KDPの砕木パルプ紙(Groundwood paper)とは?白・クリーム紙との違い
のべ600名以上・累計10,000冊以上の出版を支援してきた石黒秀樹が解説します。
KDPのペーパーバックでは、本文用紙として白紙・クリーム紙に加え、砕木パルプ紙(Groundwood paper)を選べる場合があります。
砕木パルプ紙はモノクロ印刷のペーパーバック向けの用紙で、白・クリーム紙より軽く、1ページあたりの印刷単価も低く設定されています。
一方で、インク濃度が高い本では対象外になることがあり、完成した本の背幅や最大ページ数も用紙ごとに変わります。
この記事では、砕木パルプ紙の対象条件、白・クリーム紙との違い、用紙を選び分ける基準を整理します。
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KDPの砕木パルプ紙とは?モノクロペーパーバック向けの本文用紙
目次
砕木パルプ紙とは、KDPで選択できるモノクロ印刷のペーパーバック向けの本文用紙です。
白・クリーム紙とは、用紙重量、印刷単価、背幅、最大ページ数に違いがあります。
すべての紙書籍で自由に選べるわけではなく、条件を満たした本だけが対象です。
対象はモノクロ印刷のペーパーバック
砕木パルプ紙は、Amazon.co.jpで販売するKDPペーパーバックでも利用できます。
基本的な対象は、すべての判型のモノクロ印刷ペーパーバックです。
- ハードカバーでは砕木パルプ紙を選択できません。
- カラー印刷では砕木パルプ紙ではなく、白用紙が使用されます。
- 砕木パルプ紙を利用できる本には、KDP本棚上で緑色のバナーと葉のアイコンが表示されます。
自分の本が対象かどうかは、KDP本棚の表示で判断できます。対象条件は変更される可能性があるため、Amazon KDP公式の砕木パルプ紙に関する案内もあわせて確認しておくと安心です。
小説や文字量の多い本に適した用紙として案内されている
KDPでは砕木パルプ紙について、小説やテキスト量の多い本に適していると案内しています。
高い不透明度と質感のある手触りも、特徴として挙げられています。
ただし、小説だけに限定された用紙ではありません。実用書などでも、本文の大部分が文字で構成されるモノクロ本なら候補になります。
用紙を決める段階では、ジャンル名ではなく実際のページ構成を基準に判断しましょう。
KDPでは、砕木パルプ紙を使うことで紙書籍の二酸化炭素排出量を削減できるとも案内しています。
インク濃度が高い本は対象外になる場合がある
砕木パルプ紙は、すべてのモノクロ本に必ず使えるわけではありません。
KDPでは、裏抜けを防ぐため、インク濃度が高い本を砕木パルプ紙の対象外とする場合があると案内しています。
印刷上の問題が生じる可能性があると判断された場合、白紙またはクリーム紙へ変更されることもあります。
一方で、「画像が何%以上なら対象外」といった具体的な数値基準は公開されていません。
写真、大きな黒ベタ、濃い図版を多く使う本では、砕木パルプ紙を前提に進めず、KDPの入稿画面で選択できるかどうかを確認してください。
砕木パルプ紙と白・クリーム紙の違いを比較
3種類の用紙は、紙面の色だけでなく用紙重量、背幅、最大ページ数、印刷単価が異なります。
| 比較項目 | 砕木パルプ紙 | 白・クリーム紙 |
|---|---|---|
| 主な対象 | モノクロのペーパーバック | モノクロのペーパーバックなど |
| 用紙重量 | 60g/m²(45ポンド) | 74〜90g/m²(50〜61ポンド) |
| 背幅係数 | 0.0596mm×ページ数 | 白0.0572mm/クリーム0.0635mm×ページ数 |
| 一般的な判型での最大ページ数 | 812ページ | 白828ページ/クリーム776ページ |
| 1ページあたりの印刷単価 | 白・クリームより約5%低い | 砕木パルプ紙より高い |
用紙重量や最大ページ数は条件によって変わるため、すべての判型へ一律に当てはめないようにしましょう。
用紙重量は60g/m²で白・クリーム紙より軽い
砕木パルプ紙の用紙重量は、45ポンド・60g/m²と案内されています。
白・クリーム紙は50〜61ポンド、74〜90g/m²です。
数値の上では、砕木パルプ紙の方が軽い用紙にあたります。
ただしKDPでは、印刷場所によって使用する紙の重量が異なる場合があるとしています。実物の重さを数値だけで正確に予測するのではなく、用紙を比較するための材料として扱うのが現実的です。
背幅は白紙より厚くクリーム紙より薄い
紙が軽いからといって、完成した本の背幅まで最も薄くなるわけではありません。
KDPが示している背幅係数は、白紙0.0572mm、砕木パルプ紙0.0596mm、クリーム紙0.0635mmで、それぞれにページ数を掛けて計算します。
同じページ数で比べると、背幅は白紙、砕木パルプ紙、クリーム紙の順に厚くなります。
つまり、紙の坪量と完成した本の背幅は別の指標です。「60g/m²だから一番薄い本になる」という考え方は当てはまりません。
最大ページ数は用紙によって異なる
用紙を変えると、作成できる最大ページ数も変わります。
多くの一般的な判型では、白紙828ページ、砕木パルプ紙812ページ、クリーム紙776ページが上限です。
最小ページ数はいずれも24ページですが、最大ページ数は判型によって異なります。
800ページ前後の厚い本を作る場合は、用紙の好みより先に、判型と最大ページ数の組み合わせを確認しておきましょう。
