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Kindle出版で原稿を作成するとき、「Wordテンプレートを使えば簡単に整えられるのでは?」と考える方は多いでしょう。

ただし、Kindle電子書籍では、紙の本のようにページサイズや余白を固定して作るわけではありません。

そのため、テンプレートを選ぶときに最も重要なのは、「電子書籍用の原稿なのか、ペーパーバック用の原稿なのか」を最初に分けて考えることです。

KDP公式にはWordを使った電子書籍の整形ガイドがありますが、ダウンロードできるWordテンプレートは主にペーパーバックやハードカバー向けです。

電子書籍では、Wordの見出し・本文・改ページなどの構造を正しく設定し、DOCXなどの対応形式でアップロードする方法が基本になります。

この記事では、Kindle出版でWordテンプレートを使うときの考え方、選び方、電子書籍と紙版の違い、再利用しやすいテンプレートの作り方まで解説します。

Wordそのものの細かな設定方法については、『Kindle出版のWord設定とは?崩れない電子書籍の作り方を徹底解説』で詳しく解説しています。

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Kindle出版のWordテンプレートは電子書籍と紙版で意味が違う

「Kindle出版 テンプレート」と検索すると、Word原稿、ペーパーバック、表紙など、さまざまなテンプレートが出てきます。

しかし、これらは同じものではありません。

大きく分けると、次の3種類があります。

  • 電子書籍の本文を作るためのWord原稿・スタイル
  • ペーパーバック本文用のWordテンプレート
  • ペーパーバック表紙用のテンプレート

この違いを理解せずにテンプレートを選ぶと、余白やページ番号、改ページなどが電子書籍に不要な形で入ってしまうことがあります。

電子書籍では「ページの型」より文章構造が重要

一般的なKindle電子書籍はリフロー型です。

リフロー型では、読者の端末や文字サイズに合わせて文章が自動的に組み直されます。

そのため、Word上で「A5サイズ」「左右20mmの余白」「1ページ○文字」のように紙の本と同じ感覚で作り込んでも、Kindle上でそのまま再現されるわけではありません。

電子書籍では、見出し・段落・改ページ・目次などの構造を正しく作ることの方が重要です。

KDP公式のWordテンプレートは主に印刷書籍向け

KDPでは、ペーパーバックやハードカバー用にWord形式の本文テンプレートを配布しています。

これらには、判型や余白など印刷本に必要な設定があらかじめ含まれています。

一方、電子書籍については、KDP公式の「eBook Manuscript Formatting Guide」でWordを使った整形方法が案内されています。

つまり、電子書籍では「公式テンプレートをダウンロードしなければ作れない」のではなく、Wordのスタイルを適切に設定した原稿そのものをテンプレートとして使うと考える方が分かりやすいでしょう。

