打ちせず、複数パターンで試算します。

月1万円が目標なら、1冊あたり500円、1,000円、2,000円と前提を変えて必要冊数を並べて比べます。この方法なら、「10冊出せば大丈夫」と最初から固定してしまうことを避けられます。

出版後は、仮定ではなく自分のKDP実績を使って計算し直します。

シミュレーションの数字を平均収入として扱わない

冊数別のシミュレーションを見るときは、「1冊あたり月○円」という数字の扱いに注意します。

KDP公式は、Kindle本1冊あたりの一般的な平均月収を公表していません。個人の事例や計算例を「Kindle本の平均収益」として扱うことはできません。ジャンル、価格、販売数、Kindle Unlimitedで読まれた量によって、タイトルごとの収益は変わります。

シミュレーションは将来の収入を保証する数字ではなく、必要冊数を考えるための計算材料です。月5万円という具体的な目標から冊数と単価を設計する場合は、Kindle出版で月5万円を稼ぐための必要冊数と単価の設計で詳しく確認できます。

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同じ冊数でも収益に差が出る理由

10冊持っている著者同士でも、月間ロイヤリティが同じになるとは限りません。収益は冊数ではなく、各タイトルがどの方法で、どの程度収益を生んでいるかで決まるためです。

販売ロイヤリティは35%と70%で1冊あたりの金額が変わる

Kindle電子書籍の販売ロイヤリティには、35%と70%があります。Amazon.co.jpでは、35%の価格範囲は税込99〜20,000円、70%の対象価格は税込250〜1,650円です。

70%を適用するには、価格条件に加えてKDPセレクトへの登録などの条件があり、満たさない場合は35%になります。

計算方法も異なります。35%は税を除いたリスト価格に35%を掛けます。70%は税を除いたリスト価格から配信コストを差し引き、その金額に70%を掛ける仕組みです。Amazon.co.jpにおける70%ロイヤリティの配信コストは1MBあたり1円とされています。

つまり、同じ販売数でも価格やロイヤリティ条件によって1冊あたりの収益は変わります。価格条件は変更される可能性があるため、Amazon KDP公式の日本向け価格条件で最新の内容を確認してください。

Kindle Unlimitedの収益はKENPのレートで変動する

KDPセレクトに登録した本は、Kindle Unlimitedで読まれたページ数に応じたロイヤリティも収益源になります。このときの指標がKENP(読まれたページ数を示す単位)です。

ただし、KENP1ページあたりの金額は固定ではありません。KDP公式では、レートは毎月変動するとされています。「1KENP=○円」と固定して将来の収益を計算するのは避けます。

Kindle Unlimitedからの収益が大きい本では、販売冊数だけを見てもその本の収益力は判断できません。販売とKENPの両方を合わせて確認します。

収益が一部のタイトルに集中することがある

複数冊を出版していても、すべての本が均等に収益を生むとは限りません。10冊のうち1冊の収益が大きく、残り9冊の収益が小さいという状態も起こります。

この場合、総収益を10冊で割った平均値だけを見ると実態が分かりません。平均だけでなく、どのタイトルが実際に収益を生んでいるかを確認します。

高収益の1冊が全体を押し上げているなら、同じ条件で本を増やしても同じ結果にはなりません。反対に、複数の本が安定して収益を生んでいるなら、冊数を増やした効果を見込みやすくなります。

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既刊がある人はKDPレポートから必要冊数を逆算する

すでにKindle本を出版している人は、一般的な冊数目安を探す必要はありません。自分のKDPレポートにある実績から必要冊数を逆算する方が現実的です。

確認順 確認する内容 目的
1 タイトルごとのロイヤリティ 本ごとの収益差を確認する
2 複数月の収益 一時的な数字だけで判断しない
3 1冊あたりの月間収益 目標収益から必要冊数を逆算する

同じ期間でタイトルごとのロイヤリティを比較する

まず、KDPレポートで同じ期間のタイトル別ロイヤリティを確認します。KDPでは、期間や本を絞ってロイヤリティの見積りを表示できます。

一方を1か月、もう一方を別の期間で見ると比較になりません。期間をそろえることで、どの本が収益を生んでいるのかを比べられます。

KDPレポートの具体的な確認方法は、KDPで売上確認する方法とレポート画面の見方で詳しく確認できます。

複数月の実績から1冊あたりの月間収益を出す

次に、1か月だけではなく複数月の実績を確認します。単月の数字で必要冊数を決めると、その月だけの変動に左右されるためです。

複数月の平均から1冊あたりの月間ロイヤリティを出し、「目標月間ロイヤリティ÷1冊あたりの月間ロイヤリティ」に当てはめます。これで「一般的に何冊必要か」ではなく「現在の自分には何冊必要か」を計算できます。

目標との不足分から追加冊数を計算する

現在の月間ロイヤリティと目標額の差を出し、既刊の1冊あたり月間ロイヤリティで割ると、追加で必要な冊数の目安が出ます。

このとき、高収益の本が平均を大きく引き上げていないかも確認します。収益が一部に集中している場合は、高収益の本、一定の収益がある本、ほとんど収益がない本に分けて見ると、新刊の見込みを過大評価しにくくなります。

新刊が既刊と同じ収益を生む保証はありません。逆算した冊数は確定値ではなく、現在の実績をもとにした判断材料として扱います。

冊数を増やすときは「冊数」と「1冊あたりの収益」を分けて考える

収益を増やしたいとき、出版冊数だけを目標にすると判断を誤りやすくなります。「何冊あるか」と「1冊がどれだけ収益を生んでいるか」は分けて確認します。

冊数が2倍でも収益が2倍になるとは限らない

5冊から10冊へ増やしても、月間ロイヤリティが必ず2倍になるわけではありません。タイトルごとに販売数やKindle Unlimitedで読まれる量が異なるためです。

冊数の増加率と収益の増加率を同じものとして扱わないようにします。1冊あたりの収益が小さいままでは、目標に必要な冊数が増え続けることになります。

大量に本を増やす方法のメリットと注意点は、Kindle本を量産すると稼げるのかを解説した記事で確認できます。

新刊を出した後もタイトル別の推移を確認する

新しい本を出版した後は、総収益だけでなくタイトルごとの推移を見ます。どの本が収益を生み、どの本がほとんど収益を生んでいないかを分けて確認します。

これにより、「冊数を増やしたから伸びた」のか「一部の本が伸びたから全体が増えた」のかを区別できます。次の本を出すタイミングについては、Kindle出版の2冊目を出す時期と出版ペースで詳しく解説しています。

出版状況別の必要冊数の考え方

必要な冊数は、全員が同じ基準で決めるものではありません。まだ出版していない人と、すでに複数冊ある人では使える判断材料が異なります。

現在の状況 冊数の考え方
まだ出版していない 冊数を固定せず、複数パターンで試算して1冊目の実績を確認する
すでに複数冊ある 実際の月間ロイヤリティから必要冊数を逆算する
一部の本だけ収益が高い 単純平均ではなくタイトル別の実績で判断する

まだ出版していない人にとって、最初の1冊は今後の必要冊数を判断するための実績データになります。すでに複数冊ある人は、一般的な平均値ではなく自分の数字を基準にできます。

Kindle出版で「何冊出せば稼げるか」に共通の答えはありません。目標収益と1冊ごとの実績を結び付け、自分の数字から必要冊数を判断してください。

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【著者:石黒秀樹】

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