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KDPの税務情報で「米国源泉徴収30%」という表示を見ると、Kindleの印税から一律30%が引かれると考えやすいところです。

しかし、KDPのすべての売上へ30%の米国税がかかるわけではありません。

日本と米国の間には租税条約があり、条件を満たして適切に申告すると、著作権ロイヤリティに対する米国側の源泉徴収税率は0%になり得ます。

判断で大切なのは、「日本人だから自動的に0%」と考えず、対象になる収益、租税条約の適用条件、KDPへの申告と表示税率を分けて確認することです。

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KDPの租税条約とは?米国源泉徴収30%を軽減できる仕組み

KDPに関係する租税条約とは、米国の国内ルールでは源泉徴収の対象となるロイヤリティについて、条約の条件を満たせば税率を軽減・免除できる仕組みです。

そのため、KDPの税金は「30%か0%か」という数字だけを見るのではなく、どの収益が対象になり、条約を適用できるのかを順番に確認していきます。

米国の基本ルールでは対象ロイヤリティに30%が適用される

KDPでは、米国人以外の出版者について、米国源泉となる対象ロイヤリティのデフォルト源泉徴収率を30%と案内しています。

ここで区別したいのが、KDPで発生したロイヤリティ全体と、米国源泉徴収の対象になるロイヤリティです。

Kindle本が売れて得たロイヤリティすべてから、一律30%が差し引かれるという意味ではありません。

KDP公式では、米国源泉徴収の対象となる支払いを、販売形態やマーケットプレイスごとに案内しています。電子書籍、紙書籍、KDP Selectからの支払いでは、対象の考え方が同じではありません。

「KDPの源泉徴収率が30%」という情報だけを見て、総ロイヤリティの30%が税金になると計算しないようにしましょう。対象範囲は、KDPの米国源泉徴収に関する案内でも確認できます。

日米租税条約では著作権ロイヤリティの米国側税率が0%になり得る

日本と米国の租税条約では、著作権などの使用料について特別な税率が定められています。

IRSが公開している租税条約税率表では、日本の著作権ロイヤリティに対する米国側の税率は0%と示されています。根拠として示されているのは、日米租税条約のArticle 12(1)です。

日本の財務省も、日米租税条約では著作権や特許権などの使用料について、源泉地国で免税となる仕組みを案内しています。

つまり、米国国内の源泉徴収ルールだけなら30%となる対象でも、租税条約の適用を受けられれば米国側の税率が0%になる場合があります。

現在の条約税率は、IRSの租税条約税率表で確認できます。

「日本人だから0%」ではなく条約の適用条件と申告が必要になる

注意したいのが、「日本人ならKDPの源泉徴収は0%」という理解です。

国籍だけで租税条約の適用が自動的に決まるわけではありません。

租税条約では、税務上の居住者であることや、ロイヤリティの受益者であることなど、条約上の条件が関係します。IRSも、税率表だけを見て適用資格を判断せず、条約の要件を確認するよう案内しています。

KDP上でも、日本に住んでいるというだけで税率が切り替わる仕組みではありません。税務情報を提出し、租税条約上の優遇措置を申請したうえで、実際に適用された源泉徴収率を確認します。

確認する内容 考え方
米国国内の基本税率 対象となる米国源泉ロイヤリティはデフォルト30%
日米租税条約 条件を満たす著作権使用料は米国側0%になり得る
適用条件 日本国籍だけでなく、税務上の居住地など実際の状況で判断する
KDPでの対応 税務情報とTINを提出し、条約上の優遇措置を申請する
最終確認 KDPに表示される実際の米国源泉徴収率を確認する

KDPで米国源泉徴収の対象になるロイヤリティを確認する

租税条約を理解するには、先にどのKDPロイヤリティが米国源泉徴収の対象なのかを切り分けます。販売された国や本の形式を無視して、すべての収益を同じように扱うことはできません。

Amazon.comの電子書籍ロイヤリティは米国源泉徴収の対象になる

KDP公式では、Amazon.comで販売された電子書籍について、米国源泉のロイヤリティとして源泉徴収の対象に挙げています。

租税条約による軽減措置を申請していない場合、こうした対象ロイヤリティにはデフォルト30%の税率が関係します。要件を満たして優遇措置が適用されれば、適用税率は変わります。

「米国で売れた電子書籍」と「KDP全体の電子書籍売上」を同じものとして計算しないようにしてください。

紙書籍とKDP Selectでは対象となるマーケットプレイスが異なる

紙書籍の対象範囲は、電子書籍と同じではありません。

KDP公式では、紙書籍についてAmazon.comだけでなく、Amazon.co.jp、Amazon.com.au、Amazon.caなどのロイヤリティも米国源泉徴収の対象として案内しています。

そのため、「Amazon.co.jpだから米国源泉徴収とは無関係」と一律に判断することもできません。

また、KDP Selectグローバル基金からの支払いも、KDP公式では米国源泉徴収の対象として案内されています。通常販売のロイヤリティだけを確認して、KDP Selectからの収益を見落とさないようにしましょう。

Amazon.co.jpの電子書籍売上まで一律30%と考えない

特に混同しやすいのが、Amazon.co.jpで発生した電子書籍のロイヤリティです。

KDP公式の米国源泉徴収対象の案内では、電子書籍についてAmazon.comを挙げています。一方、Amazon.co.jpは紙書籍側の対象マーケットプレイスとして記載されています。