電子書籍用Wordテンプレートに必要な基本構造

電子書籍用のWord原稿をテンプレート化するときは、装飾を増やすよりも、必要な構造だけを決めておくことが大切です。

章タイトルには見出し1を使う

KDP公式のWord整形ガイドでは、章タイトルにWordの「見出し1」を適用する方法が案内されています。

見出しスタイルを使うことで、章構造を明確にし、目次を作成しやすくなります。

章タイトルを単に太字・大文字にするだけでは、見た目は同じでも構造上の見出しにはなりません。

本文はNormalスタイルを基準にする

KDP公式では、本文全体の整合性を保つため、WordのNormalスタイルを調整して使う方法が案内されています。

段落ごとにフォントや行間を手動変更するより、スタイルを使って全体を統一した方が修正もしやすくなります。

ただし、電子書籍では読者側で文字サイズなどを変更できるため、Word上の見た目を固定しすぎないことが重要です。

章ごとの改ページを設定する

章が変わるところでは、Enterキーを何度も押して空白を作るのではなく、Wordの改ページ機能を使います。

空行を大量に入れて位置を調整すると、端末によって不自然な空白が生じる可能性があります。

目次を作れる構造にしておく

Kindle電子書籍では、読者が章を移動できる目次・ナビゲーションが重要です。

先に見出しスタイルを整えておけば、Wordや変換後のデータで目次を作りやすくなります。

目次の具体的な作り方は、『Kindle出版×Word設定:目次の作り方とは?トラブル対策を徹底解説』も参考にしてください。

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Kindle出版用Wordテンプレートを自分で作る方法

毎回ゼロからWordの設定を行う必要はありません。

1冊目で安定した原稿構造ができたら、それを次回以降のベースファイルとして保存しておくと効率的です。

最初に必要なスタイルだけ設定する

まず、次のような基本要素を決めます。

  • 本文
  • 見出し1
  • 見出し2
  • 引用
  • 画像とキャプション
  • 章の改ページ

色や装飾を細かく作るよりも、どの部分が本文で、どの部分が章タイトルなのかを明確にすることを優先してください。

ダミー文章を入れた状態で保存する

テンプレートには、実際の原稿ではなく次のようなダミーを入れておくと使いやすくなります。

  • 書籍タイトル
  • はじめに
  • 第1章
  • 第1節
  • 本文
  • まとめ
  • 著者情報

次の本を作るときは、これらを差し替えるだけで基本構造を再利用できます。

書式付きコピーを繰り返さない

Googleドキュメントや別のWordファイルから原稿を貼り付けると、元のフォントや段落設定まで一緒に入ることがあります。

その結果、同じ本文内に複数のスタイルが混在し、修正しにくくなる場合があります。

必要に応じて書式をクリアしたうえで、自分のテンプレートのスタイルを適用してください。

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Wordテンプレートを選ぶときの3つのチェックポイント

電子書籍用かペーパーバック用か確認する

最初に確認するのは用途です。

ペーパーバック用Wordテンプレートには、判型、余白、ページ番号、印刷用ページ構成などが設定されています。

これをそのままリフロー型電子書籍へ流用するのはおすすめできません。

反対に、電子書籍用のシンプルな原稿を、そのまま紙版へ使う場合も、印刷用の判型や余白を改めて設定する必要があります。

特殊なレイアウトが多すぎないものを選ぶ

電子書籍用のWord原稿では、複雑な段組みやテキストボックス、自由配置した図形などは避けた方が安全です。

Wordではきれいに見えても、電子書籍へ変換したときに配置が変わることがあります。

初心者ほど、本文・見出し・画像を中心としたシンプルな構造を選びましょう。

配布元と利用条件を確認する

インターネット上のテンプレートを利用する場合は、配布元や利用条件を確認してください。

テンプレート内に画像や装飾素材、フォントなどが含まれている場合は、それらを商用出版に利用できるかも確認が必要です。

「無料で配布されている=商用利用できる」とは限りません。

日本語電子書籍ではKindle Createを前提にしない

ここは特に注意が必要です。

Kindle CreateはAmazonが提供する無料の書籍作成ツールですが、現在のKDP公式ヘルプでは、日本語のリフロー型電子書籍をKindle Createで作成することはサポートされていません。

そのため、日本語の文章中心のKindle本について、「Word原稿をKindle Createへ入れてKPFにすればよい」と一律に案内するのは適切ではありません。

