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まず最初に、KDPのペーパーバックで多い悩みが「ページ端に白いフチが出る」「Print Previewerで裁ち落としの警告が出る」というものです。

私も最初の入稿では、この警告がなかなか消えず、何度もPDFを作り直した経験があります。

裁ち落としは難しい専門作業ではありません。

印刷後に紙を裁断するときのズレに備えて、背景や画像を仕上がり位置より外側まで伸ばしておく設定です。

この記事では、KDP(Kindle出版)の裁ち落としとは何か、本文と表紙で何mm必要なのか、白フチや警告が出る原因、PDFの正しいサイズまで初心者向けに解説します。

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KDPの裁ち落としとは?

裁ち落とし(bleed)とは、写真・背景色・イラストなどを、完成した本の仕上がり線より外側まで広げておくことです。

紙の本は印刷したあとに断裁されます。

このとき、仕上がり位置にわずかなズレが生じる可能性があります。

画像を仕上がり線ぴったりまでしか配置していないと、そのズレによって紙の白地が見えることがあります。

その白フチを防ぐために、断裁される部分まであらかじめ画像や背景を伸ばしておくのが裁ち落としです。

KDPでは3.2mmの裁ち落としを使う

KDPのペーパーバック本文では、裁ち落としを使う場合、仕上がり線から上・下・外側へ3.2mm延ばします。

ノド側には裁ち落としを追加しません。

そのため、本文PDFのページサイズは、

  • 高さ:仕上がりサイズ+6.4mm
  • 幅:仕上がりサイズ+3.2mm

となります。

たとえば仕上がりサイズが幅148mm×高さ210mmなら、裁ち落としありの本文PDFは、幅151.2mm×高さ216.4mmという考え方です。

裁ち落としが必要なのはペーパーバックなどの紙版

裁ち落としは、紙を実際に断裁するために必要な印刷上の仕組みです。

そのため、一般的なKindle電子書籍のリフロー本文では裁ち落としを設定しません。

この記事で説明する裁ち落としは、主にKDPのペーパーバック・ハードカバーで使う設定です。

電子書籍には印刷用の裁ち落としはない

リフロー型のKindle電子書籍は、端末に合わせて文字や画像が表示されます。

紙を断裁する工程がないため、ペーパーバックのような3.2mmの裁ち落としを付ける必要はありません。

漫画や絵本などの固定レイアウト電子書籍には画面いっぱいに表示する設計がありますが、それは印刷用の裁ち落としとは別の考え方です。

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KDPの本文で裁ち落としが必要になるケース

ペーパーバック本文でも、すべての本に裁ち落としが必要なわけではありません。

写真や背景などをページ端まで印刷したい場合に使用します。

たとえば、

  • ページ全面の写真
  • 端まで広がるイラスト
  • ページ全面の背景色
  • 塗り足しを必要とするデザイン

などです。

文字中心の本なら裁ち落としなしでもよい

小説やビジネス書など、白いページの内側に文字だけを配置する本では、通常は裁ち落としなしで問題ありません。

ページ端まで印刷する要素がなければ、仕上がりサイズそのままのPDFを使用できます。

1ページでも必要なら本文全体を「裁ち落としあり」にする

ここは重要です。

KDPでは、本文の中に1ページでも裁ち落としが必要なページがある場合、本文ファイル全体を裁ち落としありとして設定します。

「写真ページだけ裁ち落としあり、文字ページは裁ち落としなし」という設定をページ単位で切り替えるわけではありません。

たとえば100ページの本で、1ページだけ背景写真を端まで印刷したい場合でも、PDF全体を裁ち落とし用のページサイズで作成します。

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本文PDFは高さ+6.4mm・幅+3.2mmにする

KDPの本文裁ち落としで特に間違えやすいのが、PDF自体のページサイズです。

画像だけを仕上がり線の外へ伸ばしても、PDFのページサイズが仕上がりサイズのままでは正しい裁ち落としになりません。

裁ち落としありの場合は、PDFページそのものを高さ+6.4mm、幅+3.2mmで作ります。

なぜ幅は+6.4mmではない?

