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KDPペーパーバックへ本文PDFをアップロードしたとき、サイズやフォントに関するエラーが表示されて先へ進めないことがあります。

このときは、何度もPDFを書き出し直す前に、「サイズ→フォント→PDF仕様」の順で原因を切り分けると修正すべき箇所が絞り込めます。

日本語のペーパーバックでは本文原稿の提出形式がPDFに限られているため、別形式へ変更するのではなく、ページ寸法やフォント設定など原因そのものを直していきます。

この記事では、本文PDFと表紙PDFの切り分けから、判型と裁ち落としに合わせたサイズ調整、フォント埋め込みエラーの修正、再入稿前の確認までを順番に説明します。

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KDPペーパーバックのPDF入稿エラーは「サイズ→フォント→PDF仕様」の順で切り分ける

入稿エラーの原因は複数あるため、確認する項目を1つずつ順番に切り分けると特定しやすくなります。

まず本文PDFと表紙PDFのどちらで問題が起きているかを確認し、そのうえでページサイズ、フォント、PDF自体の仕様へと範囲を広げます。

確認順 確認する内容 主な問題
1 エラー対象 本文PDFか表紙PDFか
2 ページサイズ 判型・裁ち落とし設定との不一致
3 フォント 未埋め込み・埋め込みできないフォント
4 PDF仕様 容量・ロック・レイヤーなど
5 再入稿 修正後のPDFとプレビュー確認

サイズとフォントの両方に問題がある場合、一方だけ直してもエラーは残ります。

完成したPDFを先に確認し、問題が見つかった項目だけ元原稿へ戻って修正すると、作業が整理しやすくなります。

本文PDFか表紙PDFかを最初に切り分ける

KDPのペーパーバックでは、本文と表紙を別々のファイルとして扱います。

そのため、エラーが本文ファイルと表紙ファイルのどちらに対して出ているかを最初に確認します。

表紙の寸法や背幅が原因の場合、本文PDFを何度修正しても解決しません。

反対に、本文のページサイズやフォントが原因なら、表紙データを作り直す必要はありません。

  • 本文側のエラー:本文PDFのページサイズとフォントを確認します
  • 表紙側のエラー:表紙PDFの寸法や構成を確認します

ここでは、主に本文PDFで起こる入稿エラーを扱います。

表紙側で問題が出ている場合は、KDPの表紙エラーの原因と正しい直し方を確認してください。

日本語ペーパーバックの本文はPDFのまま設定を直す

日本語のKDPペーパーバックでは、本文原稿は裁ち落としの有無にかかわらずPDFで提出します。

電子書籍の原稿と混同して、DOCXやEPUBへ変更する対処はできません。

エラーが出た場合に確認する対象は、次の4つに分けられます。

  • KDPで指定した判型とPDFのページサイズが合っているか
  • 裁ち落としの有無に合った寸法になっているか
  • 使用フォントがPDFへ正しく埋め込まれているか
  • 容量やセキュリティなど、PDF自体に提出できない設定が残っていないか