日本語電子書籍では、DOCXやEPUBなど、KDPが対応している形式を作品に合わせて選びます。

KDPで利用できる形式の違いは、『Kindle出版の形式とは?リフロー型・固定レイアウト・対応ファイル形式を徹底解説』で整理しています。

WordからKDPへアップロードできる

KDPは電子書籍原稿としてDOC・DOCXなど複数の形式を受け付けています。

文章中心の一般的な電子書籍であれば、Wordで作成したDOCXを利用することもできます。

ただし、Word上で正常に見えることと、Kindleへ変換したあと正常に表示されることは別です。

そのため、完成後のプレビュー確認が重要になります。

テンプレートに細かなフォントサイズを固定しすぎない

電子書籍では、読者が端末側で文字サイズや表示を変更できます。

そのため、「本文は必ず10.5pt」「行間は必ず1.3倍」のように紙の本と同じ感覚で細かく固定する必要はありません。

KDP公式のWord整形ガイドでも、本文にはNormalスタイルを利用し、段落や行間を一貫した形で設定する方法が案内されています。

テンプレートでは数値を細かく作り込むより、スタイルの統一と構造の分かりやすさを優先してください。

より具体的なWord設定は、『Kindle出版のWord設定とは?崩れない電子書籍の作り方を徹底解説』にまとめています。

画像はテンプレート内で自由配置しすぎない

Wordでは画像を文字の前面や背面へ自由に配置できますが、リフロー型電子書籍では端末ごとに本文幅が変わります。

そのため、画像を複雑に回り込ませるよりも、本文の流れの中へシンプルに配置した方が安定しやすくなります。

画像のピクセル数や解像度についても、一律に「600〜800px」「150dpi」などへ固定する必要はありません。

画像のサイズ・形式・ぼやけ対策は、『Kindle出版の挿絵サイズとは?スマホ表示に最適な縦横ピクセル数を徹底解説』で詳しく解説しています。

電子書籍とペーパーバックはテンプレートを分ける

電子書籍とペーパーバックでは、原稿の考え方が大きく異なります。

項目 電子書籍 ペーパーバック
基本レイアウト リフロー型が中心 固定された印刷ページ
判型 基本的に固定しない 選択が必要
余白 端末側の表示が中心 印刷用に設定
ページ番号 紙と同じ固定番号を前提にしない 設定可能
Wordテンプレート 自分のスタイルをテンプレート化 KDP公式テンプレートを利用可能

