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のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。

Kindle出版では、企業名や商品名などのブランド名をタイトルへ入れたくなる場面があります。

結論として、第三者の登録商標を許可なくタイトルやサブタイトルへ使うことは、KDPの禁止事項に含まれます。

一方、日本の商標法では、書籍の題号として使われた場合に商標権が及ばないと判断された例もあります。

この2つは別の話です。商標名を使えるかどうかは、商標法上どう扱われるかと、KDPで認められるかを分けて判断します。

KDPが禁止している内容、法律との違い、出版前に踏む4段階の確認手順、出版後の変更制限までを順に整理します。

▶ 規約・禁止事項・トラブル対応など安全に出版を進めたい方はこちらからチェックできます:
規約・審査ガイドライン の記事一覧

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第三者の登録商標は無許可でタイトル・サブタイトルに使えない

KDPは、本のタイトル欄に入力できる内容についてガイドラインを設けています。

その禁止例の一つが、商標登録された名称を許可なく使用することです。

「そのブランドについて書いた本だから」という理由だけでは、使用してよい根拠になりません。

タイトル欄の内容は表紙とも一致させる必要がある

KDPでは、表紙に表示するタイトルと、KDPへ登録するタイトル欄の内容を一致させることが求められます。

そのため、表紙にはブランド名を載せたまま、KDPのタイトル欄からだけ外すという回避方法は取れません。

ブランド名を含めるかどうかは、表紙のデザインを確定させる前に判断しておくと手戻りが減ります。

タイトル欄に関する現在の条件は、KDP公式の本のタイトルと版に関する案内で確認できます。

サブタイトルへ移しても同じルールが適用される

タイトルで使えないなら、ブランド名をサブタイトルへ移せばよいと考えるかもしれません。

しかし、KDPではサブタイトルにもタイトルと同じガイドラインが適用されます。

登録商標の無許可使用について、タイトルとサブタイトルを別ルールとして扱うことはできません。

タイトルからブランド名を外し、サブタイトルにだけ残す形でも、必要な確認は同じです。

サブタイトルそのものの役割や付け方は、Kindle出版のサブタイトルの付け方と注意点で詳しく確認できます。

表紙・商品説明も同じ基準で見直す

権利の確認は、タイトル欄だけで終わりません。

KDPのコンテンツガイドラインは、表紙画像や商品説明を含む本のコンテンツ全体に関係します。

KDPは、著作権だけでなく、商標やブランドなど第三者の権利を侵害していないことを出版者側で確認するよう求めています。

タイトルから登録商標を外しても、表紙のロゴや商品説明の書き方に問題が残っていれば、確認は完了していません。

特に避けたいのが、実際には関与していない企業が本の制作へ関わったように見える表現です。

権利に関する現在の考え方は、KDP公式のコンテンツガイドラインで確認できます。

商標法上の判断とKDPの掲載判断は分けて確認する

ブランド名を扱うときに間違えやすいのが、法律とKDPのルールを一つにまとめて考えてしまうことです。

商標権が及ばない場合があることと、KDPで使用を認められることは同じではありません。

書籍の内容を示す題号なら商標権が及ばない場合がある

登録商標と同じ言葉を使えば、すべて商標権侵害になるわけではありません。

特許庁は、書籍の題号について単に書籍の内容を示し、商品の出所を表示する働きをしていない場合には、商標権が及ばないことがあると案内しています。

特許庁が紹介している例の一つが「POS事件」です。

この事例では、「POS」という表示が書籍の内容を示す題号として使われ、出所表示として機能していないことから、商標権侵害ではないと判断されました。

ただし、ブランド名を含む書籍タイトルがすべて同じ扱いになるわけではありません。

実際の判断は、名称の使われ方や商標との関係などによって変わります。

書籍タイトルと商標権の考え方は、特許庁の商標制度に関するよくある質問でも確認できます。

侵害にならない可能性があってもKDPで使えるとは限らない

商標法上、書籍の題号として商標権が及ばない可能性があっても、そこからKDPへ登録できると結論づけることはできません。

KDPは独自に、商標登録された名称を無許可でタイトルへ使用することを禁止しているためです。

確認は、次の2段階に分けて考えます。

  1. 商標法など権利上の問題がないか確認する
  2. KDPのタイトル・メタデータ規則を満たしているか確認する

一つ目だけを見て「法律上は問題なさそうだから大丈夫」と判断しないでください。

反対に、登録商標を含むタイトルだからといって、個別の事情を確認しないまま法律上も必ず侵害になると決めつけることもできません。

完全一致の登録商標が見つからなくても安全とは限らない

J-PlatPatで完全一致する登録商標が出てこなかった場合も、自由に使えると考えるのは避けましょう。

KDPのコンテンツガイドラインは、タイトル欄の登録商標に限らず、商標・ブランドなど第三者の権利全般について確認を求めています。

また、商標の判断は、同じ文字列が登録されているかどうかだけを見るものではありません。

特許庁は、商標の類似について、外観・呼び方・意味や、商品・役務との関係などから判断する考え方を示しています。

検索結果に完全一致がないことだけを根拠に、問題なしと断定しないようにしてください。

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ブランド名をタイトルに入れたいときの4段階チェック

ブランド名をタイトル候補に入れる場合は、思いついた案をそのままKDPへ登録せず、順番に確認します。

登録状況→使用許諾→誤認の有無→KDP基準の順で見ると、確認漏れを減らせます。

順番 確認する内容
1 J-PlatPatなどで登録商標の状況を確認する
2 第三者の商標なら使用許諾の有無を確認する
3 公式・公認・監修などと誤認させないか確認する
4 タイトル・サブタイトル・表紙をKDP基準で確認する