サイズエラーはKDPの判型と裁ち落とし設定を照合して直す

サイズに関するエラーでは、KDPで設定した判型と完成PDFのページサイズが一致しているかを確認します。

ここで見落としやすいのが裁ち落としです。

裁ち落としなしとありでは必要なPDFサイズが異なるため、KDP側の設定と原稿側をセットで照合します。

裁ち落としなしは選択した判型と同じページサイズにする

本文に裁ち落としを設定しない場合は、PDFのページサイズをKDPで選択した判型と同じ寸法にします。

たとえばAmazon.co.jpでA5判を選択している場合、完成する本のサイズは14.8×21.0cmです。

裁ち落としなしなら、本文PDFも14.8×21.0cmを基準に作成します。

KDP側でA5を選んでいるのに、元原稿やPDFが別のページサイズのままであれば、それがサイズ不一致の原因です。

制作の途中で判型を変更した場合は、KDP側だけ変更して元原稿のページサイズを直し忘れていないかを確認しましょう。

判型そのものの選び方は、KDPペーパーバックの判型とおすすめサイズで確認できます。

裁ち落としありは幅3.2mm・高さ6.4mmを追加する

ページ端まで画像や背景を印刷する場合は、本文に裁ち落としを設定します。

この場合のPDFは、完成後の判型よりも少し大きく作ります。

KDP公式の条件では、裁ち落としありの本文PDFは判型に対して幅3.2mm、高さ6.4mmを追加した寸法です。

設定 A5判の本文PDFサイズ
裁ち落としなし 14.8×21.0cm
裁ち落としあり 15.12×21.64cm

「A5の本だからPDFも常にA5」と考えると、裁ち落としありでは寸法が合わなくなります。

完成する本の判型と、入稿するPDFのページサイズは分けて考えましょう。

裁ち落としの作り方や画像をどこまで伸ばすかは、KDPの裁ち落としと表紙・本文設定で確認できます。

1ページでも裁ち落とすなら本文PDF全体を裁ち落としサイズにする

裁ち落としが必要なページだけを大きなページサイズにする、という作り方はできません。

本文の中に1ページでも裁ち落としがある場合は、本文ファイル全体を裁ち落としありのサイズで作成します。

ほとんどが文字だけのページでも、途中にページ端まで広がる画像があれば裁ち落としありとして扱います。

そのうえで、KDP側の設定も本文原稿と同じく裁ち落としありに合わせます。

「画像のあるページだけエラーになっている」と考えるより、本文全体のページ設定が統一されているかを見ると原因を見つけやすくなります。

ページサイズが正しくてもマージン警告は別に確認する

ここで混同しやすいのが、「ページサイズ」と「マージン」は別の条件だという点です。

ページサイズはPDFそのものの幅と高さで、マージンはそのページ内で文字や重要な要素を配置するための余白です。

そのためPDFを正しいA5サイズに直しても、文字が必要な余白へ入り込んでいれば別の修正が必要になります。

特に製本される内側の余白は、ページ数によって必要な値が変わります。

余白の具体的な条件は、KDPペーパーバックのマージンととじしろ(ガター)の設定で確認できます。

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フォント埋め込みエラーはWordと完成PDFの両方で直す

ページサイズに問題がなければ、次にPDFへ使用フォントが正しく埋め込まれているかを確認します。

元のWord画面で文字が正常に見えていても、完成PDFにフォント情報が含まれているとは限りません。

元原稿側で埋め込み設定を行い、PDFを生成したあとに完成ファイル側でも確認する、という2段階で進めます。

Wordで「ファイルにフォントを埋め込む」を有効にして書き出す

WordからPDFを作る場合は、元原稿側でフォントの埋め込み設定を確認します。

KDP公式では、Wordで「ファイルにフォントを埋め込む」設定を有効にする方法が案内されています。

  1. Wordで「ファイル」を開きます。
  2. 「オプション」を開きます。
  3. 「保存」の設定を表示します。
  4. 「ファイルにフォントを埋め込む」をオンにします。
  5. 使用文字だけを埋め込む設定と、標準システムフォントを除外する設定をオフにします。
  6. 設定を保存してからPDFを作り直します。

使用している文字だけを限定的に埋め込むのではなく、完全なフォント埋め込みを安全側の基準にするのがポイントです。

なお、PDF/A形式へ変換すればフォント埋め込みエラーが必ず解決するとは公式に案内されていません。

まずはKDP公式が案内する埋め込み設定を確認し、元原稿からPDFを再生成しましょう。

完成PDFのプロパティでフォントとページサイズを確認する

Word側を設定しただけで終わらせず、実際に生成されたPDF側でも状態を確認します。

Adobe Acrobatでは「ファイル」から「プロパティ」を開き、使用されているフォントとその埋め込み状態を確認できます。

同じプロパティの「概要」では、PDFのページサイズも確認できます。

完成PDFで確認しておきたいのは、次の2点です。

  • ページサイズがKDPの判型・裁ち落とし設定と一致しているか
  • 使用しているフォントが正しく埋め込まれているか

フォント名の横に「Embedded Subset」と表示される場合もありますが、それだけで必ず入稿不可になるとは断定できません。

KDP公式にはサブセットに関する説明がある一方で、完全埋め込みを案内する記載もあります。

フォントエラーを避ける目的では、可能な限り完全に埋め込んだPDFを作成する方が安全です。

スペース・句読点・ヘッダー・スタイルに残ったフォントを探す

フォントエラーが出ても、本文を眺めただけでは原因の書体が見つからない場合があります。

KDP公式では、問題となるフォントが目立たない場所に使われている可能性も案内されています。

  • スペース
  • 句読点
  • 改行部分
  • ヘッダーやフッター
  • スタイルの定義

本文の文字をすべて同じフォントに変更したつもりでも、ヘッダーや使っていないスタイルに別の書体が残っていることがあります。

そのため、本文だけを選択して変更するのではなく、文書全体に残っているフォント設定を確認するようにします。

完成PDFのフォント一覧に意図していない書体が並んでいる場合は、その書体名を手がかりに元原稿の使用箇所を探します。

埋め込めないフォントは別のフォントへ置き換える

フォントによっては、PDFへの埋め込みがうまくできない場合があります。

技術的な制約だけでなく、フォント側のライセンスによる埋め込み制限が理由のこともあります。

Wordの設定を変更しても特定の書体だけ埋め込めない場合は、そのフォントに固執せず、使用可能な別のフォントへ置き換えます。

置き換えたら、もう一度PDFを書き出してフォント一覧を確認します。

元原稿で変更する→PDFを再生成する→完成PDFで確認するという流れを1項目ずつ繰り返すと、原因の切り分けがしやすくなります。

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サイズとフォントに問題がなければPDF自体の仕様を確認する

ページサイズとフォントを直しても入稿できない場合は、PDFファイル自体の仕様を確認します。

KDPでは、容量だけでなくセキュリティやレイヤーなど、提出するPDFに複数の条件が設けられています。

確認項目 確認する内容
ファイル容量 650MBを超えていないか
セキュリティ ロックや暗号化が設定されていないか
PDF内部 透過・レイヤー・トンボ・注釈などが残っていないか
ページ構成 見開きではなく単ページになっているか