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砕木パルプ紙の印刷コストは1ページあたり約5%低い
KDP公式では、砕木パルプ紙の1ページあたりの印刷コストは白・クリーム紙より約5%低いと案内しています。
Amazon.co.jpのモノクロ本では、印刷コストは次のように計算します。
| 条件 | 白・クリーム紙 | 砕木パルプ紙 |
|---|---|---|
| 標準判・ページ数が少ない場合 | 24〜110ページで422円 | 24〜112ページで411.20円 |
| 大判・ページ数が少ない場合 | 530円 | 513.80円 |
| 標準判・ページ数が多い場合 | 固定費206円+1ページ2円 | 固定費206円+1ページ1.90円 |
| 大判・ページ数が多い場合 | 1ページ3円 | 1ページ2.85円 |
本1冊の印刷費が必ず約5%安くなるわけではない
約5%低いのは、あくまで1ページあたりの単価です。本1冊の印刷コスト全体が同じ割合で下がるわけではありません。
Amazon.co.jpの標準判で200ページのモノクロ本を例にすると、次のようになります。
- 白・クリーム紙:206円+200ページ×2円=606円
- 砕木パルプ紙:206円+200ページ×1.90円=586円
差額は20円で、1冊あたりの印刷コストが下がる割合は約3.3%です。
固定費が用紙にかかわらず加算されるため、総額の差はページ数によって変わります。ページ数が多い本ほど、単価差の影響が大きくなります。
印刷コストの計算方法や販売価格との関係は、KDPペーパーバックの印刷コストと利益シミュレーションで詳しく確認できます。
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砕木パルプ紙・白紙・クリーム紙の選び分け
用紙は、紙面の色だけで決めるより、本の内容が砕木パルプ紙の対象になるかを先に確認すると迷いにくくなります。
| 本の条件 | 選択の目安 |
|---|---|
| 小説・実用書など文字中心 | 砕木パルプ紙 |
| 印刷コストを少し抑えたい | 砕木パルプ紙 |
| インク濃度が高いページが多い | 白・クリーム紙 |
| 白い紙面にしたい | 白紙 |
| クリーム色の紙面にしたい | クリーム紙 |
| 紙の色味・手触りを重視したい | 校正刷りで現物確認 |
適格性・コスト・紙の好みの順に確認する
3種類で迷った場合は、確認する順番を決めておくと判断しやすくなります。
- モノクロペーパーバックとして砕木パルプ紙の対象になるか確認します。
- インク濃度が高い本ではないか確認します。
- 印刷コスト、最大ページ数、背幅の違いを比較します。
- 最後に紙の色味や手触りの好みを確認します。
文字中心で対象条件を満たし、コストも抑えたい本なら砕木パルプ紙が有力です。画像や濃い背景が多い本では、白またはクリーム紙を前提に考えた方が無難です。
紙の色味や手触りは校正刷りで確認する
紙の色味や手触りは、数値だけでは判断しにくい部分です。
砕木パルプ紙を「白紙とクリーム紙の中間のような色」と表現する例もありますが、これはKDPが定めた色の分類ではありません。
「クリーム紙の方が目に優しい」といった効果も、KDPの仕様として示されているものではありません。
紙面の見え方が本の雰囲気を左右する場合は、印刷された現物を確認するのが確実です。
出版前に紙の仕上がりを確認したい場合は、KDPの校正刷り(Proof Copy)の注文方法と確認ポイントで手順を確認できます。
出版済みの本も砕木パルプ紙へ変更できる
すでに出版しているモノクロペーパーバックでも、条件を満たしていれば白・クリーム紙から砕木パルプ紙へ変更できます。
白・クリーム・砕木パルプ紙は出版後も相互に変更できる
KDPでは、出版済みのモノクロペーパーバックについて、次の変更を認めています。
- クリーム紙から白紙へ変更できます。
- 白紙からクリーム紙へ変更できます。
- クリーム紙から砕木パルプ紙へ変更できます。
- 白紙から砕木パルプ紙へ変更できます。
- 砕木パルプ紙から白・クリーム紙へ変更できます。
変更内容がAmazonの商品ページへ反映されるまでには、通常最大72時間かかります。
最初に選んだ用紙へ固定され続けるわけではないため、販売後にコストや仕上がりを見直すことも可能です。
ページ数が多い本は変更後の背幅に注意する
用紙を変えると、同じページ数でも背幅が変わります。
KDPでは、クリーム紙で350ページを超える本、白紙で525ページを超える本を砕木パルプ紙へ変更する場合、背表紙寸法の調整が必要と案内しています。
以前と同じ寸法の表紙をそのまま使うと、変更後の背幅と合わなくなる可能性があります。
ページ数が多い本では、本文用紙の切り替えだけで終わらせず、表紙データの寸法も見直しましょう。
背幅や表紙全体の寸法を求める方法は、KDPの表紙計算ツール(Cover Calculator)とは?背幅の出し方を解説で解説しています。
用紙選びで基準になるのは「どの紙が優れているか」ではなく、本の内容と目的に合うかどうかです。対象条件、コスト、背幅、紙の好みを順に確認して決めていきましょう。
【著者:石黒秀樹】
Kindle出版サポート歴5年。
累計受講生600名以上。
受講生の累計出版数10,000冊以上。(2026年時点)
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