1.J-PlatPatで同一・類似する登録商標を確認する

最初に、使いたいブランド名が商標として登録・出願されているかを調べます。

特許庁・INPITが提供するJ-PlatPatでは、出願・登録されている商標を検索できます。

調べるときは、完全に同じ名称だけを見て終わりにしないようにしてください。

似た名称や、指定されている商品・役務も判断に関係するためです。

ただし、検索結果だけで個別の商標権侵害の有無が確定するわけではありません。

出版前の入口として、登録状況を把握するための手段と位置づけましょう。

2.第三者の商標なら使用許諾の有無を確認する

第三者が権利を持つ登録商標だった場合は、使用を認められているかどうかを確認します。

KDPがタイトル欄で禁止しているのは、商標登録された名称の「無許可」での使用だからです。

一方で、許諾を証明する際にどの形式の書類が必要になるかは、公開されているヘルプで一律に示されているわけではありません。

「メールがあれば必ず認められる」「この書類なら必ず通る」とは断定できない点に注意してください。

タイトルに入れる必要性が高くないブランド名で、許諾も確認できないなら、外す方が安全側の判断になります。

3.公式・公認・監修と誤認させる表現になっていないか確認する

名称を使えるかどうかだけでなく、そのタイトルを見た読者がどう受け取るかも確認します。

KDPでは、実際には関与していない個人や企業が本の制作へ関わったように示唆するメタデータも禁止例に挙げられています。

権利者が制作・監修・公認していないのであれば、そう受け取られるタイトルや説明文は使わないでください。

ブランド名そのものだけでなく、タイトル全体から読者が想像する関係性まで見直します。

実際の権利関係と、タイトルから受ける印象を一致させることが判断の軸になります。

4.タイトル・サブタイトル・表紙をKDP基準で最終確認する

最後に、本全体をKDPの基準で見直します。

タイトル欄だけでなく、サブタイトル・表紙・商品説明まで含めて権利上の問題がないか確認してください。

  • 登録商標を無許可でタイトルやサブタイトルに使っていないか
  • 表紙や商品説明にも権利上の問題がないか
  • 企業やブランドから公認されたような誤認を招かないか
  • 表紙のタイトルとKDPへ登録するタイトルが一致しているか

4段階を確認したうえで、許諾を確認できない第三者の登録商標はタイトルから外す方向で検討します。

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判断を誤りやすい2つの考え方

商標名の扱いでは、一見もっともらしい理由づけで使用を正当化してしまう場面があります。

次の2つは、KDPの基準を満たしている根拠にはなりません。

「そのブランドの解説書だから使える」とは考えない

ブランドを解説する内容だからといって、登録商標の使用が自動的に認められるわけではありません。

書籍の題号として商標権が及ばない場合があることと、KDPのタイトルルールを満たすことは別だからです。

また、許諾が必要になる範囲や、KDPが個別に確認する内容は、公開情報だけで一律には決められません。

許諾を確認できないまま「たぶん問題ない」と判断して出版しないようにしましょう。

「非公式と付ければ使える」とは考えない

ブランド名の前後に「非公式」と加えれば問題ないと考える場合があります。

しかし、「非公式」という表記が、無許可での登録商標の使用を認める根拠になるわけではありません。

非公式と明示することで企業との関係についての誤解を減らせる場合はあります。ただし、それと使用許諾の有無は別の問題です。

登録状況と許諾を確認したうえで、KDPのメタデータルールに照らして判断してください。

出版後はタイトルを自由に変更できない

商標名を含むタイトルで出版したあとに問題へ気づいても、名称だけを書き換えられるとは限りません。

特にKindle電子書籍と紙書籍では、出版後のタイトル変更の扱いが異なります。

電子書籍のタイトル・サブタイトルは出版後にロックされる

Kindle電子書籍のタイトルとサブタイトルは、出版後にロックされます。

出版後に商標の問題へ気づいても、通常の編集画面からタイトルやサブタイトルを直すことはできません。

「問題があれば後から名称だけ直せばよい」という前提で商標名を使わないでください。

大きな変更が必要になる場合は、新版として扱う必要が生じます。

紙書籍の限定的な例外を電子書籍と同じに考えない

紙書籍については、電子書籍とまったく同じ変更ルールではありません。

紙書籍には、最初の出版日から72時間以内という限定的な例外があります。

ただし、紙書籍ならいつでもタイトルを変更できるという意味ではなく、大きな変更には新版が必要になる場合があります。

電子書籍の変更不可、紙書籍の限定的な例外、新版が必要になる変更は、それぞれ別のものとして整理しておきましょう。

許諾を確認できない商標名はタイトルから外すのが安全

Kindle出版で第三者のブランド名をタイトルへ使う場合は、法律だけで判断せず、KDPのルールまで確認します。

商標法上、書籍の題号として商標権が及ばない場合があっても、それだけでKDPに掲載できるとは限りません。

登録商標の状況、使用許諾、企業との関係を誤認させないか、KDPのメタデータルールという順番で確認してください。

そのうえで、許諾を確認できない第三者の登録商標は、タイトルからもサブタイトルからも外すのが安全側の判断です。

商標の問題を整理したあとにタイトルそのものを設計する場合は、Kindle出版で売れるタイトルの作り方で詳しく確認できます。

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【著者:石黒秀樹】

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