ファイル容量が650MBを超えていないか確認する

KDPが変換できる原稿ファイルの最大サイズは650MBです。

本文PDFがこれを超えている場合、アップロードしても変換できません。

画像を多く使用したペーパーバックでは、完成PDFの容量も確認しておきましょう。

ただし、容量を下げるために画像品質を必要以上に落とすのは避けます。

KDPでは、本文や表紙で使用する画像について300DPI以上が案内されています。

容量と画像品質の両方を満たすように、元ファイル側で画像を調整してからPDFを作り直します。

PDFのロックや暗号化を解除する

KDPへ提出するPDFは、ロックや暗号化が設定されていない状態にします。

PDFを開くためのパスワードだけでなく、編集や印刷などに制限をかけていないかも確認します。

元ファイルからPDFを書き出す際にセキュリティ設定を付けている場合は、その設定を外して再生成します。

サイズやフォントが正しくても、PDF自体が保護されていればエラーは残ります。

透過・レイヤー・トンボ・注釈など不要な要素を取り除く

KDPでは、透過オブジェクトやレイヤーを元ファイル側で結合してから提出するよう案内されています。

次のような要素も、提出ファイルへ残さないようにします。

  • トンボやトリムマーク
  • ブックマーク
  • コメントや注釈
  • 非表示オブジェクト
  • プレースホルダーテキスト
  • 不要なメタデータ

制作ソフト上では必要だった情報でも、印刷用の完成PDFでは不要になるものがあります。

特に複数のソフトを経由してPDFを作成した場合は、完成PDFに不要な要素が残っていないかを確認しましょう。

問題が見つかったときは、完成PDFだけを加工するのではなく、元ファイルへ戻して修正してから再度PDF化するとファイル管理が崩れません。

本文PDFが見開きではなく単ページか確認する

KDPへ提出する本文PDFは、見開きではなく1ページずつの単ページで作成します。

左右のページを横につなげた見開きデータを、そのまま本文PDFとして提出することはできません。

完成した本では左右のページが向かい合いますが、入稿ファイルでは各ページを独立させます。

なお、PDFを開いたときに見開き表示されることと、PDF自体が見開きサイズで作られていることは別です。

確認すべきなのは、PDFの各ページそのものが、選択した判型に対応する単ページになっているかです。

修正したPDFを再生成してKDPへ再入稿する

原因となる設定を修正したら、元原稿から新しいPDFを生成して再入稿します。

このとき、アップロード前に完成PDFをもう一度確認すると修正漏れを防げます。

再入稿前に7項目をチェックする

PDFを作り直したら、そのままアップロードせず次の順番で最終確認を行います。

  1. KDPで選択した判型とPDFのページサイズを照合します。
  2. 裁ち落とし設定とPDFサイズが合っているか確認します。
  3. PDF内のフォントと埋め込み状態を確認します。
  4. ファイル容量が650MB以内か確認します。
  5. ロックや暗号化が設定されていないか確認します。
  6. 不要なレイヤーやトンボなどが残っていないか確認します。
  7. 本文PDFが単ページで構成されているか確認します。

問題が見つかった場合は、その項目だけ元原稿へ戻って修正します。

原因を特定せずに設定をまとめて変更しないようにすると、エラーが再発したときも原因を追いやすくなります。

アップロード後は印刷プレビューアーで仕上がりを確認する

再アップロードできたら、印刷プレビューアーで仕上がりを確認します。

アップロードできることと、印刷用レイアウトに問題がないことは別だからです。

プレビューでは、ページ配置や余白など、完成する本の状態を確認できます。

入稿エラーが解消したあとに別の警告が表示される場合は、その警告内容に合わせて原因を確認します。

印刷プレビューで表示される警告については、KDPの印刷プレビューで警告が出る原因と対処法で詳しく確認できます。

原因を特定できないときはKDP公式ヘルプと問い合わせ窓口を使う

ここまで確認しても入稿できない場合は、表示されているエラー文とKDP公式ヘルプを照合します。

KDP公式のペーパーバックのフォーマット問題に関するヘルプでは、原稿ファイルの問題と修正方法が案内されています。

それでも原因を特定できない場合は、KDPヘルプの「お問い合わせ」から確認する方法があります。

問い合わせる前に、どの段階で、どのエラーが表示されているかを整理しておくと状況を伝えやすくなります。

本文PDFと表紙PDFのどちらで発生しているかも、あわせてまとめておきましょう。

KDPペーパーバックのPDF入稿エラーは順番に切り分けて直す

本文PDFでエラーが出たら、判型と裁ち落としに合ったページサイズか、使用フォントが完全に埋め込まれているか、容量やセキュリティなどPDF自体の条件を満たしているかを順番に確認します。

日本語ペーパーバックの本文はPDFで提出するため、形式を変えるのではなく、元原稿の設定を直してPDFを作り直すのが基本です。

修正後は完成PDF側でも設定を確認し、再アップロードしたあとに印刷プレビューアーで最終的な仕上がりを確かめましょう。

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【著者:石黒秀樹】

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