本文ページでは、裁ち落としを付けるのは上・下・外側です。

本の中央にあたるノド側には追加しません。

そのため、

  • 上:+3.2mm
  • 下:+3.2mm
  • 外側:+3.2mm
  • ノド側:追加なし

となり、合計で高さ+6.4mm、幅+3.2mmになります。

画像や背景も仕上がり線の外まで伸ばす

PDFサイズを広げただけでも不十分です。

ページ端まで印刷したい画像や背景そのものも、仕上がり線より3.2mm外側まで伸ばす必要があります。

つまり、裁ち落としでは、

  1. PDFページを裁ち落とし用サイズにする
  2. 画像や背景を裁ち落とし領域まで伸ばす

の両方が必要です。

「画像だけ広げる」「PDFだけ広げる」のどちらか一方では不十分と覚えておきましょう。

表紙は必ず裁ち落としが必要

KDPでは、ペーパーバックの表紙はすべて裁ち落としを含めて作成します。

表紙は、裏表紙・背表紙・表表紙を1枚につないだPDFとして入稿します。

背景や画像は、最終的な断裁位置より外周へ3.2mm伸ばします。

表紙サイズは自分で計算するよりテンプレートが安全

表紙の横幅は、

  • 裏表紙
  • 背幅
  • 表表紙
  • 左右の裁ち落とし

を合わせて計算する必要があります。

背幅はページ数・用紙・印刷方式によって変わるため、KDPのカバーテンプレートや表紙計算ツールを利用するのが安全です。

表紙サイズについては、『Kindle出版の表紙サイズとは?初心者でも失敗しない最適設定を徹底解説』も参考にしてください。

裁ち落としと安全域(マージン)は別物

裁ち落としと混同しやすいのが、マージン・安全域です。

役割は逆です。

  • 裁ち落とし:背景などを仕上がり線より外へ伸ばす
  • 安全域・マージン:文字や重要要素を仕上がり線より内側へ置く

裁ち落としを正しく設定しても、文字を端ギリギリへ配置すると、断裁時に切れたり読みにくくなったりする可能性があります。

裁ち落としありの外側マージンは9.6mm以上

KDPでは、裁ち落としありの本文について、外側マージンを少なくとも9.6mm確保するよう案内しています。

一方、ノド側の必要マージンはページ数によって変わります。

ページ数 ノド側の最低マージン
24~150ページ 9.6mm
151~300ページ 12.7mm
301~500ページ 15.9mm
501~700ページ 19.1mm
701~828ページ 22.3mm

ページ数が増えるほど、本を開いたときに中央部分が見えにくくなるため、ノド側の余白も広くなります。

表紙の文字は裁ち落とし部分へ置かない

表紙では背景や写真を外まで伸ばしますが、タイトル・著者名・ロゴなど重要な情報まで端へ寄せてはいけません。

KDPでは、切れてはいけない表紙要素について、表紙ファイルの外側から少なくとも6.4mm内側へ配置するよう案内しています。

また、細い枠線を表紙端へ配置すると、断裁誤差によって左右の太さが違って見えることがあります。

KDPも表紙の枠線については注意を促しているため、端ギリギリの細いボーダーは避ける方が安全です。

Wordで裁ち落としを設定する方法

Wordでペーパーバック本文を作る場合も、裁ち落としありのページサイズを設定できます。

基本は、選択した仕上がりサイズに、

  • 幅+3.2mm
  • 高さ+6.4mm

を追加します。

そのうえで、背景や画像をページ端まで伸ばし、PDFとして保存します。

ページ数が変わったらマージンも再確認する

ページサイズを変更すると文章の流れが変わり、ページ数も変わることがあります。

ノド側マージンはページ数によって必要値が違うため、最終ページ数が確定したあとにもう一度確認してください。

Canvaで裁ち落としを作るときの注意

Canvaなどのデザインツールを利用する場合も、最終的にKDPが求めるPDFサイズになっていることが重要です。

画面上で画像が端まで伸びているように見えても、PDFを書き出したときの実寸が仕上がりサイズのままなら、KDP上では裁ち落とし不足になります。

必ず最終PDFの幅・高さを確認してください。

表紙については、KDPが提供するカバーテンプレートを下敷きにして作る方法が安全です。

Print Previewerで裁ち落としを確認する

ペーパーバックの原稿と表紙をアップロードしたら、KDPのPrint Previewerで確認します。

主に確認したいのは次のポイントです。

  • 裁ち落とし不足のエラーが出ていないか
  • 背景・写真が裁断線の外まで伸びているか
  • 文字や重要要素が安全域内に入っているか
  • 表紙サイズが正しいか
  • 背表紙の位置がずれていないか

