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KDPペーパーバックは、注文が入るたびに1冊ずつ印刷して発送される仕組みです。

そのため電子書籍とは違い、1冊ごとに印刷コストが発生し、著者の受取額から差し引かれます。

印刷コストを決めるのは、ページ数・インクの種類・判型(標準判か大判か)・用紙の組み合わせです。

この記事では、Amazon.co.jpで黒インクのペーパーバックを販売する場合を例に、印刷コストの計算方法と、販売価格から1冊あたりのロイヤリティを求める手順をまとめます。

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KDPペーパーバックの印刷コストとは1冊売れるたびに差し引かれる印刷代

印刷コストは、ペーパーバックが1冊売れるたびに発生する印刷と製本の費用です。

KDPでは在庫を先にまとめて刷るのではなく、注文ごとに印刷します。そのため著者が事前に費用を支払うのではなく、売れた分だけ受取額から差し引かれます

1冊あたりの受取額は、次の式で決まります。

希望小売価格(税抜)×ロイヤリティ率-印刷コスト=1冊あたりのロイヤリティ

印刷コストが分からないまま価格を決めると、手元にいくら残るのか判断できません。

印刷コストはページ数・インク・判型・用紙で変わる

  • ページ数:一定のページ数を超えると、1ページごとに料金が加算されます。
  • インク:黒インクとカラーで料金が異なります。
  • 判型:標準判と大判で料金が分かれます。
  • 用紙:選んだ用紙によって利用条件や料金が変わります。

同じ原稿でも、この4つの条件が変われば1冊あたりのコストは変わります。

価格を検討する前に、自分の本がどの条件に当てはまるかを確定させておきましょう。

標準判と大判は幅155.5mm・高さ228.6mmで分かれる

KDPでは、幅155.5mm超、または高さ228.6mm超のペーパーバックを大判として扱います。

日本でよく使われる判型を、この基準に当てはめると次のようになります。

判型 サイズ 区分
B6 12.8×18.2cm 標準判
四六判 12.7×18.8cm 標準判
A5 14.8×21.0cm 標準判
B5 18.2×25.7cm 大判
A4 21.0×29.7cm 大判

判型の名称は印刷サービスによって実寸が異なる場合もあるため、KDPに表示される実際の幅と高さを基準に判断してください。

利用できる判型やサイズの一覧は、Amazon KDP公式の印刷オプションでも確認できます。

Amazon.co.jpの印刷コストの計算方法

Amazon.co.jpで黒インクを選ぶ場合、印刷コストの計算方法はページ数によって2通りに分かれます。

ページ数 標準判 大判
24〜110ページ 422円 530円
110ページを超える場合 206円+1ページあたり2円 206円+1ページあたり3円

カラーインクを選んだ場合や用紙を変更した場合は、これとは別の条件が適用されます。

110ページまでは判型ごとの定額で計算する

24〜110ページの範囲では、標準判が422円、大判が530円です。

この範囲ではページ数が増減しても金額は変わりません。

そのため、100ページの本を80ページへ減らしても、印刷コストは下がりません。

薄い本で印刷コストを抑えたい場合は、ページ数よりも判型とインクの選択が効いてきます。

110ページを超えると基本料金にページ単価が加算される

110ページを超える本では、基本料金206円に1ページあたりの単価を加えて計算します。

たとえば120ページ・黒インク・標準判なら、次のとおりです。

206円+120ページ×2円=446円

同じ条件で200ページなら、206円+200ページ×2円で606円になります。

この範囲では1ページ増えるごとにコストが積み上がるため、ページ数の調整がそのまま受取額へ反映されます。

同じページ数でも大判は印刷コストが高くなる

大判は基本料金に加算されるページ単価も高く、ページ数が多いほど標準判との差が広がります。

200ページ・黒インクで比べると、標準判は606円、大判は206円+200ページ×3円で806円です。

同じ原稿でも、判型が変わるだけで1冊あたり200円の差が生まれます。

紙面を広く使いたいという理由だけで大判を選ぶ前に、印刷コストへの影響も比較しておきましょう。

判型やインクによって作成できるページ数の範囲が変わる

ページ数を増やす場合は、印刷コストと合わせて対応できるページ数の範囲も確認します。

日本向けの多くの判型では、黒インク・白紙の場合に24〜828ページが設定されています。

一方、21.0×25.7cmや21.0×29.7cmでは、同じ条件でも最大780ページです。

用紙やインクを変更すると条件も変わるため、実際に使う印刷仕様とセットで上限を確認してください。

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販売価格から1冊あたりのロイヤリティをシミュレーションする