KDP公式では、ペーパーバック用のWordテンプレートを判型ごとに配布しています。

紙版を作る場合は、これらを利用すると余白やページサイズの設定を始めやすくなります。

ペーパーバックの作り方は、『Kindle出版で紙の本を出すには?ペーパーバックの条件と手順を徹底解説』も参考にしてください。

ペーパーバックのWordテンプレートは判型から選ぶ

KDPの印刷書籍用Wordテンプレートには、空白テンプレートとサンプル文章入りテンプレートがあります。

テンプレートを選ぶときは、まず出版する本の判型を決めます。

テンプレートには、その判型に対応したページサイズや余白が設定されています。

紙版では、電子書籍と違ってページサイズ・ノド・余白・ページ番号などが実際の印刷結果に影響します。

このため、電子書籍用のWord原稿と同じファイルをそのまま紙版の完成原稿として扱わず、印刷用として別ファイルを作る方が管理しやすくなります。

表紙テンプレートは本文テンプレートとは別物

「KDPテンプレート」と検索すると、表紙用テンプレートも出てきます。

特にペーパーバックでは、表表紙・背表紙・裏表紙を一つのデータとして作成するため、本文とはまったく別のテンプレートを使用します。

電子書籍の表紙は、ペーパーバック表紙とはサイズ・構造が異なります。

そのため、ペーパーバック用のカバーテンプレートを電子書籍表紙へ流用しないでください。

電子書籍表紙の作り方は、『Kindle出版の表紙サイズとは?初心者でも失敗しない最適設定を徹底解説』も確認してください。

Wordテンプレートを2冊目以降へ再利用する

Wordテンプレートの大きなメリットは、一度作った構造を次の書籍でも使えることです。

完成した原稿をそのまま上書きしない

出版済みの原稿を次の本へ直接上書きすると、以前の文章や画像が残る可能性があります。

出版用原稿とは別に、内容を削除した「原本テンプレート」を保存しておきましょう。

スタイル名と用途を統一する

複数冊を出版する場合は、

  • 見出し1=章タイトル
  • 見出し2=節タイトル
  • Normal=本文

のように、毎回同じルールを使うと整形作業が楽になります。

外注や共同制作にも使える

ライターや編集者と原稿を共有する場合も、テンプレートを渡しておけば書式のばらつきを減らせます。

たとえば、

  • 章タイトルは見出し1
  • 小見出しは見出し2
  • 本文はNormal
  • 画像の位置を指定する
  • 手動スペースで位置調整しない

などのルールをテンプレートに記載しておくと、後工程での修正を減らせます。

テンプレート使用後はKindle Previewerで確認する

どれだけ丁寧にWordテンプレートを作っても、完成した電子書籍をWordだけで確認して終わりにしないでください。

Kindle Previewerは日本語に対応しており、DOC・DOCX・EPUB・KPFなどのファイルを開いて、スマートフォン、タブレット、Kindle E-readerを想定した表示を確認できます。

特に次の部分を確認します。

  • 章タイトルが意図した位置にあるか
  • 目次から各章へ移動できるか
  • 改ページが不自然でないか
  • 画像が小さすぎたり切れたりしていないか
  • 本文中に大きな空白が生じていないか

プレビューの詳しい方法は、『Kindle出版のプレビュー確認とは?オンラインとPreviewerの使い方を徹底解説』で確認できます。

Kindle出版のWordテンプレートでよくある失敗

ペーパーバック用テンプレートを電子書籍へそのまま使う

印刷用のページサイズや余白、ページ番号をそのまま電子書籍へ持ち込むと、リフロー型の特徴を活かせません。

電子書籍と紙版は別ファイルとして管理するのがおすすめです。

Word上の見た目を固定しすぎる

空白行、スペース、タブなどを使って見た目を調整すると、別端末で配置が変わりやすくなります。

Wordのスタイルや改ページ機能を使って構造を作ります。

見出しを太字だけで作る

章タイトルは見出しスタイルを使用してください。

「太字+大きな文字」だけでは、Word上で見出しに見えても構造上は通常の本文です。

テンプレートだからプレビュー不要だと思う

テンプレートは変換後の表示を保証するものではありません。

原稿内容や画像、Wordのバージョンなどによって結果が変わる可能性があるため、出版前のプレビュー確認が必要です。

Kindle出版用Wordテンプレートのチェックリスト

  • 電子書籍用かペーパーバック用かを区別した
  • 章タイトルに見出し1を使っている
  • 本文スタイルが統一されている
  • スペースや空行で位置調整していない
  • 章の区切りに改ページを使っている
  • 複雑な段組みやテキストボックスを避けている
  • 目次を作れる見出し構造になっている
  • 画像をシンプルに配置している
  • 配布テンプレートの利用条件を確認した
  • 日本語リフロー型ではKindle Createを前提にしていない
  • 電子書籍と紙版の原稿を分けている
  • Kindle Previewerで最終確認した

まとめ|Wordテンプレートは「見た目」ではなく「構造」を再利用する

Kindle出版でWordテンプレートを使う最大のメリットは、毎回ゼロから原稿構造を作らなくて済むことです。

ただし、電子書籍とペーパーバックでは、テンプレートの考え方が異なります。

電子書籍では、紙のページデザインを再現するより、見出し・本文・改ページ・目次といった構造をテンプレート化することが重要です。

一方、ペーパーバックではKDP公式のWordテンプレートを利用し、判型・余白・ページ番号などを印刷用に整えます。

特に日本語電子書籍では、現在Kindle Createが日本語リフロー型をサポートしていないため、「Word→Kindle Create→KPF」を基本手順として考えないよう注意してください。

まず1冊分の安定したWord原稿を作り、それを自分専用のテンプレートとして保存しておけば、2冊目以降の制作を大幅に効率化できます。

Wordの具体的な設定方法については、『Kindle出版のWord設定とは?崩れない電子書籍の作り方を徹底解説』もあわせて確認してください。

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【著者:石黒秀樹】

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