KDPの印刷プレビューで警告が出る原因とは?種類別に対処法を解説
のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。
KDPの印刷プレビューアーで警告が表示されると、どこを直せばよいのか分かりにくく、修正の手が止まりがちです。
印刷プレビューの警告は原因がいくつかの種類に分かれており、種類ごとに確認する場所と直し方が違います。
特にマージンの警告は、単純に余白を広げれば解決するとは限りません。判型や裁ち落としの設定、見えないテキストボックス、フォント、画像など、別の原因から表示される場合があります。
そのため、警告された箇所を手当たり次第に直すのではなく、原因を順番に切り分ける進め方が近道です。
ここでは、警告が出たときの切り分け手順と、本文・表紙それぞれで起きやすい警告の原因と対処法を種類別に整理します。
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印刷プレビューの警告は原因の種類ごとに切り分けて対処する
目次
印刷プレビューアーは、アップロードした原稿を紙書籍の仕様に照らして自動でチェックし、問題が検出されると警告内容と該当ページを表示します。
最初に行うのは、警告の内容と該当ページを確認し、本文と表紙のどちらに原因があるかを分ける作業です。
そのうえで、判型や裁ち落としなど原稿全体に関わる設定から確認していくと、原因を絞り込みやすくなります。
| 警告の種類 | 主に確認する場所 |
|---|---|
| マージン関連 | 判型とページサイズ、裁ち落とし設定、余白、非表示の要素 |
| フォント関連 | フォントの埋め込み状態、フォント側の埋め込み制限 |
| 画像関連 | 画像の解像度、文字の判読性 |
| ページ構成関連 | 連続した白紙ページ、ページ番号、テンプレートの残り文字 |
| 表紙関連 | 表紙全体の寸法、セーフゾーン、透過オブジェクトやレイヤー |
| 登録情報関連 | タイトル、著者名、ISBNなどとKDP登録内容の一致 |
いきなり細かな文字や画像から調べるより、原稿全体に関わる設定から確認するほうが効率的です。
まず警告内容・該当ページ・本文か表紙かを確認する
警告が表示されたら、どのページに、どの種類の問題が指摘されているかを先に確認してください。
次に、その問題が本文ファイルにあるのか、表紙ファイルにあるのかを分けます。
- 本文なら、判型、裁ち落とし、マージン、フォント、画像などを確認します。
- 表紙なら、表紙全体のサイズ、セーフゾーン、透過オブジェクトなどを確認します。
複数ページに同じ警告が出ている場合は、個別ページではなく原稿全体の設定が原因になっている可能性を考えます。
反対に一部のページだけなら、そのページ固有の画像やテキストボックスを調べると原因を探しやすくなります。
本文側は判型・裁ち落としから確認して細部へ絞り込む
本文の警告では、最初にKDPで選択した判型と原稿のページサイズが一致しているかを確認します。
ページ端まで背景や画像を配置しているなら、続けて裁ち落としの設定を見ます。
そこに問題がなければ、文字や重要な画像の位置、見えない要素、フォントや画像の状態へと確認を細かくしていきます。
- KDPで選択した判型と本文のページサイズを確認します。
- 背景や画像がページ端まである場合は裁ち落としを確認します。
- 文字や重要な画像がマージン内にあるか確認します。
- 非表示スペースやテキストボックスなどを確認します。
- フォントの埋め込みと画像解像度を確認します。
この順番なら、原稿全体に影響する問題からページ単位の細かな問題へ、無駄なく絞り込めます。
見た目に問題がなくても警告をそのままにしない
プレビュー画面で問題が見当たらなくても、警告を無視して先へ進むのは避けてください。
KDPでは、画面で見えにくい要素がマージン外へはみ出していることも警告の原因になります。
たとえば、斜体文字の張り出した部分、非表示のスペース、空のテキストボックスなどです。
文字が安全な位置に見えても、ファイル内部の要素まで同じ位置に収まっているとは限りません。
