KDPのW-8BENとは?記入項目と提出方法を徹底解説
のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。
KDPの税務情報を設定するとき、「W-8BENを自分でダウンロードして記入し、米国へ郵送するのか」と迷うことがあります。
古い解説では、EINを取得して紙のW-8BENを郵送する手順が紹介されていることもあります。
現在のKDPでは、税務プロファイルの質問へ回答すると、その内容からW-8BENが作成され、確認して電子署名すれば提出が完了するのが基本の流れです。
この記事では、W-8BENの役割、氏名や住所、TINといった記入項目、電子署名と郵送それぞれの提出方法、提出後の確認までを順番に説明します。
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KDPのW-8BENは税務プロファイルへの回答から作成される
目次
KDPでW-8BENを提出する場合は、KDPアカウント内の税務情報から税務プロファイルを作成するところから始めます。
紙のW-8BENへ最初から手書きして、IRSへ直接送る手続きではありません。
税務プロファイルでは、本人区分、氏名、住所、TIN、租税条約などに関する質問へ順番に回答します。その回答内容をもとにW-8が作成され、内容を確認したうえで電子署名して送信する仕組みです。
| 順番 | 行うこと |
|---|---|
| 1 | KDPのアカウント画面を開く |
| 2 | 税務情報から税務プロファイルを作成する |
| 3 | 本人区分・氏名・住所・TINなどを回答する |
| 4 | 必要に応じて租税条約に関する質問へ回答する |
| 5 | 生成されたW-8BENの内容を確認する |
| 6 | 電子署名して送信する |
つまり、KDPの入力画面とW-8BENを別々の手続きだと考えないことが、全体を理解する近道になります。
税務プロファイルについてのKDP公式の案内は、KDPの税務プロファイルに関するヘルプでも確認できます。
W-8BENは非米国の個人が外国人であることを示す税務書類
W-8BENは、米国税務上の外国人である個人が、税務上の身分などを証明するための書類です。
必要に応じて、租税条約による米国源泉徴収税率の軽減や免除を申請する役割もあります。
IRSのW-8BENには、氏名、国籍、住所、TIN、租税条約に関する情報などを記載する欄が設けられています。KDPでは、これらの情報を税務プロファイルの質問へ回答する形で入力していきます。
なお、W-8BENは個人向けのフォームです。法人などの事業体ではW-8BEN-Eなど別のフォームになる場合があるため、日本在住なら全員がW-8BENになるとは限りません。
米国市民や米国税務上の居住者も扱いが異なります。税務プロファイルでは、実際の状況に沿って回答してください。
現在の様式そのものは、IRS公式のForm W-8BENで確認できます。
「EIN取得→紙のW-8BENを郵送」は現在の標準手順ではない
KDPのW-8BENについて検索すると、EINを取得して紙の書類へ記入し、米国へ郵送する方法が見つかることがあります。
ただし、その手順を現在のKDPにおける標準的な提出方法として使わないようにしましょう。
いまはKDPの税務プロファイルで情報を入力し、作成されたW-8を確認して電子的に提出できます。米国TINを持っていない場合も、それだけを理由にEIN取得から始めるわけではありません。KDPでは、米国TINのほか、居住国の税務機関から発行された外国TINを利用できると案内しています。
また、W-8BENはIRSへ直接提出する書類ではありません。源泉徴収義務者や支払者へ提供する書類であり、KDPではAmazonへ税務情報を提出する形になります。
一方で、紙による提出方法が完全になくなったわけでもありません。電子署名を利用しない場合には、生成されたW-8を印刷して署名し、Amazonへ郵送する方法が用意されています。
そのため、「紙提出は間違い」ではなく、電子署名が基本で、紙提出は署名方法を選ばなかった場合の分岐と理解するのが正確です。
KDPの税務情報から税務プロファイルを作成する
W-8BENの作成を始めるときは、KDPへログインして「アカウント」から税務情報を開きます。
新しく設定する場合は税務プロファイルを作成し、すでに提出している場合は既存のプロフィールを確認して更新します。
ここでは、画面に表示される質問へ自分の税務上の状況に沿って回答することが前提になります。日本在住という理由だけで、すべての回答を機械的に決めるものではありません。
入力を進めると、回答内容に応じた税務フォームが作成されます。W-8BENが作成された場合は、その内容を確認してから署名と送信へ進みます。
税務インタビュー全体の入力順については、KDPの税務インタビューの入力手順で詳しく確認できます。