Print Previewerで出版を妨げるエラーが表示された場合は、そのまま進めず、元ファイルを修正して再アップロードします。

「裁ち落とし不足」と表示される主な原因

PDFページのサイズが仕上がりサイズのまま

よくある原因です。

裁ち落としありを選んでいるのに、本文PDFが仕上がりサイズのままだと、必要な3.2mmが確保されません。

背景や画像が裁ち落とし領域まで届いていない

PDFサイズは正しくても、画像が仕上がり線で止まっていると白フチが出る可能性があります。

KDPで「裁ち落としあり」を選んでいない

裁ち落とし対応の本文PDFを作った場合は、KDPのペーパーバック設定でも「Bleed(裁ち落としあり)」を選択します。

ファイルとKDP側の設定を一致させてください。

文字やロゴが安全域を越えている

これは裁ち落とし不足とは別ですが、Print Previewerでマージン関連のエラー・警告が出る原因になります。

背景は外へ、文字など重要な情報は内側へ配置するのが基本です。

本文の一部だけ背景を端まで出したい場合

たとえば、通常は文字中心の本でも、章扉だけ全面写真にしたい場合があります。

この場合、全面写真のページだけ3.2mm追加したPDFページを混在させるわけではありません。

1ページでも裁ち落としが必要なら、本文PDF全体を裁ち落としありのページサイズに統一します。

文字中心のページについては、背景を白のままにして通常どおり安全域内へ文章を配置すれば問題ありません。

見開き写真ではノド側にも注意する

見開き写真やイラストを使う場合は、外側の裁ち落としだけでなく、本の中央にあたるノド部分も意識してください。

ペーパーバックは製本されるため、中央付近は完全に平らには開きません。

そのため、人物の顔・文字・重要な図柄などを見開き中央へ配置すると、読みにくくなる場合があります。

背景や連続した模様なら中央をまたいでも問題ありませんが、重要要素はノドから離しておくのが安全です。

細い枠線をページ端に置くのは避ける

ページの周囲に細い線を配置すると、裁断位置のわずかなズレによって線の太さが左右で違って見える場合があります。

これは裁ち落としを正しく設定していても起こり得ます。

ページ端ギリギリに均等な細い枠を置くデザインは、印刷物ではズレが目立ちやすいため注意してください。

漫画・写真集・塗り絵では裁ち落としを確認する

裁ち落としが特に重要になりやすいのは、ビジュアル主体の本です。

たとえば、

  • 漫画
  • 写真集
  • 絵本
  • イラスト集
  • 塗り絵

などです。

ページ端まで背景やイラストを印刷するデザインでは、制作開始時点で「裁ち落としあり」として設計しておくと、あとから全ページを修正する手間を減らせます。

KDPの裁ち落としでよくある質問

裁ち落としは何mm必要ですか?

本文は、上・下・外側へそれぞれ3.2mmです。

そのため本文PDFは、高さ+6.4mm、幅+3.2mmになります。

左右両方に3.2mm足しますか?

本文では足しません。

外側だけに3.2mm追加するため、幅は合計+3.2mmです。

表紙にも裁ち落としは必要ですか?

はい。

KDPのペーパーバック表紙には裁ち落としが必要です。

表紙背景は、上・下・左右の外周で仕上がり線より3.2mm外まで伸ばします。

本文に1ページだけ写真がある場合は?

その写真がページ端まで届かなければ裁ち落としなしでも構いません。

ページ端まで印刷したい場合は、本文全体を裁ち落としありとして作成します。

Kindle電子書籍にも3.2mm必要ですか?

いいえ。

これは紙版の印刷・断裁用の設定です。

裁ち落としありの本文はWordでも作れますか?

作れます。

仕上がりサイズへ幅3.2mm・高さ6.4mmを追加したページサイズを設定し、最終的にPDFで保存します。

まとめ|KDPの裁ち落としは「外へ3.2mm」が基本

KDPの裁ち落としは、ペーパーバックなどを断裁した際に白フチが出るのを防ぐための設定です。

  • 本文の裁ち落としは上・下・外側に3.2mm
  • 本文PDFは高さ+6.4mm、幅+3.2mm
  • ノド側には裁ち落としを追加しない
  • 背景・写真そのものも裁ち落とし領域まで伸ばす
  • 1ページでも必要なら本文全体を裁ち落としありで作る
  • KDP側でも「裁ち落としあり」を選択する
  • 裁ち落としありの外側マージンは最低9.6mm
  • ノド側マージンはページ数によって変わる
  • ペーパーバック表紙には裁ち落としが必要
  • 電子書籍のリフロー本文には印刷用の裁ち落としは不要

背景は仕上がり線より外へ、文字や重要要素は仕上がり線より内側へ。

この2つを分けて考えれば、裁ち落としとマージンの設定はかなり分かりやすくなります。

最後は必ずPrint Previewerで確認し、エラーがない状態で出版手続きを進めましょう。

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【著者:石黒秀樹】

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