また、Amazonが印刷プレビューアーの判定条件をすべて公開しているわけではありません。
「この状態なら必ずこの警告が出る」と固定的に決めつけず、表示された内容と元の原稿の両方を見比べて判断しましょう。
判型・裁ち落としが原因の警告と対処法
本文の警告では、判型・裁ち落とし・マージンを別々の問題として切り分けることが大切です。
背景や画像をページ端まで配置している場合、マージン警告に見えても裁ち落とし設定が原因になっているケースがあります。
ページサイズがKDPで設定した判型と合っているか確認する
まず、KDPで選択した判型と、アップロードした本文PDFのページサイズを見比べます。
裁ち落としなしの場合は、本文のページサイズを選択した判型に合わせるのが基本です。
判型を途中で変更したときは、KDP側だけを変更して原稿サイズが以前のままになっていないか確認してください。
裁ち落としありの場合はページサイズの考え方が異なるため、裁ち落とし設定とあわせて確認します。
なお、PDFが正常にアップロードできない場合や、ファイル処理の途中で止まる場合は、印刷プレビュー上の警告とは別の問題です。
PDFのサイズやフォント埋め込みを含む入稿時のトラブルは、KDPペーパーバックのPDF入稿エラーの原因と直し方で確認できます。
ページ端まで背景や画像がある場合は裁ち落としを設定する
ページの端まで背景色や画像を印刷したい場合は、裁ち落としの設定が必要です。
裁ち落としありの本文では、仕上がり判型より幅を3.2mm、高さを6.4mm大きくしたページサイズを使用します。
さらに、ページ端まで印刷する背景や画像は、仕上がり線から3.2mm外側まで伸ばします。
本文中の1ページだけに裁ち落としが必要な場合でも、本文ファイル全体を裁ち落としありとして設定します。
注意したいのは、背景やグラフィックがあるページでマージン警告が出たときです。
KDP公式では、このようなケースについてマージンを広げる前に裁ち落とし設定とページサイズを確認するよう案内しています。
つまり、マージン警告だからといって、文字の位置だけを動かせばよいとは限らないわけです。
裁ち落としの仕組みや本文・表紙それぞれの設定手順は、KDPの裁ち落としと本文・表紙の設定方法で詳しく確認できます。
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マージン・非表示要素が原因の警告と対処法
判型と裁ち落としに問題がなければ、文字や重要な画像の位置を確認します。
目に見える文字だけでなく、画面上では気づきにくい要素も警告の対象になります。
文字や重要な画像が最低マージン内に収まっているか確認する
KDPでは、製本や裁断で内容が読みにくくならないよう、本文に最低限必要なマージンが決められています。
上・下・外側の最低マージンは、裁ち落としなしなら6.4mm以上、裁ち落としありなら9.6mm以上です。
内側のマージンは本のページ数によって変わり、公式に示されている範囲は9.6〜22.3mmです。
上下左右をすべて同じ数値にすればよいとは限らず、本が厚くなるほど内側に必要な余白も変わります。
ページ数別の内側マージンやWordでの具体的な設定は、KDPペーパーバックのマージンととじしろ(ガター)の設定で確認できます。
非表示スペースや空のテキストボックスを確認する
文字がマージン内に見えるのに警告が消えない場合は、見えない要素を疑います。
非表示スペースや空のテキストボックスがマージン外へ出ていると、警告の対象になる場合があります。
斜体の文字も、通常の文字より一部が外側へ張り出すことがあります。
文字列の基準位置ではなく、文字そのものが安全範囲に収まっているかを見てください。
元ファイル上に不要なテキストボックスやアートボックスが残っていないかも確認します。
原因と思われる要素を修正したら、元ファイルからPDFを書き出し直して再確認しましょう。
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フォント・画像・ページ構成が原因の警告と対処法
判型・裁ち落とし・マージンに問題がなければ、フォントや画像、ページ構成へ確認を移します。