Part Iの記入項目は氏名・住所・TINなどの本人情報
W-8BENのPart Iは、税務上の本人を特定するための基本情報をまとめる部分です。
現行フォームには、氏名、国籍、恒久的住所、郵送先住所、TIN、生年月日などの欄があります。
KDPでは紙のフォームを見ながら一つずつ転記するのではなく、税務プロファイルへ回答した内容が反映されます。
間違えやすいのは、ペンネームと正式氏名の違い、そして米国TINと外国TINの区別です。
氏名はペンネームではなく税務上の正式氏名を使う
KDPで著者名にペンネームを使っていても、W-8BENの氏名までペンネームにするわけではありません。
税務情報では、納税申告などで使用する税務上の正式な氏名を入力します。
書籍の商品ページに表示する著者名と、Amazonへ提出する税務情報は役割が異なります。「本では別名を使っているから」という理由で、税務上の氏名を置き換えないでください。
KDPの税務インタビューでも、個人については納税申告上の情報を使用するよう案内されています。生成されたW-8BENを見直すときは、著者名ではなく税務上の本人情報として正しいかという視点で確認しましょう。
国籍・恒久的住所・生年月日は実態に沿って入力する
Part Iには、氏名のほかに国籍、恒久的住所、生年月日などの情報も含まれます。
これらも、現在の自分の実態に沿った情報を入力するのが基本です。
恒久的住所と郵送先住所が異なる場合は、それぞれを区別して扱う欄があります。税務上の居住地に関係する情報なので、単に荷物を受け取れる住所を選べばよいというものではありません。
税務上の扱いは個人の状況によって変わります。「日本に住んでいるから、この回答で必ずよい」と一律には決めず、税務プロファイルに表示される説明も読みながら回答してください。
外国TINは米国TINと区別して入力する
W-8BENでは、米国TINと外国TINを分けて扱います。
日本の納税者番号を、米国TINの欄へ入力するわけではありません。
KDPでは、米国TINを持っていない場合でも、居住国の税務機関から発行された外国TINを利用できると案内しています。TINがなくても税に関する質問票自体を完了できる場合もあります。
ただしKDPは、TINを提出するまで、適用可能な租税条約による法定30%の源泉徴収率の軽減を受けられないと案内しています。
この30%は、KDPが米国源泉徴収の対象として扱う支払いについての税率です。Kindle本のすべての売上へ一律に30%がかかるという意味ではありません。
日本の個人番号については、国税庁が公開する国際的なTIN資料で「Individual Number(My Number)」が日本の個人のTINとして示されています。
一方、KDP日本語ヘルプが「マイナンバー」という名称を指定して入力方法まで説明しているわけではありません。
そのため、外国TINの考え方と実際の入力欄については、現在のKDP画面と公式案内を照らし合わせながら進めてください。
TINとマイナンバーの扱いについては、Kindle出版のTIN入力とマイナンバー対応で詳しく確認できます。
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Part IIの記入項目は租税条約に関する申告
W-8BENのPart IIは、租税条約による源泉徴収税率の軽減や免除を申請するための部分です。
KDPでは税務プロファイル内の質問へ回答し、その内容がW-8BENへ反映されます。
日本と米国の間には租税条約がありますが、日本在住という事実だけで回答が決まるわけではありません。税務上の居住地や受益者としての状況など、実際の内容に沿った回答が必要です。
日本在住という理由だけで回答や税率を決めない
IRSの租税条約税率表では、日本の著作権ロイヤリティについて条約上の米国側税率が0%と示されています。
ただし、「日本に住んでいる=KDPで自動的に0%になる」という意味ではありません。
租税条約による軽減を受けるには、KDPの税務プロファイルで必要な情報を提出する必要があります。TINの提出状況などによっても、適用される源泉徴収率は変わり得ます。
そのため、ネット上の記入例をそのまま写すのではなく、画面に表示された質問を読んで回答してください。特に、他の利用者が0%になったという情報だけを理由に、自分も同じ回答を選ばないようにしましょう。
租税条約そのものの条件や米国源泉徴収との関係は、KDPの租税条約と米国源泉徴収の仕組みで詳しく確認できます。
適用される源泉徴収率はKDPの画面で確認する
租税条約に関する回答を終えたら、入力内容だけで税率を自己判断しないようにします。
最終的には、KDPの税務プロファイルに表示された源泉徴収率を確認してください。
条約上の税率が0%でも、それだけで自分の税務情報が正しく処理されたとは判断できません。入力したTINや租税条約に関する回答が、現在の状況と合っているかも合わせて見直します。