つまり、Amazon.co.jpの電子書籍売上まで、米国源泉徴収30%の対象だと一括りにしないことが必要です。

「販売国」だけを見るのではなく、「電子書籍か紙書籍か」「KDP Select収益か」まで分けると整理しやすくなります。

源泉徴収全体の対象範囲については、Kindle出版の源泉徴収と日本在住著者の税金ルールで詳しく確認できます。

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KDPで租税条約の優遇税率を申請して確認する流れ

条約上0%となる可能性があっても、KDPへ必要な情報を提出しなければ税率は切り替わりません。税務情報を申告し、優遇措置を申請し、表示された税率を確認するという順番で進めます。

順番 行うこと
1 税務プロファイルで居住国などの情報を回答する
2 TINを提出して租税条約上の優遇措置を申請する
3 W-8BENで租税条約の適用情報を申告する
4 KDPに表示された米国源泉徴収率を確認する

税務プロファイルで税務上の居住国を回答する

最初に、KDPの税務プロファイルで自分の税務上の情報を回答します。

ここでは、国籍だけで回答を決めず、税務上の居住国など実際の状況に沿って入力することが前提になります。

「日本人だから租税条約を利用する」と機械的に判断するのではなく、自分が条約の適用条件を満たすかどうかを踏まえて回答してください。

入力欄ごとの具体的な進め方は、KDPの税務インタビューと日本在住者向けの入力手順で詳しく確認できます。

TINを提出して租税条約上の優遇措置を申請する

TINは、税務上の本人を識別するための納税者番号です。

KDP公式では、租税条約による源泉徴収税率の軽減を申請する米国以外の出版者はTINを提出する必要があると案内しています。

ここで押さえておきたいのが、「税務情報を入力できた」ことと「条約税率が適用された」ことは別だという点です。TINを提出したという事実だけで、誰でも0%になるわけでもありません。

なお、以前の解説では「日本在住者もITINを取得しなければ0%にできない」と説明されている場合があります。現在のKDP公式では、米国TINを持っていない場合に居住国の税務機関から発行された納税者番号を利用できると案内されており、租税条約国の居住者について米国ITINが必須とはされていません。

どの種類のTINを利用するのかについては、KDPの米国TIN・外国TINの違いで詳しく確認できます。

W-8BENで租税条約の適用情報を申告する

米国人ではない個人がKDPの税務情報を入力する場合、W-8BENが関係します。

W-8BENでは、米国人ではないことや税務上の情報、租税条約による優遇を申請するための情報を申告します。

条約上0%という税率を知っていても、KDP側へ必要な税務情報を申告しなければ適用は確認できません。

氏名・住所・TIN・租税条約に関する各項目の書き方は、KDPのW-8BENの記入項目と提出方法で詳しく確認できます。

租税条約、TIN、W-8BENは別々の話ではなく、条約税率をKDPへ申告する一連の流れとしてつながっています。

最後にKDPへ表示される米国源泉徴収率を確認する

税務情報を送信したら、入力完了で終わらせず、KDPに表示される米国源泉徴収率まで確認します。

KDP公式でも、租税条約による優遇を申請した場合は、表示された税率を確認するよう案内しています。

想定していた税率と表示内容が異なる場合は、すぐに不具合と判断せず、入力した税務情報や条約の適用条件を見直してください。

最終的な判断材料は、ネット上の一般的な税率ではなく、自分のKDP税務情報に表示された税率です。

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KDPの租税条約で間違えやすい3つの注意点

30%や0%という数字だけを見ると、条件を単純化して覚えてしまいがちです。次の3点は、現在のKDP公式情報と照らして確認しておきましょう。

マイナンバーの入力方法は現在のKDP画面の説明も確認する

日本のマイナンバーは、国際税務上TINとして整理されています。

一方で、現在のKDP公式ヘルプは、日本の「マイナンバー」を名指しして具体的な入力方法まで指定していません。

そのため、「日本在住ならこの欄へ必ずマイナンバーを入力する」と一律に断定はできません。実際に登録するときは、現在のKDP税務プロファイルに表示される説明も合わせて確認してください。

一度0%になってもW-8の有効期限切れには注意する

租税条約による優遇税率が適用されても、その状態が無期限に続くとは限りません。

KDP公式では、W-8には有効期限があり、期限切れ後に更新しなければデフォルト30%へ戻ると案内しています。

過去に0%を確認したことだけを理由に、その後も同じ税率が続いていると考えないようにしましょう。税務情報を更新した場合は、更新後の源泉徴収率まで改めて確認します。

古い情報を根拠にITIN取得から始めない

ITINの取得が必須だとする解説は、現在のKDPの案内と一致しない可能性があります。

米国TINがない場合に居住国発行の外国TINを利用できるのであれば、先にITINを取得しなければ手続きが進まないという前提にはなりません。

手続きを始める前に、現在のKDP税務プロファイルと公式案内を基準に確認してください。

KDPの租税条約は「対象収益・適用条件・表示税率」の3点で判断する

KDPの租税条約を確認するときは、30%と0%という数字だけで判断しないことが大切です。

対象収益・租税条約の適用条件・KDPに表示された税率の3点を順番にたどると整理しやすくなります。

確認項目 判断する内容
対象収益 そのロイヤリティが米国源泉徴収の対象として扱われるか
適用条件 租税条約の要件を満たし、必要な税務情報とTINを提出しているか
表示税率 KDPの税務情報に実際に何%と表示されているか

日米租税条約では、条件を満たす著作権ロイヤリティについて米国側の税率は0%になり得ます。

ただし、日本在住という理由だけで自動適用されるわけではないため、税務情報を正しく申告することが前提になります。

手続きの最後は、自分のKDP税務プロファイルに表示された源泉徴収率まで確認して完了と考えましょう。

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【著者:石黒秀樹】

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