印刷コストが分かったら、販売価格から1冊あたりのロイヤリティを計算します。

ここで使う希望小売価格は、KDPで設定する税抜価格です。

同じ印刷コストでも、価格と適用されるロイヤリティ率によって受取額は大きく変わります。

本の条件 税抜価格 ロイヤリティ率 印刷コスト 1冊あたりロイヤリティ
120ページ・黒インク・標準判 999円 50% 446円 約53.5円
120ページ・黒インク・標準判 1,000円 60% 446円 154円
120ページ・黒インク・標準判 1,500円 60% 446円 454円
200ページ・黒インク・標準判 1,500円 60% 606円 294円
200ページ・黒インク・大判 1,500円 60% 806円 94円

Amazon.co.jpは999円以下50%、1,000円以上60%で計算する

Amazon.co.jpでは、希望小売価格によってペーパーバックのロイヤリティ率が変わります。

税抜999円以下は50%、1,000円以上は60%です。

そのため、「販売価格の60%から印刷コストを引けばよい」と一律には考えられません。

まず自分が設定する価格帯を確認し、どちらの率が適用されるかを判断します。

ロイヤリティ率そのものの仕組みは、KDPペーパーバックの印税はいくら?50%・60%と印刷費の仕組みを徹底解説で詳しく確認できます。

120ページを1,500円で販売するとロイヤリティは454円

120ページ・黒インク・標準判の印刷コストは446円でした。

税抜1,500円で販売する場合は、60%のロイヤリティ率を使います。

1,500円×60%-446円=454円

販売価格の60%にあたる900円がそのまま受取額になるのではなく、そこから印刷コストを差し引いた金額が残ります。

200ページでは標準判と大判で受取額に200円の差が出る

200ページ・黒インクを税抜1,500円で販売した場合、標準判のロイヤリティは294円です。

大判では印刷コストが806円になるため、受取額は94円まで下がります。

価格とページ数が同じでも、判型の違いだけで1冊あたり200円の差が出ます。

利益を試算するときは、採用する判型まで決めたうえで計算してください。

999円と1,000円では1円の価格差で受取額が約100円変わる

999円と1,000円の間には、ロイヤリティ率の境界があります。

120ページ・黒インク・標準判で印刷コストが446円の場合、999円では50%が適用されます。

999円×50%-446円なので、ロイヤリティは約53.5円です。

1,000円なら60%が適用され、1,000円×60%-446円=154円になります。

価格差は1円でも、この条件では1冊あたり約100.5円の差です。

価格を決めるときは、金額そのものと適用される率の両方を確認しましょう。

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印刷コストと必要な受取額から販売価格を決める

ペーパーバックの価格は、印刷コスト→最低希望小売価格→必要な受取額の順に確認すると決めやすくなります。

価格だけを上げたりページ数だけを削ったりせず、本に必要な仕様との釣り合いを見ながら調整します。

最低希望小売価格は印刷コスト÷適用ロイヤリティ率で決まる

KDPでは、印刷コストを下回る価格を自由に設定できるわけではありません。

最低希望小売価格は、「印刷コスト÷適用されるロイヤリティ率」を基準に決まります。

まず完成予定の本の印刷コストを確定させることが、価格設定の出発点になります。

そのうえで、設定したい価格帯のロイヤリティ率と、必要な受取額を照らし合わせます。

コストを下げたいときはページ数だけでなく判型とインクも見直す

印刷コストを抑えたい場合、ページ数だけに注目するのは適切ではありません。

判型が標準判か大判か、黒インクかカラーかによっても1冊あたりの金額は変わります。

ただし、コストを下げるためだけに、本に必要な仕様まで削る必要はありません

読みやすさと内容に必要な仕様を先に決め、その条件で成立する販売価格を考えます。

KDPロイヤリティと最終的に残る利益は分けて考える

ここまで計算しているのは、印刷コストを差し引いたKDPロイヤリティです。

これは、出版活動全体で最終的に残る利益と同じ意味ではありません。

広告費や外注費、校正費、税金などが発生する場合は、別に見積もる必要があります。

「1冊あたりのKDPロイヤリティ」と「最終的に残る利益」は分けて管理すると、収益を把握しやすくなります。

最終的な金額はKDPの価格設定画面と計算ツールで確認する

料金表と計算式を使えば、出版前でもおおよその金額を試算できます。

ただし、計算ツールに表示される数字は推定値です。

実際に出版する本では、KDPの価格設定画面に表示される印刷コストとロイヤリティも確認してください。

KDP公式のロイヤリティ計算ツールでも、条件を入力して概算を確認できます。

特に110ページ前後のように料金の区切りに当たるページ数では、設定画面の表示金額で最終判断しましょう。

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【著者:石黒秀樹】

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