表示された内容に想定と違う点があれば、送信前に入力を修正するほうが確実です。条約上の税率と、KDP画面に表示される適用税率は分けて確認しましょう。
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提出方法は電子署名と印刷・郵送の2通り
税務プロファイルへの回答が終わると、入力内容をもとに税務フォームが作成されます。
W-8BENが生成された場合は、内容を確認してから電子署名して送信するのが基本です。
電子署名に同意しない場合のみ、印刷して署名した書類をAmazonへ郵送する分岐へ進みます。
送信前に生成されたW-8BENの内容を確認する
署名する前に、税務インタビューへ入力した内容がW-8BENへ正しく反映されているか確認します。
見直しておきたいのは、氏名、住所、TIN、租税条約に関する回答の4点です。
著者名として使っているペンネームではなく税務上の正式氏名になっているか、米国TINと外国TINを取り違えていないかも合わせて確認してください。
誤りがある場合は、そのまま署名せず、前の画面へ戻って修正します。W-8BENは表示された時点で完成ではなく、内容を確認して署名するところまでが提出手続きです。
電子署名に同意する場合はKDP上で送信して完了する
電子署名に同意すれば、オンライン上でW-8BENの提出を完了できます。
電子署名の画面では、表示される内容を確認し、必要な署名情報を入力して送信します。
電子署名を利用する場合、W-8BENを別途印刷して郵送する必要はありません。
古い解説に見られる「書類を印刷して米国へ送る」という手順と混同しないようにしましょう。
電子署名を利用しない場合は印刷・署名して郵送する
電子署名に同意しない場合は、紙による提出方法を選びます。
この場合は、作成されたW-8を印刷し、青または黒のペンで署名してAmazonへ郵送します。
紙で提出するときは、Amazonが書類を受領するまで一部の機能が承認されない場合があります。
電子提出と紙提出では完了までの条件が異なるため、自分が選んだ署名方法に沿って最後まで手続きを終えるようにしてください。
提出後はステータス・源泉徴収率・有効期限を確認する
W-8BENは送信したら終わりではなく、KDPの税務情報へ戻って処理状態を確認します。
確認する項目は、「完了」の表示、源泉徴収率、有効期限の3点です。
| 確認する項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ステータス | 税務情報が「完了」になっているか |
| 源泉徴収率 | KDPに表示された適用税率を確認する |
| 有効期限 | W-8BENの更新が必要になる時期を確認する |
税務情報が「完了」になっているか確認する
送信後は、KDPのアカウントにある税務情報を開き、ステータスを見ます。
「完了」と表示されていることが、手続きが処理された一つの目安になります。
提出日などの情報も合わせて見ておくと、いつ税務プロファイルを作成したのか把握しやすくなります。
紙による提出を選んだ場合は、Amazonによる受領と処理が必要です。オンライン提出と同じタイミングで完了するとは限りません。
表示された源泉徴収率を確認する
税務情報が完了したら、KDPに表示される源泉徴収率も確認します。
自分で想定していた税率ではなく、KDP上で実際に表示されている税率を見るようにしてください。
源泉徴収率は、提出した税務情報や租税条約の適用状況などに関係します。
どの支払いが米国源泉徴収の対象になるのかについては、Kindle出版の源泉徴収と日本在住著者の税金ルールで詳しく確認できます。
有効期限は原則として署名年から3年後の年末まで
W-8BENは、一度提出すれば無期限に有効になる書類ではありません。
原則として、署名した年から3年後の暦年末まで有効です。
たとえば2026年中に署名したW-8BENであれば、原則として2029年12月31日までが有効期間になります。
租税条約による軽減税率を受けている場合、期限が切れるとデフォルトの30%へ戻る可能性があります。期限が近づいたらKDPの税務情報を開き、必要な更新手続きを行いましょう。
住所や税務上の状況が変わった場合は期限前でも更新する
更新のタイミングは、有効期限だけで決まるわけではありません。
提出した内容に関係する状況が変わった場合は、期限前でも税務プロファイルを見直します。
たとえば住所や税務上の居住状況が変われば、以前に提出した内容が現在の実態と合わなくなる可能性があります。「まだ3年経っていないから変更しなくてよい」とは考えないでください。
W-8BENは、現在の税務上の状況をAmazonへ伝えるための書類です。提出して終わりにせず、登録情報に変化がないかも定期的に確認しておくと管理しやすくなります。
【著者:石黒秀樹】
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