見た目だけでは分かりにくいフォントの埋め込み状態や、登録情報との不一致も確認の対象です。
フォントが完全に埋め込まれているか確認する
KDPへ提出する本文や表紙では、使用しているフォントを完全に埋め込む必要があります。
埋め込まれていない場合は、フォントを埋め込む設定にしたうえでPDFを書き出し直します。
ただし、書き出し時に「埋め込み」を指定すれば必ず解決するとは限りません。
使用しているフォント自体に、PDFへの埋め込みを制限する設定が含まれている場合もあります。
特定のフォントだけで問題が続くときは、そのフォントの利用条件や埋め込みの可否も調べてください。
画像が300DPI以上で判読できる状態か確認する
本文や表紙に使う画像は、KDPの現在の提出ガイドラインで300DPI以上が求められています。
解像度の低い画像を拡大して配置している場合は、元画像の解像度も確認しましょう。
一方で、必要以上に解像度を上げるとファイルサイズが大きくなり、処理が遅くなる可能性があります。
KDPでは、ファイルサイズを650MB未満に保つ観点から、600DPIを上限の目安として案内しています。
また、画像化された文字を含め、本文の文字が読める状態になっているかも確認対象です。
KDP公式では文字を7ポイント以上とし、他の要素で隠れたり背景と同化したりしないよう求めています。
白紙ページ・ページ番号・テンプレート文字を確認する
フォントや画像以外に、ページ構成そのものが警告につながることもあります。
まず、意図せず連続した白紙ページが入っていないか確認してください。
KDPでは、原稿の先頭または途中に5ページ以上、末尾に11ページ以上の連続した白紙ページを入れられません。
テンプレートから原稿を作った場合は、サンプル文字や削除し忘れた案内文が残っていないかも見直します。
ページ番号を付けているなら、途中で番号が飛んだり順番が入れ替わったりしていないか確認しましょう。
左から右へ読む本では左ページが偶数、右ページが奇数です。右から左へ読む本では反対に、左ページが奇数、右ページが偶数になります。
タイトル・著者名・ISBNがKDPの登録情報と一致しているか確認する
原稿や表紙に記載した本の情報と、KDPで登録した情報のずれにも注意が必要です。
タイトル、著者名、ISBN、出版社名、言語などは、KDPへ登録した本の詳細情報と一致させます。
フォーマットを確認しても原因が見つからない場合は、この不一致を疑ってください。
特に、原稿や表紙を作ったあとにKDP側の情報を変更したときは、古い表記が残りやすくなります。
細かな表記差も含め、本文・表紙・KDPの登録内容を並べて見比べると確認しやすくなります。
表紙が原因の警告と対処法
表紙側で警告が出た場合は、表紙全体のサイズと、文字や重要な要素の配置から確認します。
表表紙だけを眺めるのではなく、表表紙・背表紙・裏表紙を含むデータ全体で見ることが前提です。
表紙全体のサイズが判型とページ数に合っているか確認する
KDPのペーパーバック表紙は、表表紙・背表紙・裏表紙をまとめた1ページのPDFとして作成します。
必要な寸法は、選択した判型やページ数などによって変わります。
そのため、本文のページ数を変更したあとに以前の表紙データをそのまま使うと、サイズが合わなくなる可能性があります。
判型を変更したときも、表紙データを新しい条件に合わせて確認し直してください。
KDP側の設定だけを変更して、表紙PDFが以前の寸法のままになっていないかという点は特に見落としやすい部分です。
表紙全体の寸法や背幅の計算は、KDPの表紙計算ツール(Cover Calculator)とは?背幅の出し方を解説で詳しく確認できます。
なお、背表紙に文字を配置できるかどうかはページ数の条件があり、79ページ前後の本はその境目にあたります。条件を自分で決めつけず、表紙計算ツールと印刷プレビューアーで実際の状態を確かめてください。
文字や重要な要素がセーフゾーン内にあるか確認する
表紙全体のサイズが正しくても、文字や画像の位置によって警告が出ることがあります。
タイトルや著者名など、切れてはいけない要素はセーフゾーン内に収めます。
表紙の端や、背表紙との境界付近に文字を置いている場合は、特に位置を確認してください。
裁断や製本の影響を受ける範囲に重要な要素を配置すると、完成した本で意図した位置からずれる可能性があります。
警告された部分だけを見るのではなく、表表紙から背表紙、裏表紙まで通して配置を見直しましょう。
透過オブジェクトやレイヤーを結合してPDFを書き出す
表紙の見た目に問題がない場合は、PDF内部のオブジェクトやレイヤーを確認します。
KDPでは、透過オブジェクトやレイヤーを結合した状態で表紙PDFを作成する必要があります。
デザインソフト上で正常に見えていても、PDFへ変換したあとに同じ状態になるとは限りません。
透過した画像や複数のレイヤーを使っているなら、元データ側を確認してください。
修正したあとは、既存のPDFを見直すのではなく、新しいPDFとして書き出して再アップロードします。
修正しても警告が消えないときの確認手順
警告箇所を直しても同じ表示が残る場合は、PDFだけでなく元の制作ファイルへ戻って原因を確認します。
1つのページに複数の問題が重なっていることもあるため、最初の切り分け順に沿ってもう一度確認します。
修正後はPDFを書き出し直して再アップロードする
KDPのフォーマット問題は、原則として元の制作ファイルを修正して対応します。
修正したら、新しいPDFを書き出し、KDPへ再アップロードして印刷プレビューアーで確認します。
元ファイルだけ直しても、以前のPDFをアップロードしたままでは変更内容は反映されません。
再アップロード後は、修正したページに加えてプレビュー全体の表示も見てください。
- 警告されたページと内容をもう一度確認します。
- 元の制作ファイルで該当箇所を修正します。
- 新しいPDFを書き出します。
- KDPへ修正版PDFを再アップロードします。
- 印刷プレビューアーで警告と表示状態を確認します。
別の原因が重なっていないか順番に見直す
同じ警告が残っていても、最初に修正した箇所だけが原因とは限りません。
マージン警告であれば、余白のほかに裁ち落とし、非表示スペース、テキストボックスなども確認の対象になります。
本文なら、判型・裁ち落とし・マージン・非表示要素・フォント・画像の順で確認し直します。
表紙なら、全体サイズ・セーフゾーン・透過オブジェクトを改めて見ていきます。
1つの修正方法で必ず解決すると考えず、表示された警告と元データを照らし合わせて判断しましょう。
公式条件を満たしても解決しない場合はKDPへ問い合わせる
確認できる公式条件を満たしているのに同じ警告が続くときは、KDPへの問い合わせを検討します。
その際は、表示されている警告内容と該当ページを控えた状態にしておくと、状況を伝えやすくなります。
問い合わせの前に、最新のPDFをアップロードしているかも確認してください。
古いファイルを見ていた場合は、元データを修正していても同じ問題が残っているように見えるためです。
警告が消えたら全ページを目視確認してから承認する
警告がなくなっても、それだけで確認を終えず、印刷プレビューアーで本全体の仕上がりを目視確認します。
自動チェックで分かる問題と、人が見て判断するレイアウトは別物です。
自動チェック通過後もレイアウトや文字切れを確認する
ページを順番に送りながら、文字切れや画像の位置、意図しないレイアウトの変化がないかを見てください。
特に、修正したページの前後は影響が出やすい部分です。
表紙についても、表表紙だけでなく背表紙と裏表紙を含めて完成状態を確認します。
警告が消えたことと、意図した仕上がりになっていることは、分けて確認する項目です。
承認後にもAmazonの審査が行われる
印刷プレビューアーで問題がなくなり承認しても、それで出版審査が完了するわけではありません。
本を提出したあとには、Amazonによる本文と表紙の審査も行われます。
印刷プレビューアーの自動チェックを通過したことを、最終的な承認と考えないようにしましょう。
警告を直し、全ページの見た目を確認したうえで承認し、その後の審査へ進む流れになります。
【著者:石黒秀樹】
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